研究が進まない人へ。失敗の連鎖から向け出す方法

研究が進まない人へ。失敗の連鎖から向け出す方法
この記事の対象者
  • 研究が進まない
  • 実験で失敗ばかりする
  • 研究がうまくいかない時の対処法が知りたい

研究をしていると失敗が続き、何ヶ月も研究が進まないことがあると思います。そんな時にはモチベーションが上がらず、手技のミスが起こります。私は研究を10年近く行なっていますがこうした経験を何度も経験しました。そんな時に自分で工夫してきた対策法について紹介したいと思います。

この記事を読むことで失敗の連鎖から抜け出す方法が分かります。

研究が進まない人へ。失敗の連鎖から向け出す方法

研究は誰もまだ行なったことのない実験をするため、失敗する可能性が高くなります。ただ、同じ失敗と言う言葉でも失敗の中には2種類あります。

  • 実験は上手く行っているのに思ったような結果にならない
  • 実験自体が上手く機能していない

この2つは大きく違います。しかし、研究初心者なら実験が機能しているか調べるためのコントロールを置いておらず、2つの違いに気づくことができません。

どう言うことかわからない人のために詳しく説明します。

実験にはポジティブな結果になるはずのポジティブコントロールとネガティブな結果になるはずのネガティブコントロールを置きます。実験が機能しているかどうかはこの2つが予想通りの結果になっているかで判断します。
よくある間違いはサンプル間の差が見れれば良いという考え方です。これだと実験が機能しているのかが分からず、良い結果になっても悪い結果になっても実験として成立しているのか判断できません。そのため、結果の信憑性も低くなります。
どうですか?自分の実験にコントロールは置かれているでしょうか?思い当たるフシがある人はすぐに結果を見直しましょう。

ただ、コントロールが置けない実験も多いです。特にポジティブコントロールは準備するのにお金が必要だったり、ポジティブコントロール自体が目的の研究の場合があります。

この場合はできるだけコントロールを置きつつ、2つの失敗の可能性を考えながら考察していかなければなりません。

では、2つの失敗に対してそれぞれの場合の対処法を紹介します。

実験は上手く行っているのに思ったような結果にならない

論文通りの結果にならなかったり、自分の予想通りの結果にならない場合、3つの対策が考えられます。

予想通りにならない時の3つの対策
  • 論文を読む
  • 条件検討を行う
  • 現実を受け入れる

実験が嫌になりますが、誰も気づいていない新しい発見のチャンスかもしれません。1つずつ検討して何が真実なのか探っていきましょう。

論文を読む

論文通りの結果を出そうと思ってもその論文が間違っている可能性があります。そのため、同じような実験を行なっている論文を片っ端から検索してみましょう。全く同じ実験をしている場合はないでしょうが、根本的なところが共通している研究があると思います。

結果が異なっている場合は結果に影響している可能性のあるファクターを洗い出しましょう。さらに、研究者の名前やジャーナルのインパクトファクターを参考にどの結果が真実の結果なのか仮説を立ててみましょう。

条件検討を行う

集めた情報をもとに実験の条件検討を行いましょう。もしかしたら、サンプルの条件の幅が狭いために差が見られなくなっている可能性があります。論文に書かれている以上に大きく条件を振り差が確認できるか検討しましょう。

影響するファクターが多い場合は重要そうなファクターから優先に行なっていきましょう。大変な仕事になるかもしれませんが、そこは自分の工夫と忍耐力です。それしかありません。

現実を受け入れる

どうしても思ったような結果にならないという場合、現実を受け入れましょう。

参考になる論文が少ない場合…論文が間違っている可能性が高いです。
参考になる論文が多い場合…自分が間違っている可能性が高いです。しかし、実験系の未知の要素が原因の場合が高いのでそれを自分で調べるというのはかなり大変な作業になります。それよりかは違う手法で実験を行い、うまくいかない実験をカバーする方が生産的になります。

また、そういう結果だと受け入れてみると新しいアイディアが出てきます。そのアイディアに基づいて仮説を立てて別の実験を行いましょう。もし、その仮説通りになれば大きな発見の手がかりになるかもしれません。

実験自体が上手く機能していない

何をしてもコントロールが機能しない場合、無理ゲーをしている感じがしてやる気がなくなってしまいます。この場合、論理が正しいか1つずつ確認することが対策となります。

メーカーが推奨している方法があったとしてもそれでうまく行くとは限りません。多くの論文でもメーカーの推奨方法で行なったように書いてありますが、実際にやって見ると上手くいかず、自分で条件を検討すると上手くいったという経験があります。

実験系が機能しない場合はあらゆる事を疑ってかかった方がいいですね。特に、結果にクリティカルな影響を与える方法や試薬に関しての条件検討が必要でしょう。

研究室に蓄積されたデータも参照しよう

当たり前ですが、研究室で過去に行われた事のある実験系ならそれを参照することも忘れないようにしましょう。ネットで見つけてくる情報とは違い、同じもの、同じ試薬で実験が行えるので再現性が取れる可能性が一番高いです。また、論文などでは分からないノウハウがある可能性もあります。

過去に行った事があるけど今は行われてないから気づけなかった、ということもあります。そのため、まずは教授や先輩に相談して関連したデータがあるか教えてもらいましょう。

手技の問題かも

実験をする上で常に付きまとってくるのは手技の問題です。粘度の高い試薬を使う場合やサンプル数が多い場合などに均一の処理が出来ない可能性が高まります。

試薬の濃度やチューブの置き方を工夫して確実に実験ができるように工夫していきましょう。細かなところは言い出すときりがないのでこの辺にしときます。

失敗してやる気が出ない時の対処法

実験が上手くいかず、対策も何となく立ててるけど実験したくない、ということもあります。私も条件検討ばかりしていて何度も実験が嫌になりました。そんな時の対策を紹介したいと思います。

実験する

鬼か!!実験したくないっていってるだろ!!と思ったかもしれませんがちゃんと理由もあります。

私は実験がしたくなくて研究室に行ってもゲームばかりしていたこともありました。実験しようと思っても気分が乗らず「今日はいっか。」となっていました。しかし、そんな気分でも無理やり実験を始めると作業できてしまうんです。

心理学では作業興奮と言ってやってるうちに楽しくなる、という現象があるようです。部活とかで練習したくないと思っても練習が始まると元気が出てきたり、掃除面倒だな、と思ってもやり始めたら綺麗になって行くのが楽しい、という経験はありませんか?

実験も始める前が一番ストレスがかかり、初めて見ると集中できるということがあります。

同僚と無駄話をする

これは納得のいく対策だと思います。今までの人生の中で辛いことを友達と共有することで気分が軽くなったということがあるかと思います。研究でも同じことが起こります。

私は実験でミスをして1ヶ月かかって準備したサンプルを台無しにしたことがあります。再び1からサンプルを準備するのかと思うと全くやる気が出ませんでした。

しかし、この話を同僚にすると再び実験を行おうという気力が出てきました。誰かに自分の気持ちをわかってもらうことで自分のストレスが減るということは良くありますよね。失敗しても誰にも言わないと「自分がこんな苦労しているのになぜ誰もわかってくれないんだ!」とネガティブな感情が膨れ上がっていきます。

そのため、失敗してら気の置けない同僚と共有するというのが有効です。

一旦、研究から離れる

実験したくないけど、習慣化していて毎日実験してるという場合があります。この場合、研究から一旦離れましょう。実験していないと不安で落ち着かないという症状が出てきている場合があります。

これを放置しておくと鬱や不安障害を引き起こす可能性があります。また、こうした状態で実験していても集中できないので手技のミスが起こる可能性があります。もちろん、正確な結果が出ないのでやり直しです。

とても生産性が悪いですよね。

  • 土日も関係なく研究している
  • 週に1回も運動しない
  • 何をするにしても集中できない
  • 睡眠時間が6時間以下

これらに当てはまっている場合は研究から一旦離れることをお勧めします。私も一旦研究から離れたことで良いアイディアが思いついたこともあります。このアイディアが生産性を高め、研究を何ヶ月分も早めたくれたことがあります。

定期的に研究から離れる癖を持つようにしましょう。

まとめ

今回は研究が進まない時の対策を自分の経験を踏まえて紹介しました。

こうした対策は頭でわかっていても失敗した時には頭から抜け落ちて実践できない場合もあります。自分で失敗したらこのページを見直す、というルールを作っておくと自分がどのパターンに当てはまっていてどの対策を取ればいいのか客観的に判断する機会になるでしょう。

何度も見直して同じ失敗を繰り返さないようにしていきましょう。

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