ストレスからくる下痢や便秘の対処法。過敏性腸症候群の人にオススメ。
- ストレス性の下痢に悩まされている人
- なぜストレスが下痢に繋がるのか知りたい
- 下痢を放っておくとどうなるのか知りたい
面接や重要な会議などストレスのかかる場面でお腹が痛くなりませんか?ストレスで下痢になるのは良くある症状のようです。しかし、この症状を放っておくと取り返しのつかないことになります。
この記事を読むことでストレス性の下痢にどう対処すればいいのかわかります。
ストレスからくる下痢の対処法。過敏性腸症候群の人にオススメ。
過敏性腸症候群とは主にストレスが原因で腸に異常がないのに下痢や便秘が続く病気のことを言います。女性では20代と50代、男性では30代から40代に多くみられるとされています。
もし、お腹の調子がよくないなと思ったらこの可能性を検討した方がいいかもしれません。
この症状が出る原因としてストレス以外にもタバコや乳製品、アルコール、カフェイン、スパイスなどが原因になっているとされています。。
ただ、過敏性腸症候群は下痢になったり便秘になるだけではなく他の様々な症状を引き起こします。
- 下痢や便秘
- 鬱や不安障害
- ガスが溜まったり、腹部の違和感が消えない
- 胃の痛み、胃の持たれ(機能性ディスペプシア)
- 胸焼け、呑酸(胃食道逆流症)
- 食欲不振、吐き気
- 不眠や疲労感
- 認知機能の低下
- 免疫システムが弱まる
過敏性腸症候群と特に強い相関があるのが鬱や不安障害です。
イランのエスアファーン大学による研究では4763人を対象に調査した結果、過敏性腸症候群の人は鬱や不安のスコアが2倍以上になっていることが分かりました。また、下痢と便秘を繰り返すと鬱や不安障害のスコアが高くなります(R)。
鬱や不安障害になると明らかに体に異常が出ているにも関わらず病院に行くと言う決断ができなくなります。一人で悩んでしまいさらに症状を悪化させてしまいます。
また、過敏性腸症候群の人が機能性ディスペプシアや胃食道逆流症の可能性は健康な人の2倍以上と言うデータも出ています。
さらに、過敏性腸症候群が悪化するとさらに重い症状の病気になります。
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の疾患です。特徴としては下血を伴う下痢や腹痛です。ただ、下血がなくてもこの病気の可能性があり、7、8年後には大腸癌を合併する人も出てきます。
10万人に100人程度が発症するとされており、発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳とされています。
クローン病
クローン病は主に小腸や大腸などの消化管に炎症が起きる病気です。炎症によりびらんや潰瘍ができ、悪化した時には腸を切除しなければならなくなります。
クローン病は原因が不明で完治が難しいことから難病に指定されていますが、適切な治療をして症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を続けることが可能です。
発症時期は10~20代が多く、男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くなっています。男性の方が女性の2倍発症し易いと言うことも分かっています。
では、なぜストレスが下痢になるのでしょうか?
ストレスが下痢になる理由
ストレスが下痢になる理由として様々な原因が考えられています(R)。
- 腸管神経系の異常
- 内臓の過敏性
- 炎症
- 遺伝
- 環境
- ホルモンによる異常
- 身体的特徴
一番研究が進んでいる理由として腸管神経系の異常が挙げられます。
腸管神経系とは脳と腸をつなぐ神経系のことです。この腸管神経系は感情の影響を受けやすいため下痢を引き起こし易いとされてます。
ストレスにより放出されるコルチコトロピン放出ホルモンは腸管神経系を刺激し大腸の動きを活発にして下痢になることが知られています。さらに、腸内細菌叢にも影響し腸の浸透性を高め下痢を引き起こすことも分かっています(R)。
シカゴ大学で行われた研究では下痢になる理由として炎症性サイトカインの影響を示しています(R)。血液中に放出されたIL-6やTNFaと呼ばれる炎症性サイトカインが腸に行くと細胞同士の接触を弱め腸管粘膜のバリア機能を弱めることで下痢を引き起こします。
このことから敏感性超症候群の人はストレスにより炎症性サイトカインを放出し易いことが考えられています。
このようにストレスは様々な面から下痢を引き起こします。
ただ、どの原因かを特定するのは難しいようです。
診断方法
過敏性腸症候群かを測定する方法としてローマⅢ基準と言うものがあります(R)。
最近3ヶ月の間に月に3回以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、下記のうち2項目以上の特徴を示す
・排便によって症状が和らぐ
・症状とともに排便の回数が変わる
・症状とともに形状が変わる
*これらの症状が6ヶ月以上前からあり、最近3ヶ月で上記の基準を満たすこと
また、神経過敏性腸症候群(IBS)は症状に応じて4つに分類されたます。
- 便秘型IBS(IBS-C);硬便または兎糞状便が25%以上あり,軟便(泥状便)または水様便が 25%未満のもの
- 下痢型IBS(IBS-D);軟便(泥状便)または水様便が25%以上あり,硬便または兎糞状便が 25%未満のもの
- 混合型IBS(IBS-M);硬便または兎糞状便が25%以上あり,軟便(泥状便)または水様便も 25%以上のもの
- 分類不能型IBS;便性状異常の基準がIBS-C,D,Mのいずれも満たさないもの
特に混合型IBSだと鬱や不安障害になりやすくなります。
また、この状態が続くと心臓病や高血圧、糖尿病などのリスクが高まります。
また、下痢型IBSの場合は12年後も下痢型の可能性は20%で15%の人は混合型になり、35%の人は症状がなくなったと言うデータがあります。
対処法
過敏性腸症候群の対策を紹介します。
普段の生活で下痢が多くなってきたな、と思ったら試してみてください。
- アルコールやカフェイン、脂肪分などの摂取をやめる
- タバコをやめる
- 穀物や果物、野菜をバランスよく食べる
- 水分補給をする
- 数分間深呼吸して不安を和らげる
- 散歩など運動習慣を身に付ける
- ストレッチやヨガ、瞑想、読書を行う
- セルフコンパッションを高める
- リラクゼーションエクササイズをする
- 愛する人と話をする
こうした対策により下痢を引き起こす原因を取り除いたり、困難な状況からくるストレスを弱めることができます。
どんな時に医者に行くか?
過敏性腸症候群の対策法を紹介しましたが、一定のラインを越えると病院に行くことを強くオススメします。
自分の中で一定のラインを決めておかないとズルズルと引きずってしまい鬱や不安障害など取り返しのつかない状態になる可能性があります。
- 症状が何週間も続く
- 夜に下痢になる
- 便に血が混じる
- 物が呑み込みにくい
- 体重が減る
- 嘔吐する
- 心配や不安が人間関係や仕事に影響している
- 眠れない
- 普通にできていたことができなくなった
- アルコールや薬でストレスに対処するようになった
こうした症状が現れたらすぐに病院に行きましょう。
過敏性腸症候群に対して心理療法をしている機関は少ないようですが、薬以外にもストレスマネジメントや認知行動療法、催眠療法、対人関係療法など様々な方法があります。
早めに受診して症状が悪化しないように注意しましょう。
まとめ
今回はストレスによって引き起こされる下痢や便秘の原因とその対処法を紹介しました。
なるべく早くに症状に気づいて対処したいですね。また、症状が一定以上悪くなったら必ず専門機関に受診するようにしましょう。
仕事も大切ですが体調を壊してはQOLが低下し幸福感が低下します。長期的にみた時には体調を整える方が一番生産性が高いので健康には気をつけるようにしましょう。
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