アンダードッグ効果とは?〜生活への活かし方〜
体格に恵まれないスポーツ選手や不幸があったにも関わらず努力している人を見ると応援したくなりますよね。
こうした心理的効果をアンダードッグ効果と言います。
自分が不幸で恵まれてない、と思っている人はその不幸さをアピールすること周りが協力してくれるようになります。
今回はこうしたアンダードッグ効果と仕事への応用の仕方を紹介します。
アンダードッグ効果とは?〜生活への活かし方〜
アンダードッグと聞くと「負け犬」と訳してしまいがちですが「負け犬」は勝負する前に負けを認め逃げる人の事を言います。
しかし、アンダードッグ効果は不利な立場の人が強者や有利な立場の人に立ち向かうことで生まれます。不利でも強者に立ち向かっていくという所に周りの人たちは引き付けられます。
ちなみに、他の人たちと同じものを自分も選んでしまうバンドワゴン効果とは対照的なものとして知られています。
なぜそのような効果が生まれるのか?
共感する力が備わっているからだと考えられています。
共感する力
人が集団で生活していくためには相手の感情や行動を理解する必要があります。それぞれが自分のしたい事ばかりしてしまうと集団生活が成り立たないですよね。
集団生活を円滑にするため、人間はミラーニューロンというという共感する時に使う神経細胞を発達させてきました。
このミラーミューロンによって不利な立場の人が頑張っているのを見ると応援したくなります。
例えば事故で車いす生活になった人が障害に負けずパラリンピックを目指してる話を聞くと応援したくなりますよね。
人は少なからず努力した過去を持っているのでその時の感情を思い出し、何とかその努力を叶えてあげたいと感じます。
アンダードッグ効果が生まれるポイント
アンダードッグ効果を引き出すためのポイント
・不利な状況と認識されているか
・共感を得られるほどの努力をしているか
ハーバード大学が行った研究によると不利な状況と認識されていない場合、どんなに高い情熱をもって努力しても努力をしていない人と同じぐらいしか商品を売ることができませんでした。
一方、不利な状況と認識された場合には努力することで商品がより売れるようになっていました。
このように不利な状況と努力の量が合わさってアンダードッグ効果が生まれることが証明されています。
文化による影響
映画でよくみられるようなサクセスストーリーが受け入れられる文化の場合、アンダードッグ効果が得られやすくなります。
しかし、保守的で今の大企業を脅かすと生活が立ち行かなくなると考えてる文化の場合、アンダードッグ効果は得られにくくなります。
アメリカは自由主義でGAFAなどの大企業が次々と出てくるのでアンダードッグ効果が得られやすい文化とされています。一方、アジアの国々は世襲制や個人のアイデンティティが固定化して保守的なためアンダードッグ効果が得られにくいとされています。
日本ではお金は汚いとか、金持ちだけが得をして庶民が国を支えてる、という考えに美徳を感じていて成功者を叩き潰す傾向があります。堀〇さんやゴー〇さんなどがその例ですね。
成功者をたたく文化だと新たな成功者が出にくくなるので変えていかなければなりませんね。
マーケティングへの応用
アンダードッグ効果はマーケティングに使われています。
商品を売り込むときに「この会社は少ない従業員で朝早くから必死に働いてるんですけど、他社の製品が強くてなかなか売れないんですよね。良かったら試してもらえませんか。」と言うと買ってくれるようになるかもしれません。
また、地域の小さなお店がつぶれそうなときに「閉店しそうです、助けてください。」と張り紙をしておくと同情が集まり、経営が立て直せるかもしれません。
もちろん、嘘をついてはいけませんが自分の努力や不利な状況をアピールするってのが大事ですね。
アンダードッグ効果はマーケティング以外にも使える
就職面接の場合
有能さを示したくて「これだけ努力して○○を達成しました。」というのもいいですが、「これだけ努力したのですが、○○は達成できませんでした。」というのも相手の同情を引き出し効果があります。
また、その失敗から学んだことも話せるので自分のアピールに繋がります。
恋愛の場合
恋愛でも何でもできる優秀な人よりも不器用で成果を残せない人の方が同情心を引き出してうまくいきやすいという効果もあります。
選挙の場合
選挙のときでは事前に不利な立場だったり、親の介護もしていて大変と報道された方が同情票が集まって勝ちやすくなるということも言われています。
スポーツの場合
スポーツは体格に優れない人が頑張っていると応援したくなります。
例えば、炎鵬のような体格の良くない力士の方が一生懸命応援してもらえたり、メッシのような小さい選手が世界一のサッカー選手と認められると応援されやすくなります。。
まとめ
人の共感力によってアンダードッグ効果がもたらされることを紹介しました。
ただ、ポイントは不利な立場にいること、努力していることでこの2つがそろっていないと効果を発揮しないことです。
アンダードッグ効果はバンドワゴン効果と一緒にアナウンスメント効果ともいわれます。
どちらも多くの人に自分のやっていることをアピールするという点で同じです。恥ずかしかったり遠慮したりしてアピールできない人も多いと思いますが、こうした心理学的効果が知られているので少しづつアピールできるよう習慣を付けていきましょう。
参考文献
The Underdog Effect: The Marketing of Disadvantage and Determination Through Brand Biography
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