やられたらやり返す。返報性の原理とは?

やられたらやり返す。返報性の原理とは?

やられたらやり返す。倍返しだ!!と言う事ではありません(笑)。仕返しではなく、恩返しの方の話です。

恩を受けたらお返しをしたくなりますよね?

この現象を説明したのが返報性の原理です。

この原則は身近なビジネスの場でも使われています。まずは見返りなしに相手に利益を与え、その後に自分が利益を得ると言う戦略です。

今回はこうした返報性の原理について紹介していきます。

返報性の原理とは

恩を受けた時には恩を返したくなるという現象の事です。

この現象は1960年代にAlvin Gouldnerによって発見され、その後Robert Cialdiniによってマーケティングにも使われるようになりました。

過去の研究では飲食店でお会計の紙をミントと一緒に渡すとチップが3%高まったという研究があります。また、ミントの数を増やすと21%高まると言う結果も得られています(R)。

何か商売をするときに「~を買ってください」、「~はいい商品ですよ」と言っても商品は売れません。

何か物を売るためには社会的規範や道徳的観念など相手の深い領域に入り込む必要があり、そのために返報性の原理に従うことが有効とされています。

返報性を生み出す2つのカテゴリー

返報性を生み出すものとして2つのカテゴリーが知られています。

感情的返報性

言葉で相手の感情をポジティブにする方法です。

例えば下記のような言葉が有効です。

  • ~してくれてありがとう
  • ~してくれてうれしかったです
  • ~のおかげで充実した時間が過ごせました

確かにこうした言葉をかけてくれる人のために何かしたいと思いますよね。
ビジネス上の関係だとしてもこうした言葉で関係が上手くいきやすくなります。

物質的返報性

物質的に相手の感情をポジティブにする方法です。

例えば下記のような事が有効です。

  • お金を貸してあげる
  • 着なくなった服をあげる
  • 畑で作った野菜をあげる

こうした物質的なものがイメージしやすく、普段の生活でも無料体験や初回割引などよく見るかと思います。

なぜ、返報性の原理が働くのか?

人は相手に何かをしてもらったときに借りを作ったと認識します。

たとえ、それがビジネスのためだとしても借りを返さなくてはという心理が働き、後でリターンを返してくれる確率が高まります。

こうした心理は人が集団で生活するようになって培われたとされています。

もし、何か恩を受けたのに何も返さなかった場合、「あいつに何をしてやっても感謝しない」と言われ、その人は集団から孤立していってしまいますよね。

そうならないように、私たちには恩を恩で返すという習性が身についています。

この様に私たちは進化の過程で返報性の原理が働くようにプログラムされてきました。

こうしたプログラムが組み込まれていますが、とにかく恩を売ればいいというものではありません。

相手の利益を考えないと恩着せがましくなりますし、相手に罪悪感を抱えさせるだけになるときもあります。

では、返報性の原理を活かすためにはどのようなことに注意しなければならないのでしょうか?

返報性の原理を使うときのポイント

顧客に自分のためを思ってくれていると認識してもらうことが重要です。

決して売り手の自己満足ではなく、細やかな目配り気配りと共に行われなければなりません。

まず、自分から提供する

商品を買ってもらうためにはまずは自分からサービスを提供しなければなりません。
見返りを求めるのではなく、心から顧客の利益を願う必要があります。

例えば、化粧品や健康食品などでよく見る無料お試しセットなどです。
一度試せると顧客は安心して商品を買えますし、無料でもらった分お返ししようという気になります。

広告やCMで宣伝するよりも顧客の注意を引き付けることになり、将来的な売り上げに繋がります。

特別感を演出する

サービスを提供するときには特別感を演出しましょう。

例えば、商品を買ってくれた人に対して手書きのメッセージを添える、ノートパソコンを買おうか迷っている人に「今なら無料でケースも付けますよ」と提案する、などです。

一律に同じサービスでなく、個人を見てくれていると感じさせることで恩を受けたという感覚が強まります。

記憶に刻み込む

商品やサービスが記憶に残るものにしましょう。

驚くほどの低価格で期待以上の効果が得られた場合、その商品が記憶に残りますよね。
また、商品を選ぶときも親身になって対応してくれる店員は長い間記憶に残ると思います。

こうした価値がブランドとなって顧客との長い関係が維持できるようになります。

関係を持続させる

商品を一回買ってもらったからと言ってそこで終わりではありません。再び購入してもらえるよう感謝の手紙を書いたり、クーポン券を提供しましょう。

もし、商品を気に入ってもらったなら「他の人にもお勧めしてください」と言ってみるのもいいでしょう。

顧客と長い付き合いをしているということが他の顧客の注目を集めます。長期にわたってサービスを提供している、という事実が顧客の安心感を高めます。

長く続ける

長く続けることで信頼が生まれます。いきなり素晴らしいサービスを受けても相手を信頼できなければ効果が出にくくなります。

例えば、名前の知らない会社が最新のパソコンを格安で販売してたとしましょう。
その商品は偽物や盗品ではなく本当に良いものなのですが、何か裏があるのではないかと疑ってしまい購入する人が少なくなってしまいます。

そのため、返報性の原理を得るためには自分を信頼してもらわなければなりません。

まとめ

今回は返報性の原理についてビジネスでの活用を意識して紹介しました。

意外と身近なサービスがこの返報性の原理を活かしています。

例えば、Amazonプライム会員の無料体験やNetflixの無料トライアルなどサービスを一時的に無料で提供してその後のリターンを得ています。

また、スーパーでの試食や立ち読みできるようにしている本屋も返報性の原理に当てはまります。

ポイントを押さえればビジネスへの応用はいくらでもききそうですね。

参考文献
How to Use Reciprocity in Marketing and Grow Your Business

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