一度の成功は格差を生み出す〜マタイ効果

一度の成功は格差を生み出す〜マタイ効果

お金持ちはよりお金持ちになる、という言葉を聞いたことはありますか?
➡︎二人の能力に差がなかったとしても過去に成功した人の方がその後も成功するようです。

この現象が科学の分野でも当てはまるのかについて研究が行われているので紹介していきます。

マタイ効果〜過去の成功は格差を生み出す

この記事は2018年にアムステルダム大学で行われた研究に基づいて書いています。

マタイ効果とは?

➡︎過去に成功した人はその後も成功しやすい、という効果のことです。

この効果は1968年に社会学者ロバート・キング・マートンによって提唱されました。マタイとは聖書のマタイによる福音書に因んでいるそうです。

世の中でもゾゾタウンで成功した前澤友作さんがYoutuberでも成功していたり、PayPalで成功したイーロンマスクがテスラモーターでも成功しています。
有名人でなくてもインフルエンサーと呼ばれる人は他の分野でも成功している人が多いように思います。

なぜ、マタイ効果が起こるのか?

➡︎理由として下記の2つが考えられています。

  • 一度成功すると周りがその人の能力を過剰に評価してしまう
  • 成功したリソースを利用できる

著者はこれを科学の分野に当てはめて
若い時期に成功した人の方がその後の研究で助成金を受けやすいのか
科学的にインパクトのある研究を行っているのか
教授になる可能性が高いのか
を調査しています。

科学の分野で一度成功するとお金を得やすくなる

成功したかどうかの閾値を決め、それよりもどれほど高いかで成功の度合いを測定しています。

?この調査の結果
若いときに少しでも成功した(閾値より高い)人はその後のキャリアでも助成金の金額が高いことが分かりました。

この差は年を追うごとに離れていき、閾値よりも少し上か下かで4年後に受け取る金額が平均で40000ユーロ(約490万円)の差がありました。さらに、8年後にはこの差が180000ユーロ(約2200万円)に増えています。

また、閾値よりも大分優れている人と少ししか優れていない人では金額に大きな違いはありませんでした。

✔️このことから、若いころに少しでも優れた成績を出していることが将来の助成金の量に大きく影響すると考えられます。

科学の分野で一度成功しても成果は出ない

一方で、若いころに成果を出し、お金をもらっている方がインパクトのある成果を出せるようになるのか、という調査も行っています。

?結果は変わらないということでした。
助成金の量が増えているにも関わらず、若いころと同程度の結果しか出せないようです。
ただ、若い頃と同じ様に助成金をもらっていない人よりかはインパクトのある結果を出しています。

?注目すべきは閾値に近いグループです。
閾値よりも少し上の人は閾値よりも少し下の人と同程度の結果しか出せていません。それにも関わらず、多くの助成金を貰っています。

このことから、著者は助成金を割り振るときに過去の成果に引きずられすぎではないか、閾値よりも少し下の人にお金を回すことで効率よく結果を出せるのではないか、と考察しています。

ちなみに、教授になる可能性が高いのか、について調査した結果でも閾値より少しでも高いかどうかで教授になる可能性が上がるようです。

まとめ

✔️この研究からマタイ効果が科学分野でも起こっていることが確認できました。
また、その効果は閾値よりも少しでも高いかどうかで助成金の量や教授になれるかどうかに影響するようです。

しかし、助成金の金額が増えたからといってインパクトのある成果をどんどん出せるようになるのかというとそうではないようです。

今の仕組みだと若いころに頑張って成果を出すことがとても重要みたいですね。

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