瞑想の科学的効果とは?短期間でも効果がある話

瞑想で脳の構造が変化する話
この記事はこんな悩みを解決します
  • 瞑想ってなに?
  • マインドフルネスと瞑想は違うの?
  • 瞑想って効果あるの?

瞑想はスピリチュアルな感じがして効果を疑ってしまいます。しかし、グーグルやアップル、ナイキなど様々な優良企業で取り入られていることが知られています。また、科学的なデータもいくつか出ているので紹介します。

この記事を読むことで瞑想とは何かと瞑想の科学的効果がわかります。

瞑想の科学的効果とは?短期間でも効果がある話

 瞑想とは呼吸や歩行動作など何か特定の動作にに意識を集中させることを言います。

普段の生活の中では過去や未来のことに意識を奪われ動作自体に集中出来ていません。

私たちは集中できていない

ネットやスマホの普及により私たちは今までにないほどの情報に晒されています。そのため、仕事中にもスマホに来た連絡について考えてしまったり、食事中もネットを見て食べることに集中出来ていない、といったことがあるのではないでしょうか?
これでは何をしていても集中できず効率が悪くなってしまいます。

そこで瞑想が有効になります。

瞑想は1つの動作に集中することで脳の構造が変わり集中力の上昇だけでなく、客観的な判断ができるようにしてくれます。

瞑想の科学的効果

瞑想は仕事や教育、治療に効果的だということが報告されていますが、科学的効果が疑われている報告もあります。

ポジティブな結果だったり大きな成果が見られた時にだけ報告するため強いバイアスが掛かっていると言う指摘もあります。

また、実験上いくつかの課題があり測定するのが難しいと言う面もあります

瞑想の効果を確認する上での課題
  • 瞑想の効果は短期と長期で結果が異なることがある。
  • 対称群をどのように置くかに問題がある;瞑想のどこに効果があるか分からないため何と比較すればいいか分かりません。姿勢や呼吸、思考状態など詳しい瞑想の仕方を教えられたグループと教わらなかったグループでの実験が望ましいとされています。
  • 測定装置が高額;神経の活性化度合いを測定するためにfMRIを使わないといけないのですが実験費用が高額になります。

しかし、こうした課題を乗り越えて科学的な効果が確認されているものもあります。

瞑想の科学的効果
  • 認知機能の上昇
  • 感情を制御できるようになる
  • 自意識の向上

認知機能の上昇

瞑想により注意の瞬きと言われる現象が防ぎ、ワーキングメモリが上昇する事が報告されています。

注意の瞬き

注意の瞬きとは

注意の瞬きとは一時的に認知機能が低下することを言います。
例えば、特定のキーワードを見つけるために文章を読んでキーワードを見つけるとその周辺にあるキーワードに気づけない事があります。
この現象を注意の瞬きと言います。

注意の瞬きは連続的にアルファベットが映し出し、その中に混じっている数字に反応すると言う試験方法で測定します。

ウィスコンシン大学の研究では瞑想をしたグループでは一度数字を見つけた後でも次の数字を見つける確率が上昇していたという結果があります(R)。

ワーキングメモリが向上する

ワーキングメモリとは仕事などで使う短期間の記憶力のことを言います。

カリフォルニア大学で行われた研究では瞑想により短期間の記憶力やその情報を処理する能力が高まることが知られています(R)。

この実験では2週間のマインドフルネスでタスクから気が逸れることが少なくなり、認知機能が改善したとしています。

感情の制御

瞑想により感情の処理の仕方が上手くなることが知られています。

瞑想による感情の制御
  • ストレスや不安の軽減
  • ネガティブな感情からの回復力の上昇
  • 幸福感の上昇

こうした結果が瞑想の第一人者として知られているジョン・カバットジンの研究やバージニア大学で行われた研究(R)により明らかになっています。

また、ケンタッキー大学で行われた研究ではマインドフルネスと同様にセルフコンパッションも幸福感を高めることが分かっています(R)。

ちなみに、瞑想の達人たちはガンマ波という脳波を出し、何もしていないときでも喜びや穏やかさを感じられる能力があるようです。

自意識の向上

瞑想により今のこの瞬間に対する意識を強めることができるとされています。

仏教によると、瞑想により自意識から解放され、ストレスや痛みを感じにくくなると言われています。
実際に瞑想の訓練を積んだ人は体が受けているストレスと自分の判断を別々に考える事ができ、痛みが生じていても客観的に痛みを捉えられるようです。

こうした痛みや喜びなどの感覚を直感的に判断してしまうのは大脳基底核が原因とされています。しかし、瞑想により大脳皮質が鍛えられるため外からの刺激を冷静に判断できるようになるそうです。

サンクコストにもとらわれなくなる

サンクコストとは?

サンクコストとはすでに支払ったコストのことを言います。
例えば、1万円支払って買った靴が足に合わずに靴擦れを起こしたとします。通常は「1万円払ってしまったからな〜。」という感情が湧いてきて靴づれの痛みというさらなるコストを支払ってしまいます。

マインドフルネスをした場合にはこうしたサンクコストに引きずられ難くなるようです(R)。理由としては過去や未来でなく今に集中するからだと考えられています。

瞑想に効果がある理由

いくつか瞑想の効果を紹介しましたが、その理由についても明らかになっています。

なぜ瞑想で効果が得られるのか?

  • 認知機能を司る前頭前野の働きの強化
  • 感情の処理を担う扁桃体の働きの低下
  • 効果的な学習、記憶、知覚をもたらすガンマ波の産出
  • セロトニン、オキシトシン、ドーパミンなどの幸福ホルモンの増加
  • 知覚や思考、随意運動などの高次機能を制御する大脳皮質の肥大化

サラ・ラザーはMRIにより瞑想による脳の注意力や感覚処理に関わる領域の肥大化を確認しています。さらに、瞑想の実践歴が長い人ほど肥大化の程度も大きいようです

このように瞑想は脳のネットワーク全体に効果があり、行動や思考の変化と関係があるようです。

マインドフルネスとの違い

瞑想に似た考え方でマインドフルネスというものがあります。

マインド・フル、つまり心の中をいっぱいにすると言うものです。瞑想で特定の動作に集中したようにマインドフルネスは「今、この瞬間」に集中することを言います。

「マインドフルネスは目的でなく、瞑想はそれ自体が目的」と言う説明がありますが少しわかりにくいです。
マインドフルネスの1つの方法として瞑想があると思って間違い無いでしょう。

ちなみに、マインドフルネスには瞑想以外にもヨガや太極拳などの方法もあります。

瞑想は短期でも効果がある

瞑想は短期でも効果がある

こうした瞑想の効果があるのですが、どうせ長期間訓練しないといけないんでしょ、と思ったかも知れません。

短期的でも効果があると言う報告もあるので紹介しておきます。

瞑想は短期間でも効果がある

・2013年にカリフォルニア大学が行なった研究によると2週間、10〜20分の瞑想によりワーキングメモリの上昇や認知機能の上昇が確認されていますR)。理由としてマインドワンダリングと言う注意がそれてしまう現象が減っていることも確認されています。
・ノースカロライナ大学によって行われた研究ではたった4日間の瞑想でワーキングメモリや持続的課題処理能力、言葉の流暢さが向上したことが分かっていますR)。

では、基本的な瞑想の仕方を紹介します。

瞑想の基本的なやり方

  1. 目を閉じて背筋を伸ばして座る
  2. 6秒心の中で数えながら息を吸う
  3. 7秒心の中で数えながら息を吐く
  4. 自分の息に集中する
  5. 呼吸以外のことがよぎったらそのことを認識する
  6. 雑念を優しく手放し、再び呼吸に集中する
  7. 決めた時間続ける

最初は辛いかもしれないので5分程度から始めてもいいでしょう。

辛いと感じると効果が薄れるので自分に負担がかからないように徐々に時間を伸ばしていきます。過去の実験にもあるように一日20分程度で十分かと思います。

4、5、6のプロセスについてそれぞれ脳が活性化する場所が違うとされています。

  • 自分の息に集中する…背外側前頭前皮質
  • 呼吸以外のことがよぎる…後帯状皮質、外側側頭皮質、楔前部など
  • 雑念を認識する…前頭島皮質、前帯状皮質
  • 雑念を優しく手放し、再び呼吸に集中する…背外側前頭前皮質

上手くできていれば呼吸を吸う時と吐く時で脳の感じ方が違うことや呼吸ってこんなに複雑な動作だったんだ、など気づくことがあると思います。

まとめ

今回は瞑想の科学的効果について紹介しました。

研究者によって瞑想のやり方や測定方法が違うためはっきりと効果があると言い切れないところはあるようです。

しかし、成果を出している多くの企業で取り入れられていたり、様々な効果があると言う論文が多数あるため試してみる価値はあると思います。

また、マインドフルネスとマインドレスをうまく組み合わせることでクリエイティブな発想ができると言う報告もあります。

参考文献
The neuroscience of mindfulness meditation

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