正しい判断できてますか?データを分析するときの3つの注意点
- いつも間違った判断をしてしまう
- 不合理な決断をする理由が知りたい
- バイアスを取り除く方法が知りたい
正しいと思ったことでも後々見直すと間違った判断だったという事があると思います。主な原因として判断材料にバイアスがかかっている事が挙げられます。
この記事を読む事でデータを分析する時にどんなことに注意しないといけないのかわかります。
正しい判断できてますか?データを分析するときの3つの注意点
私たちは日々膨大な量の情報に晒されています。しかし、その情報を分析する時にはバイアスがかかるため合理的な判断ができません。
どういったバイアスに気をつければ良いのでしょうか?
- 代表性ヒューリスティック
- 尤もらしさ
- 平均への回帰
代表性ヒューリスティック
代表性ヒューリスティックとは代表的な例を過大評価して意思決定することを言います。
- 統計学を専門にしていても陥りやすい
- 一般的な基準を無視してしまう
- 当たっていることも多い
例えば電車で読書をしている人を見かけた時に「この人は博士号を持っている」と「大学を出ていない」のどちらを選びますか?と聞かれた時、直感で考えてしまうと「博士号を持っている」を選んでしまいます。
しかし、博士号を取っている人は一般の人の中の一握りなので間違いの可能性が高いということが分かります。
他にも2つ例を紹介します。
例1)芸能人や政治家の浮気やスキャンダルは報道されやすいため、どのぐらいの件数か予想する時に数を多めに見積もってしまう。
例2)Aさんが指揮する直近の3つのプロジェクトがうまくいったために次のプロジェクトも上手くいくように思える。
このように私たちは代表的な出来事にひきづられるようです。
思い出しやすい事でバイアスが働きやすくなる事が分かっています。
例えば、参加者に質問に下記の質問をします。
1、最近どのぐらい幸せですか?
2、先月何回デートしましたか?
この結果では1と2の質問の相関はほとんどゼロでした。デートした回数が多いほど幸せということにはなりませんでした。
しかし、もう一度順番を変えて下記の質問に答えてもらいました。
1、先月何回デートしましたか?
2、最近どのぐらい幸せですか?
2回目の結果では1と2の質問の相関がとても高くなりました。
この原因として2回目の実験では最近どのぐらい幸せですか?という質問を知らず知らずのうちに先月何回デートしましたか?に置き換えて答えてしまったと考えられます。
1回目の実験では幸せについていろんな指標を元に答えていたものが2回目の実験ではデートの回数だけが指標となってしまいました。
思いつく数でもバイアスがかかる事が分かっています。
例えば、被験者に2つの質問をします。
・何か強く自己主張した例を書いてください
・自分がどの程度自己主張が強いか評価してください
この際に自己主張した例を6個書くグループと12個書くグループを2つに分けました。すると、12個書くよう支持した方が自己主張が強くないと評価しました。
この結果を考える上で重要なことは数と思い出しやすさです。
多くの人は自己主張した例を12個思い出すのは簡単ではありません。そのため、被験者は「なかなか思い出せないってことは自分は自己主張が強くないのではないか?」と考えるようになり、自己主張が強くないと判断しました。
このように思いつく数というのも判断に影響を与えるということが分かります。
確証バイアス
確証バイアスとは自分が信じていることに関連する選択、解釈、情報を過大評価することを言います。
そのため、人は自分の信じている尤もらしい説明を聞いたときにその説明を過大評価して意思決定をします。
- 論理的で辻褄あっていますが都合のいい情報しか使っていない
- 具体性が高まるほど尤もらしさが高まる
例えば、新しい商品を作るというプロジェクトを立ち上げたとします。リーダーは独自の技術で他社に負けない品質が実現できると意気込んでいます。しかし、製品が完成し市場に出しても全く売れません。
これは自社と他社だけの関係だけを見て自社の強みが活かせると確証バイアスにとらわれていたことが原因です。本来は顧客のニーズを把握して商品開発を進めなければなりませんでした。
4面が赤で2面が青のサイコロを6回投げます。
直感的に3つの中から起こりそうな番号を選んでください
1.赤赤青赤赤
2.青赤赤赤青赤
3.赤赤青赤赤赤
3番を選んでしまいませんか?赤の面積のほうが多いので赤が多い選択肢を選んでしまいますが、間違いです。
正解は1番です。1番は投げる回数が少ないので3番よりも可能性が高くなります。
このように尤もらしい余計な情報にひきづられて誤った選択をしてしまう事があります。
トランザクティブメモリーとは必要な情報を誰が持っているかについての記憶のことを言います。スイスのバーゼル大学病院で行われた実験では確証バイアスによって情報を持っている人を決めつけてしまい正確に診断ができなくなっている、という事がわかりました(R)。
確証バイアスによって情報源にまでバイアスがかかるようです。
同じ情報でも鮮明な情報だとバイアスが生じやすいということが分かっています。
1、この症状の患者は退院後に暴力行為をする確率が10%です。
2、この症状の患者は100人に10人が退院後に暴力行為を行います。
精神科医にこの2つのどちらかを与えたところ2番の情報の場合には隊員を却下する可能性が2倍になりました。
どうやら、具体的なイメージが湧くというのもバイアスの原因になるようです。
平均への回帰
平均への回帰とは何かの事象が平均へ戻ることを考慮してないことによるバイアスのことを言います。
- 平均を無視してしまう
- 変化を与えた事象を過大評価してしまう
例えば、仕事で部下を叱った後にその部下が成果を出した、という場合、自分が叱った事が部下の成果につながったと考えてしまいます。しかし、もともと部下に能力がある場合、その部下の本来の能力を発揮しただけで叱った効果はなかったかもしれません。
このように平均を考慮していないため間違った分析をしてしまいます。この認識のせいで上司は今後も部下を叱り続けるかも知れません。
他にも2つ例を紹介します
例1)褒めた途端に失敗する
例2)短期間の変化に一喜一憂する
医療の分野でも本当の薬を飲むグループと効果のない薬を飲むグループに分けて観察します。この2つのグループを比べなければ平均へ戻っただけかどうか分かりません。
こうしたバイアスの研究から人は統計的なデータから自分の行動を改善するのが苦手で個人の出来事を一般的な出来事のように思ってしまう、という現象が分かっています。
では、どうすればこうしたバイアスを取り除けるのでしょうか?
バイアスを取り除いて正しく判断する方法
こうしたバイアスに惑わされないように3つの方法があります。
- 基準率と代表性を考える
- マインドレスで考える
- いろんな人から情報を聞く
基準率と代表性を考える
基準率とは特殊な条件をつけないグループがもつ確率のことを言います。
例えばくじ引きのようなもので10個中3個があたりであれば基準率は30%となります。
代表性とはある母集団の中で特定の情報を聞いた時に想像できる代表的なものをいます。
例えば学校の中で控えめで他人と関わるのが苦手で小さなことが気になってしまう人、という情報を聞くと誰かが頭の中に浮かんでくると思います。
まずはデータが基準率なのか代表性を持っているか考えましょう。代表性が高い場合にはバイアスがかかってしまいます。
統計的基準率と因果的基準率
基準率には統計的基準率と因果的基準率があります。
統計的基準率とは母集団に関する統計的な基準のことです。
例えばサイコロの目がそれぞれ6分の1で出るなどです。
因果的基準率とは個々の予測を変える効果のある基準のことです。
例えば事故が起こった時に事故を起こす車の70%が軽自動車だ、という基準があれば起こった事故が軽自動車のものである可能性が高いと判断するなどです。
統計的基準は無視される傾向が強く、因果的基準は個々の情報として扱われ予測に大きな影響を与えることが多いという特徴があります。
直感的なバイアスを防ぐためには統計的基準率(平均への回帰)にアンカリングし、そこから因果的基準率を考慮して判断すると良いとされています。
マインドレスで考える
マインドレスとは集中していない状態のことを言います。
しかし、ただ何も考えていない訳ではなく脳の様々な場所が活性化された状態のことを言います。
散歩をしている時や風呂に入っている時に画期的なアイディアを思いつく、なんて経験はありませんか?これがマインドレスの効果です。
今後の会社の業績やこの仕事を続けて幸せになれるか、など複雑で論理的に考えても結論が出ない事があります。結論が出せてもバイアスがかかった不合理な判断になってしまいます。
そういった場合には一旦間をあけて何も考えないようにすると良いアイディアが浮かびます。
オープンな場で議論する
確証バイアスによって情報源にもバイアスが働いている、ということを紹介しました。このバーゼル病院大学の研究では医者だけではなく看護師も参加できるような会議にすることで正解に近づける可能性が高まっていました。
また、推論を明確にする事も効果的です。暗黙の了解で推論をしているほど間違った結論を出す可能性が高まっていました。
オープンな場での明確な論理がバイアスを取り除くために有効という事ですね。
ちなみに、こうした方法を取るためにも心理的な安全を守り、変なことを言ったからといって非難されない環境が重要と考察されています。
まとめ
今回はデータを分析する時に陥りやすいバイアスとその対策を紹介しました。
もし、予想が当たった時に満足感を味わうようであればそれがバイアスに基づいた判断だった、ということになります。
データを分析して下した判断には自分の主観は入らないため満足感は得られません。
冷静に分析して後悔のない判断ができるようにしましょう。
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