【徹底解説】地球温暖化とは?意外と知らない恐ろしい影響とは。

【徹底解説】地球温暖化とは?意外と知らない恐ろしい影響とは。
この記事の対象者
  • 地球温暖化でどんな被害が出るの?
  • 有効な対策法はあるの?
  • 地球温暖化について網羅的に知りたい

地球温暖化について問題だとは思っていても詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか?1日の中でも10℃以上違うことがあるし温暖化で1℃や2℃変化しても大きな問題は起こらない、と思ってしまいますよね。しかし、その認識は間違いです。温暖化による問題が起こってしまうと取り返しがつかなくなります。今回は地球温暖化の問題について網羅的に書いていきます。

この記事を読むことで地球温暖化についての知識が身につきます。

【徹底解説】地球温暖化とは?意外と知らない恐ろしい影響とは。

太陽の光から感じる熱は放射エネルギーと呼ばれており約3割は宇宙に跳ね返されているとされています。

しかし、残りのエネルギーは大気と地表に吸収されます。暖められた地球は余分なエネルギーを宇宙に放出しようとするのですが、波長が長く、大気中の二酸化炭素やメタンガス、水蒸気によって吸収されやすいという特徴を持っています。そのため、エネルギーを地球の外に追い出すことができず温暖化になってしまいます。主に二酸化炭素がエネルギーを吸収する原因のため、二酸化炭素の削減が呼びかけられています。

二酸化炭素は温暖化の原因ではない?

二酸化炭素が温暖化の原因ではない、という主張を聞いたことがある人もいるかもしれません。温暖化の影響を紹介する前にこの疑問を片付けておきましょう。

二酸化炭素が温暖化の原因というエビデンスはいくつもあるのですが、二酸化炭素が温暖化の原因ではないという科学的データも出ています。一部の科学者は二酸化炭素ではなく、太陽の活動周期によって温暖化が起こっている、と主張しています。その根拠としては地球温暖化が産業革命よりも少し前から始まっていることが挙げられています。

過去50万年間の平均気温

温暖化の原因について様々な説がありますが、このまま温暖化してもいいのか?という疑問について様々な考察がされています。特に、温暖化のレベルが過去50万年の間で一番高くなることが懸念されています。

過去何十万年の温度を調べる方法として南極の氷床コアを調べる方法があります。氷の中に閉じ込められた空気の成分(二酸化炭素やメタンガスなど)を調べることで当時の気温を予想します。

この調査によると過去50万年の間に平均気温が今より2℃ほど高かったことがあるのですが、それ以上高くなったことがなく、2℃を越えると危険なことが起こるのではないかと考えられています。

それでも、二酸化炭素を削減しよう

何が原因なのかはっきりと分かりませんが、今の所は二酸化炭素がもっとも有力な原因とされています。

また、科学的に立証されていなくても、二酸化炭素が温暖化の原因として対策を取るべきだ、という意見もあります。なぜなら、問題は二酸化炭素じゃない、と仮定して二酸化炭素を大量に放出した場合、その後二酸化炭素が原因だった時に取り返しのつかないことになってしまうからです。そうなってしまうよりかは、二酸化炭素を制限しておいた無難ですよね。

つまり、「二酸化炭素が原因ではない」と言い切るのはギャンブルになってしまうので危ないということですね。

気候変動の予測

将来の気候変動に対して国際的に温暖化についての調査を行なっているIPCCは2種類の予測を出しています。

ICPPの出した2つの予測
  • 大気中の二酸化炭素が今後70年間で倍になり、その期間の気温の上昇の平均値は1.8℃になる。
  • 70年後に大気中の二酸化炭素が安定した後、長期的に気温が約3℃上昇する。

多くの研究者がこうしたモデルを構築してきており、その中から得られた重要な結論として下記のようなものがあります。

  • 21世紀の海面上昇の推定は巨大氷床の影響を除いて18〜60cmになる。
  • 1900年から2100年の世界の平均気温の上昇幅は1.8〜4.0℃になる。
  • 陸地では世界平均で見たときよりも急な温度変化が起こり、北極圏ではさらに加速される。
  • ハリケーンの強大化
  • 二酸化炭素の上昇により海洋の酸化が引き起こされる。

こうした懸念事項が一度起こってしまうとなかなか元に戻せない、ということも言われています。

例えば、氷床の問題があります。氷床の体積は温度ともに減っていきます。しかし、その減少スピードは一定ではありません。世界の平均気温の上昇が5℃程度までは緩やかなのですがそれ以上になると一気に減っていくとされています。

さらに、氷床を元に戻そうとしても平均気温が5℃上がった時点から4℃下げてもあまり変化はなく最後の1℃で急速に戻るとされています。つまり、一度溶けた氷床を元に戻そうとすると平均気温を5℃下げないといけないということです。

また、温暖化の影響はすぐに出るものばかりではありません。何年もかけて徐々に影響が出てくる場合もあります。

例えば、氷床の崩壊や植生の変化、土壌やツンドラなどです。雪が早く溶けてしまうと太陽からのエネルギーを反射できなくなり温暖化が進むということもあるそうです。

温暖化による様々な被害

紹介したように温暖化によって様々な深刻な被害が出てくることが分かっています。この深刻さについて理解を深めるために下記の項目について具体的な例を見ていきましょう

温暖化の被害が出る分野
  • 農業
  • 健康
  • 海洋
  • 台風

農業への影響

温暖化の問題を考える上で農業の分野が一番敏感だとされています。雨季や乾季、気温などが作物の成長に大きく影響するからです。干ばつや洪水被害、熱波などにより作物の収量が減ると飢饉が発生し、世界の情勢が不安定になります。

IPCCの第4次評価報告書によると地域の平均気温が1〜3℃上昇すると食料の生産能力は上昇し、これを越えると一気に低下すると予測されています。植物が育つのに必要な光合成についての研究からこのような結果が出されています。

1〜3℃なら逆に良いのか、と思うかもしれませんが、そうではありません。干ばつや洪水などの規模と頻度の増加が予想され、特に低緯度の地域では作物の生産に悪影響が出ると考えられています。

また、土壌の水分量が低下し水循環がうまくいかず、作物をうまく栽培できない可能性も指摘されています。

一応、対策としては肥料の配合の変更や播種する時期の変更、使う種子の変更、耕作地域の変更が考えられています。

経済への被害は少ない?

経済的な面で行われている調査によると農業が経済に与える影響が少ないと言うことも言われています。農業は第二次世界大戦直後の5分の1に価格が下がっています。1929年にアメリカで農業はGDPの10%を占めていましたが、今では1%未満です。東アジアでは1962年に40%でしたが2008年には12%にまで縮小しています。

そのため、食料不足により健康や福祉の面で被害が出ますが、経済的なダメージは吸収できそうという結論になっています。

今後10年間は農業による経済的な被害はわずかですが、長期的な面で見たときには降水パターンの変化や急激な気候変動により甚大な被害が出ると予測されています。

健康への影響

温暖化により作物の収量が減ることによる栄養失調の他にも熱ストレスや大気汚染、熱帯病の蔓延が懸念されています。温暖化について書かれたスターン・レビューによると世界の平均気温が1℃上昇するだけで気候変動の年間の死者数は30万人増えるそうです。

健康や福祉の問題については被害の大きいアフリカが中心になります。

こうした公衆衛生の分野でDALYと言う指標が作られています。DALYは障害調整生存年数と言う概念で、様々な病気で失われた健康でいられる年数を示すものです。

例えば、70歳の平均余命が10年だとして、心不全により死亡した場合には10DALYの損失になります。他にも病気を抱えている場合は余命損失年数の何%に相当すると言う計算をします。

この概念を使うと2050年にはアフリカの地域に住んでいる人は1000人あたり計15DALY悪化させるとされています。つまり、一人当たり寿命が0.15年ほど短くなると言うことになります。

予想ほど悪くない結果かも?

しかし、こうした計算にはアフリカの経済成長を考慮していないと言う指摘があります。実際に所得が10%向上すると平均寿命は0.3年伸びると言うデータがあります。ただ、経済発展をすると二酸化炭素の排出量が増加し、温暖化を促進させると言う議論もあります。

温暖化による影響を経済の力で緩和できると言う議論に決着はついていませんが、どんな事態が起こるかは誰にも予測できないため軽視すべきではないと言う結論になっています。

海洋への影響

地球温暖化は海洋へ下記のような影響を及ぼします。

地球温暖化が海洋に与える影響
  • 海面の上昇
  • 海洋の酸性化
  • 海洋循環の大規模な変化

海面の上昇

海面の上昇は多くの都市や世界遺産、沿岸部の地域に様々な被害をもたらすとされています。この問題に対しては土地を死守しようというよりも自然なプロセスを受け入れ沿岸を変える様な対策が考えられています。

海面上昇の要因には下記の2つがあります。

  • 熱膨張…水温、圧力、塩分に応じて海水の密度が変化する現象
  • 陸表の融解…氷河や氷床の融解

熱膨張による海面の上昇は年3ミリメートルほどで2100年までに0.2メートルになると考えられています。

一方で陸表の融解では氷河や氷帽の融解がメディアで取り上げられていますが、一番の問題は氷床の融解です。

例えば、グリーンランドの氷床が全融解すると海面が7メートル上昇するとされています。上記で紹介したように、一度融解した氷床を元に戻すためには融解点よりも大きく温度を下げなければなりません。温暖化を止めることもできないのに温度を下げるのはほぼ不可能でしょう。

海洋の酸性化

大気中の二酸化炭素は海洋の酸性化を引き起こします。そして、酸性化が進むとサンゴ、軟体動物、甲殻類などの炭酸カルシウムを分解するため生態系の変化が予想されています。

また、今日の二酸化炭素濃度が今まで通り上昇するとあと20〜30年で回復不可能になるとされています。

海洋の酸性化の問題は確実に起こることですが、それが生態系にどの様に作用するのかは予想が難しく実際に起こるまではわからない様です。

海洋循環の大規模な変化

温暖化は海洋の循環を大きく変えることが知られています。

例えばメキシコ湾の暖かな表層水は北に向かって流れ北大西洋地域で熱を放射するため、その一帯が生物にとって住みやすい場所となっています。

温暖化はこうした世界規模の仕組みを破壊してしまう可能性があります。これにより生態系が変化し動物や植物が絶滅してしまうことも考えられます。もちろん、一度絶滅してしまうと元には戻れません。

また、海洋の温度変化も引き起こし、台風やハリケーンの勢力を強めてしまいます。

台風への影響

台風の主な原因は暖められた表層の海水とされています。温暖化により水温の高い地域が広がることで台風の発生地域の広がりと勢力の拡大が懸念されています。具体的には海面温度が4℃上昇すると風速が7メートル上昇するという報告もある様です。

今後温暖化が進んでいけば台風の進路も予想できなくなり、今は被害が少ない地域でも被害が起きる可能性があるとされています。実際にアメリカではハリケーンによる被害がGDPよりも年2%上回る速さで上昇しています。

対策としては建物の強度を高めたり、海抜の高い地域へ移動する、予報により早く避難するなどが行われています。しかし、どこかが財源を生み出すのか政治的な問題が絡みなかなか対策が取れないだろうと予想されています。

温暖化が引き起こすさらなる温暖化

例えば温暖化によって夏にクーラーを付けずにはいられなくなり、さらに二酸化炭素が排出される、というようなことです。

自然災害が起こったときも同様で再建するためにさらに二酸化炭素を排出し台風の規模が大きくなる、大規模な土砂災害が多くなる、という悪い循環が生まれます。

さらに、温暖化により永久凍土が解けることで中で眠っていたCO₂やメタンガスが出てきてさらに温暖化を加速するというデータもあります。

日本でも100年に一回の大雨、という言葉をよく聞くようになったと思います。被害者を少なくし、温暖化による悪循環に陥ってしまわないためにも対策を進めていく必要があります。

温暖化被害の対策とコスト

温暖化によってどのような被害が予想されているのか見てきました。経済的に恵まれている先進国を先頭に頑張って取り組んでほしいところです。

しかし、温暖化の問題は地球規模なため、1つの国が積極的に行なってもその他の国がタダで利益を受けることができてしまいます。そのため、各国で足並みをそろえて対策を立てる必要があり、対策の方法も複雑になります。

例えば、温暖化による被害は国によって大きく変わってきます。二酸化炭素を排出している先進国よりも二酸化炭素を排出していない発展途上国で大きくなることが予想されています。

平均気温が3℃上昇したとしても先進国のGDPに対する被害は1〜5%なのに対し、低所得国や中所得国のGDPの上昇率は500〜1000%とされています。これでは先進国の温暖化対策をとるインセンティブがなくなってしまします。

こうした理不尽な状況を無くしていくために国際的な様々な枠組みが作られています。

コペンハーゲンで決められた枠組み

こうした観点からコペンハーゲンで決められた気候変動枠組み条約では温度上昇を2℃に抑えると決められました。

2℃以内というのは温暖化による損害と二酸化炭素排出削減にかかるコストを加味した時のコストパフォーマンスがよくなる条件です。この条件を支える科学的な根拠が3つあります。

  1. 50万年間で地球が温暖だった時期の平均気温が今日よりも2℃ほど高く、それ以上になるのは危険かもしれない。
  2. 2℃以上上昇すると生態系が崩れてしまう可能性が高い
  3. 2℃以上の上昇は臨界点を超えてしまう可能性が高い

これらについてはすでに説明してきた通りです。

さらに、生態系への影響についてはIPCCの第4次評価報告書下記の様に書かれています。

  • 1℃の上昇…水不足の深刻化、サンゴの白化、沿岸洪水の増加、両生類の絶滅の増加
  • 2℃の上昇…20〜30%の生物種で絶滅リスクの増加
  • 3℃の上昇…穀物生産性の低下、氷床の融解による数メートルの海面上昇、医療制度への負担の増加
  • 5℃の上昇…大規模な生物種の絶滅、穀物の生産性の著しい低下、沿岸湿地の30%の消失、海岸線の変化、海洋循環の大規模な変化

上記からもわかる様に2℃と3℃で大きな変化があります。生態系の保存には莫大なコストがかかるので2℃以内に抑えなければなりません。

2℃と1.5℃の違い

ちなみに、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんは2℃ではなく1.5℃以内にしようと訴えています。

1.5℃以内で抑えるのと2℃以内で抑えるのでは様々な所で大きな違いが出てきます。環境省がまとめているものを貼り付けます。

温暖化に対するリスク
1.5℃特別報告書の概要 – 環境省

この詳細についてみていきましょう。ここに挙げた例以外もまだまだありますが、私が気になったものだけ挙げていきます。

気候・気象の変化に対する変化

  • 激しい降水の増加
  • 干ばつ、または降水不足の増加
  • 洪水…1.5℃で100%増加、2℃で170%増加
  • 強い熱帯低気圧の増加

陸地の生態系への影響

  • 1.5℃で昆虫の6%、植物の8%、脊椎動物の4%が生息域の半分を失う
  • 2℃で昆虫の18%、植物の16%、脊椎動物の8%が生息域の半分を失う
  • 森林火災の増加
  • 生態系の変化
  • トウモロコシ、コメ、小麦の収穫量の減少

海洋生態系への影響

  • 1.5℃でサンゴ礁の70~90%が減少
  • 2℃でサンゴ礁の99%が減少
  • 1.5℃で漁獲量が150万トン減少
  • 2℃で漁獲量が300万トン減少

健康への影響

  • 熱中症などの疾患の増加
  • ヒートアイランド現象による熱波の増加
  • マラリア、デング熱の発生地域の増加

グレタさんは温度の上昇を1.5℃以内に抑えるために「国連の報告書を見てほしい」と訴えています。

1.5℃以内に抑える方法

グレタさんのツイッターを元に国連の報告書を読んで見ました。
重要なのは下記の表です。

IPCC-P108
IPCC-global warming of 1.5℃

表を見ただけではよく分からなかったので、自分で調べてみました。TCREは the transient climate response to cumulative emissions of carbon のことでCO₂の排出量に対する温度変化の割合を示しています。つまり、Approximate Warmingが1.5℃の時でPercentile of TCREが67thが420ということは CO₂の排出量が4200億トンの場合、温度上昇が1.5℃以内に収まる確率が67%ということです。技術が未発達なために起こりうる誤差を表の右側にまとめています。こうしたズレは地球の温度が常に変化していたり、研究している人が出す論文によって少しずつ違うことからきています。

  • 地球の活動によるずれ
  • 放射強制力(大気中のCO2、メタン、エーロゾル濃度の変化、雲分布の変化などが引き起こす放射エネ ルギー収支の変化(放射強制力)によって気温が変化する)からくるずれ
  • CO₂以外の温室効果ガスからくるずれ
  • TCREの計算のずれ
  • 歴史的な温度変化から生じるずれ

この表は500ページにもわたる報告書のほんの一部です。 たった16歳の少女がこの報告書の内容を理解して、データをもとに議論ができることに驚きます。

温暖化対策による経済の活性化

CO₂排出を抑える話をすると常に経済の成長を犠牲にするのかという反論が出てきます。しかし、下記のようなデータも示されています。

環境問題と経済成長
1.5℃特別報告書の概要 – 環境省

この調査から温暖化対策をするからと言って経済成長が妨げられるのではなく、むしろ促進する事が分かります。温暖化の対策をすることで経済が活性化するというのは意外なデータだと思います。

では、具体的にどのような対策があるのか紹介していきます。

温暖化対策の方法

温暖化抑制のアプローチには3つのアプローチが考えられています。

温暖化対策の方法
  • 適応策
  • 気候工学
  • 緩和策

適応策

適応策とは温暖化を食い止めるのではなく、温暖化した環境でどの様に生活していくかを考える方法です。温暖化を食い止めるという考え方がグローバルな対策なのに対して、適応策はローカルな対策で費用を出した人だけが恩恵を受ける仕組みになっています。温暖化の影響について懐疑的な人たちはこの考え方を支持しています。

適応策には、農家では灌漑システムの設置、植物工場などにより気候の変動の影響を受けにくくする、などが考えられます。一方で海洋の酸性化や生態系への影響は莫大なコストが必要だったり、実施が不可能だったりします。

こうした方法は温暖化した環境で一部有益ではありますが、根本的な解決でないため想定外の事態が起こったときに大きな被害が生じる可能性があります。

気候工学

気候工学には2つのアプローチが考えられています。

  1. 二酸化炭素をの除去
  2. 太陽エネルギーの反射
二酸化炭素の除去

大気中から二酸化炭素を除去する技術についてはあまり発達していません。大気中から二酸化炭素を除去するためには膨大なエネルギーが必要になり二酸化炭素の収支が合わなからです。

遺伝子工学が発達してきたため、今後は二酸化炭素をより吸収しやすい植物などが作られると考えられています。

太陽エネルギーの反射

地表に届く太陽光のエネルギーを減らす技術は太陽放射管理技術と言われています。この考え方は火山の大規模な噴火の後と似ています。フィリピンのピナツボ火山が噴火した時は2000万トンの粒子が大気に放出され世界の平均気温が0.4℃下がりました。

この現象を人工的に引き起こすことで温暖化を防げると考えられています。この方法だと二酸化炭素の排出削減よりも10分の1から100分の1のコストで目標の温度変化の抑制を達成できるとされています。

しかし、降水量の減少やモンスーンへの影響など重大な副作用が考えられています。そのため、この方法は温暖化を食い止める最後の手段でできれば使わない様にしたいとされています。

緩和策

緩和策とは二酸化炭素の上昇を食い止める方法のことです。一般的な温暖化対策として知られており、もっとも確実性の高い方法とされています。

二酸化炭素の発生源として石油と石炭があります。この2つはそれぞれ二酸化炭素排出量の35〜40%を占めています。特に石炭は燃料1000ドル当たり11トンの二酸化炭素を排出しており、石油の0.9トンと比べると12倍も大きいことが知られています。

二酸化炭素の排出削減のための方法として下記のものが考えられています。

  • 経済成長の抑制…ただし、社会の混乱が予想されるため、推奨されていません。
  • エネルギー消費量の削減…社会や個人で行なっていかなければなりませんがそれだけでは不十分とされています。
  • 財やサービスのための炭素集約度の低下…石炭よりも天然ガスを使うことで二酸化炭素の排出量が半分程度になるとされています。
  • 大気中からの二酸化炭素の除去上記でも書いた様に現実的ではありません。ただ、火力発電により発生した二酸化炭素を回収するまでの工程を一貫したプロセスとして行うCSSと呼ばれる技術が注目されています。ただ、技術とコストも問題から実用化されていません。回収した二酸化炭素を地中に保存することが考えられていますが、安全性や有効性などを検討しなければなりません。

※炭素集約度の低下とは石油や石炭などの火力発電ではなく風力やバイオマス発電を使って二酸化炭素の排出量を低下させることを言います。

温暖化対策のコスト

温暖化対策の方法について紹介しました。しかし、どれもコストがかかるため二酸化炭素削減とのコストパフォーマンスを考えていかなければならないとされています。

コスパの問題には下記の様なものがあります。

温暖化対策のコスパの問題
  • 長期的に見ればコスパがいいのだが、初期費用がかかる
  • 10〜20%の削減であれば各国の負担は比較的に安価だが、80〜90%の削減だと莫大なコストが発生する
  • 二酸化炭素のことに重点を置いているため、低コストで削減できる他の温室効果ガスが軽視されてしまう

重要なのは2つ目の問題です。低い目標であれば高いコスパが発揮できるため、問題が大規模化する前に取り組むことで温暖化の被害を軽減できます。

コペンハーゲンで決められた世界の気温上昇を2℃以内に抑えるという目標もこの想定に基づいています。2℃以内というのは環境面から見れば十分ではありませんが、達成できる現実的な数字となっています。

温暖化対策のための政策

温暖化対策のため政策としては炭素価格を取り入れることが推奨されています。炭素価格とは二酸化炭素の排出に価格をつけるというものです。大きく分けて次の2つがあります。

  1. 炭素税
  2. キャップ・アンド・トレード

平均気温の上昇を2℃以内に抑えるという目標のためにはインセンティブが必要です。そのために、経済の力を使うというのがこの考え方です。

炭素税

炭素税とは二酸化炭素の排出量に応じて税金をかける方法です。

例えば、電力会社や石油会社に炭素価格を払う様に指示すれば、電力や石油の価格が上昇し消費者が負担する様になります。すると、消費者は火力発電よりも風力やバイオマス発電を行なっている電力会社から電力を買う様になったり、車もハイブリットカーやEV車を買う様になります。

これにより二酸化炭素を排出する産業の需要を減らし、よりクリーンなエネルギー産業の需要が増えます。
ヨーロッパの国々では積極的に取り入れられている様ですが、日本ではほとんど取り入れられていません。その結果、二酸化炭素の排出削減も進んでいません。

炭素税により炭素価格は安定するのですが実際の排出量が不明確になるという欠点があります。一方で、次に説明するキャップ・アンド・トレードは炭素価格が安定しない代わりに排出量が明確というメリットがあります。

キャップ・アンド・トレード

キャップ・アンド・トレードとは企業に二酸化炭素排出量の許可証を持つことを義務付け、それを企業間で売買できるシステムのことです。

炭素税が税金という馴染みのあるシステムなのに対し、キャップ・アンド・トレードは馴染みがなく、急激な価格の変動が予想されリスクが高いとされています。理由は排出枠の需要と供給が排出枠価格の変化に感応的に動かないためだとされています。

それぞれにメリット、デメリットがあるためハイブリットさせた強固な妥協策が検討されています。ヨーロッパでは2008年に炭素価格が75%下落した経験があるため、排出権を5割り増しで販売できる制度を導入することで価格の変動を抑制している様です。

まとめ

今回は地球温暖化について詳しく解説しました。

個人にとっては馴染みのない問題かもしれませんが、人類にとっては大きな問題です。自分の子や孫の未来を守るためにもしっかりと考えていきましょう。

参考文献
気候カジノ
Global Warming of 1.5 ºC
IPCC「1.5℃特別報告書」

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