【悲報】研究職の年収が低い話
- 研究職の給料は低いって聞くけど本当?
- なぜ、研究職の給料は低いの?
- どうすれば給料を上げれるの?
理系の大学で専門の勉強をして研究職に就けたとしても年収は文系の人よりも低いです。多くの理系の学生は文系の学生よりも勉強しています。それなのになぜ、研究職の方が年収が低くなるのでしょうか?研究歴10年の私が解説して行きます。
この記事を読むことで研究職で働くことの現状が理解できます。
【悲報】研究職の年収が低い理由
研究職として企業で研究職として働く場合と大学でポスドクとして働く場合があります。まずは、企業で研究職として働く場合から紹介して行きます。
企業で研究職に就いても年収が低い理由
それは研究といっても単純作業が多いからです。
研究職といっても必要とされるのは単純作業を正確に行える能力だったりします。そういった人材は多くいるので年収が低くなります。
なぜ、研究職なのに単純作業が多くなるのでしょうか?
- 安定供給のための研究が必要
- 商業化のための研究が必要
- 科学的データよりも売り上げ重視
企業で行う研究はお金に変えていく必要があります。
これは利益のために働いているので当たり前ですよね。そのため、大学や大学院での研究をイメージしてはいけません。多くの人は企業での研究を大学での研究のように捉えてしまうので勘違いしてしまいます。
大学や大学院で行われている研究はいわゆるシーズ研究というものです。今は役に立たなくても将来世の中に役立ちそうな研究のことを言います。企業での研究はその研究を製品化していくことが主な目的となります。
製品化についてもう少し説明すると製品を大量生産した時にも安全性や有効性が担保できるか、という仕事です。企業の信頼を守り、売り上げを確保するには重要な仕事です。
しかし、研究がこの段階までくるとマニュアル的なものがすでに決まっており、同じことを何度も繰り返すという仕事が多くなります。そのため、研究といっても単純作業が多くなります。
自分が会社を運営していく立場だと思ってください。従業員の個人の能力によって製品化が上手くいくか行かないかが決まる、という状況はリスクがありますよね。それよりかは仕組み化して誰でも一定の成果が上げれるようになっていた方が安定した会社を作れます。
そのため、研究職といっても単純作業が多くなります。
シーズ研究でも給料が低い
シーズ研究は大学、大学院だけでなく企業でも行われています。そのため、企業のシーズ研究を行なっている部署に行けばいいのではないか?と思うかもしれません。
確かに、シーズ研究というのは大学や大学院で行われている研究と近いところがあります。しかし、製品化で売り上げを立てている部署から見た時にどう見えるでしょうか?
自分たちが頑張って集めたお金を使って自由に研究している、と良い感じに思われないですよね。
ただでさえ、金食い虫の扱いをされているのに給料も高い場合には製品化を行なっている従業員からの不満が出てくることが考えられます。
そのため、シーズ研究をしていても給料は上がりません。
私もシーズ研究を一部行なっていましたが学生の時のような研究ができて羨ましい、と言われることがありました。しかし、実際は多部署からの圧力もあり、自分で研究を進めれる状況ではなく、自分がいくら必要だと説明しても納得してもらえないことが多かったです。
さらに、シーズ研究は成果として出るか出ないか運の要素が多く、学術的には意味がある結果になったけどお金にはならない、ということもあります。
この体験から私は研究職には高い実験スキルや社内政治力が必要なのに給料は上がらないんだな、と感じました。
仕組み化がいまいち
研究職の給料が低い理由として企業の仕組み化がイマイチなことも挙げられます。
企業で研究するとなると設備費用や研究の不確定要素を考慮しなければなりません。そのため、思っていたよりも研究が進まないとなると売り上げが立たないので給料を抑えるしかなくなります。しかも、一番コストが掛かるのは人件費なのでコスト削減の筆頭になります。
その点、研究をしない会社は商品やサービスを作って売れるか売れないかだけなのでシーズ研究のための初期投資や研究の不確定さを考慮しなくてもよくなるのでビジネスとして成り立ちやすくなります。
こうしたことから研究を行なっていない会社に入社する文系の人の方が給料が高くなる傾向にあります。
優秀な人が多い
給料が上がらない理由の1つとして優秀な人が多いことも上げられます。
大学や大学院でちゃんとした研究室で研究してきた人なら自分で研究を進めていく能力があります。その場合、研究者の能力としてあまり差がつきません。
考察の仕方を議論することで互いに刺激になりますが、優秀な研究者は他の人が言いそうなことも自分で考えていたり、あらゆる情報をリサーチして必要な情報を蓄えています。
それに、企業としても研究費をできるだけ抑えた方が利益率が上がるので採用人数が少なくなります。
そのため、優秀な研究者で数少ない椅子を取り合うことになります。
そういった状態なので企業としても研究職の給料を上げなくても辞めたら別の人を採用すれば良い、という考え方になってしまいます。
大学での研究職の給料が低い理由
それはお金のために仕事してないからです。
企業と違って大学では真理の追求のために研究します。あらゆる技術を使うのでその分スキルも必要なのですが誰の役にも立たない可能性があります。
もちろん、今は役に立たなくても別の研究者がその結果を使ってさらに研究を進めて誰かの役に立てることもあります。
大学で研究している多くの人がこのモチベーションだと思います。
だから、給料が少ないのです。
真理の追求のため、というとカッコイイのですが厳しい言い方をすると趣味と変わりません。趣味でサッカーやテニスをしても誰もお金をくれないですよね。
それと一緒で自分の好きな研究をしても誰かの役に立たないのであればその研究にお金を払ってくれる人もいないので給料が低くなります。
理系でも文系の学問が必要
私も研究でとにかく成果を出せばお金がもらえると思っていました。しかし、企業に就職してマーケティングなどを勉強しているうちに今までの考え方ではダメだと気づかされました。
研究者は研究だけやっていれば良いということではなく、自分の仕事が誰のどんな欲求に答えているのか考えないといけません。そのために、文系の人が学ぶ学問も学ぶ必要があります。
このことに気づかない研究者は多いと思います。もし、興味があるなら私がマーケティングを勉強した教材にグロービスというものがあるのでこちらをお勧めします。
どんな教材なのか下記の記事でまとめているので参考にしてもらえればと思いjます。
給料が上がるかは出世次第
ただ、企業でも大学でも出世すれば給料が上がります。
研究職でも給料が低いという話をしましたが出世すれば給料は上がります。とはいっても文系の人も出世すれば給料が上がるので同じ条件ですね。
つまり、理系で頑張って勉強してきたのだから文系の人よりも給料がもらえて当然という考え方は捨てるべき、ということです。
お金のために勉強してきたのであればこの話を聞いてモチベーションが下がったでしょう。しかし、多くの人はもともとその学問が好きで勉強してきたはずです。
そのため、今から研究職を目指そうとしている人は研究職に就けたとしても好きなことをやってきただけだから別に給料が低くても問題ないよ、ぐらいに思っておきましょう。
お金にはなりませんがこの「好き」という理由が大きなエネルギーの源になります。心理学ではモチベーションの根本にある自己決定理論というものが作られています。何にモチベーションを持つと心理的に健康な状態で努力できるかがわかっています。
自分が好きな仕事かどうかとお金がどのぐらい必要かを考えて仕事を選ぶと幸せな人生に近づけると思います。
じっくりと考えて進路を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は研究職に就いても給料が低い理由を紹介しました。
私は好きなことができるなら給料が低くても構わないと思っていました。好きなことというと語弊がありますが、論理的に研究を進めて世の中の役に立つ仕事がしたいと思っていました。
しかし、働いてみると研究スキル以外も社内政治能力が必要だったり、そもそも予算が取れなかったりと思ったような働き方はできませんでした。
研究職といってもこうしたリスクがあります。そのため、お金についてもしっかりと考えて進路を決めてもらえればと思います。