人間関係がうまくいかない理由。交流分析からゲーム分析まで。
- 人間関係が辛い理由が知りたい
- どんなコミュニケーションだとストレスがないのか知りたい
- ゲーム分析って何?
私たちは潜在的な欲求を満たすために他人に心理的なゲームを仕掛けてしまているようです。こうしたコミュニケーションは自分の欲求は満たしますが相手に心理的ストレスをもたらします。
この記事を読むことで人間関係がうまくいかない理由が分かります。
人間関係が辛い理由。交流分析からゲーム分析まで。
アメリカの心理学者エリック・バーン氏は人間関係がうまくいかない理由を分析しました。
この理論は世界中で20語か国語に翻訳され500万部を売り上げている有名な本として出版されています。
読者の感想を紹介しておきます。
Many times in my life, I was placed in social situations that left me feeling so depleted afterwards and I could not exactly grasp why this was happening. When I read Games People Play, I started to understand how many people play these games that end up making me feel used and hopeless. After a year or so, I also began realizing that I play some of these games myself… This is when I really decided to change my life. I began living with a new awareness of the behaviors of not only others but my own as well!
日本語の要約は下記の通りです。
いままで人間関係に疲れることがあったけどこの本を読んでその理由が分かりました。私を含めみんなゲームをしているだけなんだと気づいたことで人生を変える決心がつきました。他人の振る舞いだけでなく自分自身の振る舞いについても意識して生活することで私の人生は変わりました。
この理論について学ぶことで人間関係の捉え方が変わったようですね。では、どんな理論なのか説明していきます。
3つの自我状態
人がコミュニケーションを取るときには3つの自我状態を取っているとされています。
3つの自我は外部との交流を通じて経験したことや感じたことから形成されるという特徴を持っています。
- Parent ego state;親や親の役割の人から躾を受けた時の経験から形成されます。生後5年間の間で何の疑問も持たずに外からの刺激を受け入れることで形成されるという特徴を持ちます。
例)食事の時に口を閉じて噛みなさい。横断歩道は左右を確認してから渡りなさい。 - Child rgo state;自分の中のから出てくる感情を脳が認識することで形成されます。生後5年間で感じた気持ちから形成されるという特徴を持ちます。
例)鬼の顔を見て泣き叫びたくなる。 誕生日のお祝いでうれしくなる。 - Adult ego state;自分の中にため込んだParentやChildのデータを評価し、有効に使うことで形成されるという特徴を持ちます。1歳ぐらいの動き回れるようになる時期から形成されます。
例)兄が沸かしたポットに触れて火傷をしたのを見て、熱いポットに触ってはいけないことを学ぶ。
この3つの自我状態を持った状態で人は交流しています。
こうした自我が相手と噛み合っていない時に人間関係がうまく行きません。
人間関係を交流分析する
3つの自我と特徴は理解していただけましたでしょうか?
次に交流がうまくいく場合といかない場合について説明します。
交流が相補的な場合はうまくいく
例)A:私のペン見なかった?(Adult→Adult)
B:あそこの机の上にあったよ。(Adult→Adult)
どちらも理性的に発言していてコミュニケーションが相補的になっています。この場合はストレスなくコミュニケーションできます。
他にも例を出します。
例)A:また遅刻してー。今週で2回目よ。(Parent→Child)
B:すみません。寝坊して.(Child→Parent)
親が子を叱るような発言と子が親に謝るような発言でコミニケーションが相補的になっていてうまく行っています。
交流が相補的出ない場合はうまくいかない
例) A:私のペン見なかった?(Adult→Adult)
B:いつも私を疑うよね。(Child→Parent)
Aは理性的に尋ねただけなのにBは子が親に文句を言うように発言しています。これではうまくコミュニケーションが取れません。
別の例も出します。
例)A:また遅刻してー。今週で2回目よ。(Parent→Child)
B:そっちが早く来すぎなんだよ。(Parent→Child)
両方が親のように相手をコントロールしようとしていてコミュニケーションがうまくいっていません。
このように人間関係がうまくいかない理由として自我が相補的になっていない事が挙げられます。しかし、コミュニケーションはそこまで単純ではありません。
人間関係はそんなに単純ではない
コミュニケーションには言葉以外にも声のトーンや大きさ、仕草などが含まれています。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによれば話の聞き手は
・言葉に7%
・声のトーンなどの伝え方に38%
・表情に55%
集中しているようです。
どうやら、人とのコミニケーションには非言語の部分が重要みたいですね。
人間関係をゲーム分析する
相補的な交流になっていないコミュニケーションをする理由として心の健康状態を保ちたい、と言う欲求が考えられています。
その際、コミュニケーションは情報の共有が目的ではなく、個人の心理的欲求を満たす事が目的となるため、まるでゲームをしているかのように見えてしまいます。エリックバーンはこのゲームを分析してGの方程式を作りました。
Gの方程式
Gの方程式;C+G=R→S→X→P
; わな+弱み=反応→切り替え→混乱→報酬
※C=Con(わな) G=Gimmik(弱み) R=Response(反応) S=Switch(切り替え) X=Cross-up(混乱) P=Payoff(報酬)
ややこしいですが、まずは例を読んでください。
例)部下;この契約うまくいきますかね?
上司;もちろん、うまくいくよ。
部下;どうしてそんなことわかるんですか?
この場合、
・”わな”=最初の部下の言葉
・”弱み”=上司の部下の頑張りに報いたいという気持ち
となります。
それに対し、上司が「うまくいくよ」と”反応”したところで部下が「ありがとうございます」と反応する代わりに「どうしてそんなことわかるんですか?」と部下の役割を”切り替え”ました。
これにより、上司は”混乱”し不快感を持ちましたが、この不快感が部下への”報酬”となりました。
このように二人は隠れたテーマに気づくことなく心理ゲームをしてしまいます。エリックバーンはこの方程式に合うものは全て心理ゲームだと言っています。
さらに厄介なのはゲームを仕掛けた本人がゲームを仕掛けたことに気づいていない、と言う事です。そのため、本人の心理が健康になるまでこのゲームが続きます。
では、具体的なゲームの例を見て行きましょう。
ゲーム分析の例
例)Aさんは行動を制限する夫と結婚したため、ずっと行きいたいと思っていたバイオリン教室に行くことができませんでした。献身的に夫に尽くす間、「もし、彼じゃなかったらバイオリン教室に行けるのに。」と思っていました。ママ友の中でも「もし、彼じゃなかったら」と同じ境遇のママ友と愚痴を言っていました。しかし、ある日突然夫がバイオリン教室に行くことを許してくれ、Aさんはバイオリンを弾きに行く選択肢しかなくなりました。Aさんはびくびくしながらバイオリン教室に行ましたがバイオリンを弾くことが怖くて自分に向いてないことに気づきました。
この例の中でAさんはChild ego stateで夫がParent ego stateのようなコミニケーションを取っていたことが読み取れます。
Aさんは夫がいるから仕方なくバイオリン教室に行けないという立場をとっていました。しかし、それは夫との交流により自分の恐怖から目をそらすためだったり、ママ友と愚痴を話すためだと考えられます。
大事なのはAさんに自分の弱いところを自覚せずに済むために今の夫を選んだという認識がないことです。
このように人は”自分の利益”または”目標達成”のため自分の感情を偽り他人に心理ゲームを持ち掛けます。
人はコミュニケーションをする時にこうしたゲームを持ちかけるようです。
では、なぜこのようなゲームが本人の心理を健康にするのでしょうか?
心理ゲームを行う理由
この心理ゲームを行う理由は2つあります。
- 相手からのストロークを得ることで”脚本”と呼ばれる人生のパターンを推し進めるため
- プレイヤーにとって共通のメリットがあるから
この2つの理由について詳しく説明していきます。
”脚本”と呼ばれる人生のパターンを推し進める
脚本というのは無意識のうちに作り出された人生計画のことです。心理ゲームを通じで脚本にあった報酬を集め自分を正当化します。
極端な例をあげると次のようになります
- 自分に能力がないというストロークを相手から引き出し自殺することを正当化する。
- 特定の人を悪者にするストロークを引き出し殺人を犯すことを正当化する。
では、こうした脚本がどのようにして作られるのか見ていきましょう。
脚本の構成要素
脚本の構成要素として8つの要素が知られています。
- 結末;親が子供に対しどのように人生を終えるかを伝える要素です。
例)爺さんが心臓病で死んだからお前もそうなるだろう、うちの家系は長生きだからお前も長生きするはずだ、など。 - 禁止令;子供が脚本の結末から逃げられないようにする要素です。禁止令を使うほど子供は脚本から逃げ出せなくなります。
例)文句を言うな、言うことを聞け、黙ってろ、など。 - 拮抗禁止;禁止令に反し、ネガティブな行動を禁止する要素です。結末や、禁止令は6歳ぐらいまでの幼児早期に伝えられ、拮抗禁止はそれ以降に伝えられ、人生のスタイルを決めると言う特徴があります。
例)全力で頑張れ、自分の考えを言いなさい、お金を大事にしなさい、など。 - プログラム;脚本を実現するために何をするべきか伝える要素です。
例)勉強しなさい、運動しなさい、他人の気持ちを考えなさい、など。 - 挑発;誘惑や挑発的なメッセージのことです。
例)早く投げてみろよ、取れるもんならとってみろ、など。 - 悪魔の囁き;予測のつかない衝動。
例)急に何か悪いと思っていたことをやりたくなる。 - 内的な解放;自分の計画していた脚本が自壊する要素です。
例)交通事故にあったら、病気になったら、父が死んだら、など。 - 許可;子供が選択肢の中から自由に選択することを許可することです。許可することにより脚本から抜け出すことができるようになります。
例)自分の好きなことをしてもいいんだよ、何でも好きなものを選んでいいよ、など。
こうした脚本の構成要素により脚本のパターンが出来上がります。
脚本のパターン
脚本のパターンとして6つのパターンが知られています。
- 決して〜しない;自分が望むものは決して手に入らないと言う脚本
- いつもいつも;もしそれをしたいなら、一生それをやり続けなければならないと言う脚本
- それまではダメ;定年退職するまでなど長い時間を待たなければできないと言う脚本
- その後が怖い;やりたいことをやった後、嫌な気分になったり罪悪感を覚えると言う脚本
- 繰り返し繰り返し;賽の河原での石積みのようにほとんど出来たところで全てが台無しになりもう一度最初から行うと言う脚本
- その後は何もない;誰かのために頑張ってきたが、その誰かがいなくなってしまい何もやる気がなくなると言う脚本
私たちはいつの間にかこうした脚本にしたがって行動してしまっている様です。
例えば、野球の練習以外のことは許されない「禁止令」が強いと能力が向上しなくても練習をやめず「繰り返し繰り返し」の脚本が出来上がってしまう、と言うような感じです。
また、この脚本を成立させるために他人をゲームに巻き込んでしまい人間関係を悪化させているようです。
こうした脚本から脱するためにはどうすればいいのでしょうか?
脚本から脱出する
まずは禁止令によって作られた自分の価値観を弱めていきましょう。
〜したらダメ、ではなく〜しない方が良い、と言い直して自分を拘束している価値観から脱していきましょう。
自分の思い込みを捨ててフラットに考えることが大切です。新たなテクノロジーや新たな概念を学ぶことでいつの間にか”脚本”にしたがってしまっていることに気づけます。
新しいことを学ぶ姿勢がないと”脚本”から抜け出すのは難しいかもしれませんね。
プレイヤーにとって共通のメリット
心理ゲームを仕掛けることは悪いことばかりではありません。プレイヤーにとって共通のメリットになることもあります。
- 生きる上でのメリット;相手からの反応があることで生きる上での基本的な欲求が満たせます。
- 存在上のメリット;互いの信念を確認できます。
- 内的な心理面のメリット;個人的な願望を満たすために他人を利用できます、またはネガティブなことから自分を守ることができます。
- 外界を見る時の心理面のメリット;恐れている状況を避けることができます。
- 内的な社交上のメリット;親密な関係を持ちたいという内的な動機を満たすことができます。
- 外界での社交上のメリット;プレイヤーと直接関係のないことについて話題が提供できます。
互いにこうしたメリットを受け取ることで心理面での安定がもたらされます。
しかし、自分の報酬のために相手の弱みに付け込んでいると人間関係がうまくいかない原因になります。
コミュニケーションを取る時には相手に不快な思いをさせていないか注意しましょう。
ゲームを仕掛けてくる人の特徴
ゲームに参加してしまうと人間関係がうまくいかない原因になります。
そのため、ゲームを仕掛けてくる人の特徴を押さえておきましょう。
- 世話を焼いてくる人→自分の方が上だということを見せ相手を支配しようとします。「相手が仕事ができるようになるために」や「会社の仕事をうまく回すために」ではないという特徴があります。
- 間違いの指摘→相手を支配しようとします。敢えて大勢の前で間違いを指摘するという特徴があります。
- イエス、バット→相手の時間をつぶそうとします。相談して解決策を得るが解決策を受け入れたうえで新たな相談を持ち掛けるということを永遠と繰り返すという特徴があります。
避ける事ができれば良いのですが、仕事の都合や近所づきあいで避けれない場合もあります。その場合、こちらは理性的に対応しなくてはなりません。
基本的に相手は心理的欲求を満たしたいだけです。相手の求めている答えを与えると人間関係がうまくいきます。
ただ、こちらに依存してくる可能性もあるのでいい距離感が必要です。
まとめ
今回は交流分析やゲーム分析によって人間関係がうまくいかない理由を分析する方法を紹介しました。
うまくコミュニケーションが取れない場合は相手の脚本の影響により適切な交流ができていない可能性が高いです。
私の経験上、多くの人は自分の有能さを認めて欲しいと思っているように思います。また、理不尽な指示をしてくる上司は禁止せずにはいられない事が多いです。
まともに相手をしても良い事がないので感情的知性を鍛えてやり過ごしましょう。
参考文献
・エリック・バーンの交流分析
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