研究テーマに興味が持てない時にどうすればいいのか?
- 研究テーマに興味が持てない
- 希望した研究室に入れなかった
- 自分の研究テーマが何の役に立つのかわからない
大学、大学院で行う研究の中には誰の役に立つのか、どのように社会に役立つのかわからないものが沢山あります。教授は研究する意義を見出してはいますが、社会のニーズや問題点などから出発している訳ではないためイマイチな理屈しか持っていない場合があります。そういった研究テーマの場合、モチベーションが上がりませんよね?大学、大学院とこうしたテーマで研究を行ってきた私がどのようにモチベーションを維持したのか紹介したいと思います。
この記事を読むことで興味の持てない研究テーマを割り当てられた時の対処法がわかります。
研究テーマに興味が持てない時にどうすればいいのか?
研究室選びの段階で自分の興味のある研究室を選んでいると思います。しかし、下記のような3つの理由で興味のない研究が割り当てられる可能性があります。
- 希望した研究室に入れなかった
- 研究テーマを同期に取られてしまった
- 研究テーマの何が面白いのか分からない
おそらく、研究に興味が持てない人はどれかのパターンに当てはなると思います。
しかし、こうした原因は大した原因ではありません。なぜなら、あなたがまだ何もやっていないからです。
重要なのは何をするかではなく、どのように取り組むかです。
今までの人生の中で必死に取り組んだことの中に興味の持てないものはありましたか?おそらく、ないと思います。それなのに、なぜ研究に必死になる前に興味がないと決めつけてしまうのでしょうか?
いやいや、ちょっと待ってくれ。必死になったから興味が出たのではなく、興味があったから必死になったんだ、と言う意見もあるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
確かに興味のあることには最初から必死になるでしょう。しかし、始めてみて思ったよりも楽しくないな、と思ったことはありませんか?絶対に楽しいと思っていた映画が思ったよりも楽しくなかったり、体を動かしたいと思ってスポーツジムに入会したものの続かずにやめてしまった、と言う経験はありませんか?
逆に最初は興味がなくてもやり始めたら興味が出てきた、と言うこともあると思います(友達に無理やり連れて行かれたライブでそのバンドのファンになった、最初は嫌だった勉強がやっているうちに楽しくなった、など)。
つまり、何かに必死になれるかどうかは興味の有る無しに関係ない、と言うことです。
厳しい言い方になりますが、入りたい研究室に入れなかった、やりたかった研究テーマじゃない、と言うのは自分が頑張らなくて済むようにするための言い訳です。自分の心にそういった下心がないか聞いて見ましょう。
そして、まずは与えられた研究テーマに必死に取り組んでみましょう。その結果として興味が出てきて研究が楽しくなります。
私の経験
私は運よく自分の希望した研究テーマが与えられました。最初はやる気があってガツガツ実験を行っていたのですが、研究を行っているうちに自分の研究が誰の役にも立たないのではないかと思うようになりました、
教授に自分の研究がどのように役立つのか聞きましたが、あまり納得できるものではありませんでした(私は細胞増殖の研究をしていたのでガンの治療薬を見つけるための基礎研究になると言う説明でした。しかし、全てのガンに効くと言うデータはなく特定のガンにだけ有効かも、と言う論文が1報だけ出ているだけでした。CAR-Tcellのような画期的なガンの治療方法はたくさんあるので自分の研究が進まなくても誰も困らないと感じました)。
もちろん、モチベーションは下がりました。
しかし、せっかく大学院に進学したんだし研究しないと学費が勿体無い、という思いから論文を読んで実験を続けていました。すると、誰かの役に立つ研究ではなく、今分かっていない事を解明するために研究を行う、という新たな目標が自分の中で設定され興味を失いかけていた研究テーマに対しても興味が出てきました。
論文を読んで似たような研究をしている人がいるというのもモチベーションをアップさせてくれたように思います。
大学院を卒業後、研究職として就職できたのもモチベーションが下がっても研究に打ち込んで自分のスキルをアップさせたからだと思います。研究テーマに興味が持てないからといってそのままダラダラしていたら研究職に就職できなかったでしょう。
こうした経験からも研究テーマに興味が持てなくてもとにかく必死に取り組むことの大切さを学びました。自分の興味はそのあとに付いてきます。
興味が持てる方向に方向転換するのもあり
自分の経験ではありませんが、大学院の先輩は自分の興味がある方向に研究をシフトさせていました。それまでにも結果が出ていたので全く違う研究テーマという訳ではなく、論文を読んでこっちの方がインパクトのある結果が残せるのではないかという方向に自分の研究を方向転換させていました。
こうした方法もありだと思います。興味が持てないと嘆くよりも自分が興味を持てるようになるためにはどうしたらいいのか考えて行動してみましょう。頑張らない理由を他人のせいにするのではなく、頑張る理由を自分で作るというのは素晴らしいと思います。
ただ、こうした事をするためには研究室の教授が理解のある人間でなければなりません。多くの人は研究テーマで研究室を選んでしまいますが、上記に書いたように研究を行ってみると思ったのと違ったという事もあります。そのため、研究室選びは他の要素も考えて慎重に行わなければなりません。
社会に出ても同じ事が起こる
思ったような研究テーマが与えられないように社会に出ても思ったような仕事ができない事があります。
おそらく、多くの人はこうした体験をします。
そんな時に自分のやりたい仕事じゃないから、と言っていると成長できませんし仕事が楽しくなりません。
やりたくない仕事でも「えっ任せてもらっていいんですか?」ぐらいの気持ちで引き受ける人が出世が早かったりもします。
とはいっても多くの人はこうした行動ができません。長期的な自分の成長というメリットよりも短期的に楽をすることにメリットを感じてしまいます。そのため、自分の中で嫌だと感じた仕事は引き受ける、というルールを作っておくと良いです。
頼まれた瞬間に「嫌だな」と思うかもしれませんが、「今、嫌だなと感じたな、だったら引き受けよう」ぐらい客観的に自分を見て判断できると良いですね。
嫌な仕事でも必死になって取り組んでいるうちに自分なりに問題意識を持てるようになります。その問題を自分で試行錯誤して解決していく事が仕事の楽しいところです。
こうした訓練をするためにも思ったような研究ができなくてもまずは与えられたテーマに必死に取り組んでみましょう。
ただ、ダークトライアドと呼ばれる個性を持っている人はこうした姿勢の人間を利用しようとしてきます。私もダークトライアドにいいように利用されて消耗してしまった経験があります。
まとめ
今回は研究テーマに興味が持てなくてもまずは必死に取り組もう、という話を紹介しました。
興味の有る無しというのは心の問題で解決できないように思えます。しかし、心の問題と言うのは目に見える部分を改善する事で解決できます。心理学では無理やり笑顔を作ったり、パワーポーズといって体を大きく見せるような姿勢をとるとモチベーションが上がる事が知られています。
今回紹介したまずは行動するというのもこうした心理学の研究と合致していますね。研究テーマに興味がなくても騙されたと思ってまずは必死に取り組んでみましょう。