GRITとは?平凡な自分が一流になる方法
- 何をやっても大した成果が残せない
- 一流になって活躍したい
- GRITについて詳しく知りたい
多くの人は成果が出ない理由を才能のせいにしたり周りの環境のせいにします。しかし、科学的にはそんなことよりも大切なものがあるとされています。
この記事を読むことで人より優れた成果が出すために必要な能力が分かります。
GRITとは?平凡な自分が一流になる方法
平凡な自分が成果を出せない理由、それは平凡だからではありません。やり抜く力(GRIT)が足りていないからです。
ペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックワークスは成功する人と失敗する人は何が違うのか?というテーマで研究を進めました。
アメリカの米国陸軍士官学校は入学審査がとても厳しくアメリカの最難関大学と変わりません。しかし、訓練の厳しさから5人に1人の割合で中退してしまうことが知られています。
この原因として普通は才能や適正、学力、体力などを考えてしまいます。
しかし、ダックワークスはやり抜く力が高いほど卒業する確率が高くなっていることを発見しました。
他にも似たような調査としてアメリカのスペリングコンテストで決勝に進む子供は言語知能指数とは関係なく、やり抜く力が強いことが分かっています。
どうやら、成功するためには才能や適正よりもやり抜く力が必要みたいですね。
達成の方程式とは?
なぜ、才能ではなくやり抜く力が成功と相関があるのでしょうか?
著者は”達成の方程式”で説明できるとしています。
- 才能 × 努力 = スキル
- スキル × 努力 = 達成
この式は物事を達成するためにはスキルと努力が必要で、スキルを習得するためには才能と努力が必要ということを表しています。
つまり、努力がスキルを身に付けるためと物事を達成するための両方に必要なため、やり抜く力が重要ということです。
しかし、私たちは努力を怠ってしまいます。その原因は何でしょうか?
才能を過大評価してしまう
どうやら私たちは才能を評価しやすい、というバイアスを持っているようです。例えば次の2人のピアニストのうち、どちらの演奏を聴いてみたいでしょうか?
- 努力してプロになったピアニスト
- 才能でプロになったピアニスト
おそらく才能でプロになったピアニストの演奏を聴いてみたいと思ったのではないでしょうか?
私たちは努力は誰にでもできるものと思い込んでいるため才能のあるピアニストの方に魅力を感じてしまうようです。
どうやら私たちは才能を過大評価してしまっているようですね。
一方で才能ではなく努力を大切にして、やり抜く力が高い人もいます。では、やり抜く力はどのようにして作られるのでしょうか?
やり抜く力はどのようにして作られるのか?
世間では「努力できることも才能」と言われるように努力も遺伝で決まっているのかもしれません。
その可能性を否定する研究について紹介します。
一卵性双生児と二卵性双生児の人を対象にやり抜く力の調査が行われています。もし、遺伝でやり抜く力が決まるなら一卵性双生児のやり抜く力は同じになるはずです。
しかし、一卵性双生児と二卵性双生児でバラツキに差が無かったことからやり抜く力は遺伝ではないという結果が出ています。
遺伝でないとしたら、何がやり抜く力を決めるのでしょうか?
答えは環境と言う結論が出ています。
では、どんな環境がやり抜く力に影響するのでしょうか?
- モチベーション
- 年齢
- 興味を伸ばせる環境
モチベーション
もし、勤め先でこのプロジェクトがうまくいかなかったらクビだから、と言われたらどうでしょうか?今の会社でこれからも働きたいと思っている場合には困難なことがあっても一生懸命努力すると思います。
こんな感じでモチベーションがやり抜く力に大きく影響しています。
年齢
また、年齢が高い人ほどやり抜く力が高まり、誠実さや思いやりが増すという調査結果もあります。人は人生経験からやり抜く力や誠実さや思いやりの大切さを学んでいると考えられています。
興味を伸ばせる環境
興味を伸ばせる環境だと目の前のタスクに集中できやり抜く力が高まることが分かっています。ここがやり抜く力を高める一番のポイントになります。詳しくは次の「やり抜く力を高める4ステップ」で紹介します。
やり抜く力を強める4ステップ
やり抜く力を育てるためには4つのステップがあるとされています。
- 興味を持つ
- 練習する
- 目的を持つ
- 希望を抱く
これらについて詳しく紹介します。
興味をもつ
やり抜く力を育てる最初の一歩は興味を持つことです。仕事をしていても興味がなければ困難なことに出会ったときに乗り越えれません。
- 仕事への満足度が高まる
- 業績が改善される
- 情熱が持てるようになる
アンジェラ・ダックワークスの行なった調査で上記の結果が得られています。
興味があることで仕事に情熱が持て、業績が改善されて仕事の満足度が高まるようです。
こうした結果が出ていても興味のあることを仕事にできている人はなかなかいません。ギャラップの調査によると日本には情熱のある社員は6%しかいないという報告もあります。アメリカの32%と比べると大分低いです。
この原因として
・そもそも興味のあることがわからない
・興味のあることでは食べていけない
の2つが挙げられます。
そもそも興味のあることがわからない
自分の興味はどのように見つかるのでしょうか?一般的には親や先生から褒められた、有名人に応援してもらった、などの答えを考えてしまいがちです。しかし、1度の大きな出来事に遭遇して興味が引き出されるのではない、ということが分かっています。
大きな出来事はきっかけにはなりますが、それを極めたいと思うほどの興味は引き起こしません。
NASAの宇宙飛行士のマイク・ホプキンスはテレビでスペースシャトルの打ち上げをみたことはきっかけでしかなく、その後に何度も打ち上げの映像を見てNASAのことを詳しく調べ始めた、と言っています。
このように最初は漠然とした興味しかなく、その後に少しずつ関心を抱いていき興味になるようですね。
興味のあることでは食べていけない
確かに興味に従っていただけでは食べていけません。食べていくためには誰かの役に立つことをする必要があります。
テレビゲームに興味や情熱があるだけでは誰も得しないので食べてはいけません。しかし、最近ではe-sportsのようにゲームをやっているところを見るのにお金を払う人がいるので、その人たちが喜ぶパフォーマンスをすればお金になりそうです。
個人的にはパラレルキャリアで好きなことを仕事にすることをオススメしています。2つのキャリアを持ってどっちかが潰れても生活に困らないように準備しておきましょう。興味に従って仕事ができるのでやり抜く力を高く維持できそうですね。
練習する
興味を持った後は能力向上のために練習をします。何かをやり抜くためには自分の能力を上げなければならないのですが、練習は辛いですし、成果が出ないこともあります。多くの人はこの練習に耐えきれずに辞めていきます。
- 意図的な練習
- フローに入る
- ルーティーンを作る
意図的な練習
同じ練習を続けていても成果は出ません。やり抜く力の高い人は練習時間が長いことが知られていますが、意図的な練習をしていることも分かっています。
- ある一点に目的を絞って高めの目標を設定する
- 集中して目標を達成する
- 改善すべき点を理解しうまくいくまで何度でも練習する
例えば英語の勉強をするときに英語が好きだからと言って無闇に英語の勉強をしていても上達しません。英語のリーディングなのかリスニングなのか、リーディングの場合には文法問題に弱いから文法を勉強し直そう、と考えます。こんな風に自分の能力を高めるように意図的な練習をしなければなりません。
改善のポイントは自分ではわからない場合も多いため、他の人に意見を聞いたり、自分の能力を客観的にみることが重要です。
フローに入る
意図的な練習では自分に新たな能力を染み込ませていくため努力が必要です。
これとは対照的に自分の今の能力を発揮することが求められている場合にはフローと呼ばれる状態が理想とされています。
フローとは意識していなくても体が勝手に動いてくれるような集中力が極度に高まった状態のことです。スポーツの世界ではバスケの3ポイントシュートが打てば入るような状態をゾーンに入ったと表現されます。
- 努力が必要なくパフォーマンスが高まる
- ストレスを感じない
- 時間が経つのが早く感じる
- フローに入るための訓練が必要
このような状態に入って仕事ができれば最高ですね。
ルーティーンを作る
意識的な練習とフロー状態どちらにも共通して高い集中力が必要です。そのため、ルーティーンを作ることが推奨されています。
ルーティーンとはラグビーの五郎丸や野球のイチローのように同じ動作を繰り返し行うことで集中力を高める方法です。
毎日同じ場所で練習する、毎日練習の前に決まった行動を取るなどルーティーンを作ることで集中力が高まります。
目的を持つ
強い目的を持つことはやり抜く力を保つために重要です。
例えば次の3つの中で一番やり抜く力が湧いてきそうなのはどれだと思いますか?
- この仕事は野菜を作る仕事です
- この仕事は日々の食事のための野菜を作る仕事です
- この仕事は食事を通じて人々の健康を守る仕事です
おそらく3番目が一番やり抜く力が湧いてくると思います。理由は自分のためだけでなく、世の中に対する自分の仕事の意味を理解しているからです。
ただの自己満足では
・自分が他の事に興味を持つ
・飽きてしまう
などにより努力を怠ってしまいます。
最初は自分の興味を満たすことが目的ですが、ほとんどの場合は目的が他者へと移行します。しかし、仕事をしている人の多くはそこまで考えれていないようです。
このような仕事の捉え方を変えて仕事をすることをジョブクラフティングと言います。
しかし、目的だけではパフォーマンスは上がりません。ペンシルバニア大学のアダム・グラントの研究によると目的と自分の興味(仕事そのものを楽しいと感じること)の相乗効果によってパフォーマンスが高まることが知られています。
やはり、興味からスタートしていないと仕事のパフォーマンスは落ちるみたいですね。
希望を抱く
希望がなければ努力できません。努力した先にメリットがあったり、自分で現状をコントロールできると認識しないと悲観的になってしまいます。
マーティン・セリグマンとスティーブ・マイヤーの犬を使った実験があります。一方の犬には後ろ足に不規則に電気刺激が送られるようになっており、目の前にあるパネルを鼻で押すと止められるようになっています。
もう一方の犬は何をしても電気刺激が止められません。同じ回数刺激を繰り返し、翌日2匹を床に電気が流れる部屋に連れて行きます。
少しジャンプすれば電気のこない床に飛び移れるのですが、前日に電気刺激を止めるすべを与えられなかった犬は飛び移らず、与えられた犬は飛び移りました。
このように何をしても無駄だという感覚が染み付いてしまうと行動できません。
私たちがこうした無力感に打ち勝つためには自己効力感が重要です。自己効力感とは「自分が行動することで周りを変えれる」という感覚のことをいいます。小さい成功を積み重ねることで「自分はできる感」が強くなります。
通常はこの4つのステップを何度も繰り返して自分なりに深めていきます。
実際にやり抜く力は課外授業で見につくという報告もあるので紹介しておきます。
やり抜く力は課外活動で身につく
コロンビア大学のMargo Gardnerによって発表された論文では課外活動が子供のやり抜く力を高め、進学や正職員になる可能性、収入に影響しているとしています。
- 1万1000人の10代の学生を調査し26歳まで追跡調査を行なった
- 学校の部活動だけでなく、地域のコミュニティで行われている活動も調査した
- 活動に対しての熱心さの違いの影響を測定した
結果
・課外活動に参加していると大学進学率が約50%高まる
・8年後に大学を卒業している可能性が49%~78%高まる
・学校の部活動に2年以上取り組んでいると大学を卒業して正社員になる確率が高まる
・他の人よりも収入が高くなる。
・熱心に取り組んでいるほど効果が出やすい
・ボランティアに参加しやすくなる
課外活動は自分の成長を促してくれるみたいですね。
やり抜く力を測定する
やり抜く力は情熱と粘り強さの2つで構成されています。
次の質問に「全く当てはまらない」から「非常に当てはまる」まで1〜5点の5段階で評価してください。
- 新しいアイディアが出てくるとそちらに気を取られてしまう
- 目標を設定しても別の目標に乗り変えることが多い
- 何ヶ月もかかることに集中して取り組むことができない
- 興味の対象が毎年変わる
- アイディアやプロジェクトに夢中になっても興味を無くしてしまう
- 挫折しても簡単には諦めない
- 私は努力家だ
- 一度始めたことは必ずやり遂げる
- 私は勤勉で諦めない
- 重要な課題を克服するために挫折を乗り越えたことがある
1〜5の質問は情熱で6〜10の質問は粘り強さに関係する質問です。点数の平均を出してください。
次に下記の表を使ってスコアに対するパーセンテージを確認します。もし、粘り強さのスコアが3.3だった場合には普通の人よりも粘り強さが高い可能性が30%ということになります。
パーセント | スコア |
10% | 2.5 |
20% | 3.0 |
30% | 3.3 |
40% | 3.5 |
50% | 3.8 |
パーセント | スコア |
60% | 3.9 |
70% | 4.1 |
80 | 4.3 |
90% | 4.5 |
95% | 4.7 |
99% | 4.9 |
これにより情熱と粘り強さ、それぞれを足したやり抜く力をもとめることが出来ます。
まとめ
今回は成功するためにはやり抜く力が重要という話を紹介しました。
結果が出ないからと言ってあきらめているとやり抜く力が低下し成果が出にくくなります。
ただし、諦めてもいい時があります。
それは、代わりの目標がもっと大きな目標の手段になる場合です。
世界に影響力を持つ人間になる、と言うのが最大の目標の場合、プロのスポーツ選手になることを諦めて別の方法を探しても問題ありません。
最大の目標がぶれないことが一番大切です。
いろんな試行錯誤を繰り返して目標に突き進んでいきましょう。
参考文献
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
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