選んでるようで選ばされてるかも?おとり効果とは
人は複数の選択肢がある場合にバランスの取れた選択肢でないと不合理な選択をしてしまいます。
この現象をおとり効果と呼びます。
スーパーや飲食店などでもこの現象を利用した価格設定が見られます。ワザと得する商品と損する商品を作って、お得感を高めています。
今回はおとり効果とは何なのか?なぜそんなことが起きてしまうのか紹介していきます。
選んでるようで選ばされてるかも?おとり効果とは
おとり効果とは
おとり効果とは2つの選択肢を選ぶときに3つ目の選択肢がバランスの取れていないものの場合偏った判断をしてしまうという現象の事です。
分かりにくいので心理学者のDan Arielyが行った実験を使って説明していきます。
Dan Arielyは100人の学生たちを対象にある雑誌の購読のプランを選択させました。
- ウェブのみで購読可 59ドル
- 紙媒体のみで購読可 125ドル
この2つの選択肢の場合、学生の68%がウェブのみのプランを選びました。
しかし、ここにある選択肢を加えるとウェブのみの68%が16%に減少しました。
その選択肢とは ”ウェブと紙媒体両方で購読可 125ドル” です。
ウェブと紙媒体両方のプランと紙媒体だけのプランが同じ値段設定というのはおかしいですよね。
でも、この選択肢があることで最初はウェブのみでのプランを選択していた人をより高いプランに動かすことができました。
なぜこんな現象が起こるのか?
おとり効果が効く理由として「おとり」があることでもう1つの選択肢が魅力的に見えるようになるからだとされています。
上記の例では紙媒体のみがおとりとなり、ウェブと紙媒体両方のプランが魅力的に見えるようになったと考えられます。
計算するまでもなくウェブと紙媒体両方のプランの方が得だと思いますよね。そのお得感によってウェブ媒体のみを選んだ人が動かされました。
このおとり効果については様々な実験が行われていてビジネスにもそのまま応用できそうなものがありますので紹介しておきます。
飲食店での応用
食事をどこで食べようか迷っている時に次の選択肢があったとします。
A:5つ星レストラン 行くまでに30分必要
B:3つ星レストラン 行くまでに5分必要
この選択肢に
C:4つ星レストラン 行くまでに40分必要
という選択肢が加わるとAの選択肢が魅力的に見えてきます。
一方、
Cが2つ星レストラン 行くまでに10分必要
の場合はBの選択肢が魅力的に見えてきます。
どちらの場合でも A や B よりも劣っているので A や B が魅力的に見えますね。
こうした効果を考えるとお店の立地に戦略が必要ということが分かります。
選挙での応用
選挙の候補者に次の人たちが立候補していたとします(R)。
A:政治経験があり強い政策を持っていて若い立候補者
B:政治経験があり強い政策を持っていて年配の候補者
この候補者たちに
C:政治経験がなく政策も弱く、年配の候補者
が加わるとBの候補者が魅力的に見えてきます。
年配と言う共通点があることで B と比較してしまいがちになります。
面接やアイディアの選定などでもおとり効果が使えそうですね。
Appleの例
Macbook Proの選択肢として4つが紹介されています。
A:1.4GHzクアッドコアプロセッサ128GBストレージ 139,800円
B:1.4GHzクアッドコアプロセッサ256GBストレージ 159,800円
C:2.4GHzクアッドコアプロセッサ256GBストレージ 198,800円
D:2.4GHzクアッドコアプロセッサ521GBストレージ 220,800円
買うとしたらどれを選びますか?
おそらく、BかDを選んだと思います。
A は B のためのおとりで、C は D のためのおとりになっているので B と D が魅力的に見えるようになったからです。
もう少し分析するとAとB、CとDはストレージが2倍になっているだけなのにAとBは2万円、CとDは3万円の差になっています。
商品の値段に応じてその差を変えることも商売のテクニックなのかもしれません。
おとり効果の対策
人は論理でなく感情で動くため、分かりやすい比較によって感覚的に飛びついてしまいます。
おとり効果から逃れるのはとても難しいのですが、いくつか有効と思われる方法を紹介します。
自分のニーズを正確に把握する
自分が何を求めているのか具体的に把握することでおとりにつられにくくなります。
もし、魅力的な商品を見つけたとしても自分のニーズに合っていなければ切り捨てましょう。
おとりを除外して考える
商品が複数ある場合、選択肢を2つに絞りましょう。
おとり効果は3つ以上の商品があるときに発生するので2つにすることでそのままの価値を判断できるようになります。
ただ、数が多くなると組み合わせも多くなり複雑になるのであまり活用できません。
単価で考える
何が「おとり」なのか考えるために単価で考えましょう。
明らかに単価が違うものがあればそれが「おとり」です。様々なパラメーターがあり単純に計算できないようにしてあることが多いですが、考え方として有効です。
まとめ
今回はおとり効果について紹介しました。
様々な研究が行われていて商品を魅力的にする効果以外にも自分を納得させる理由を作らせるという効果もあるようです。
確かに、おとりがあると「A の商品よりお得だから」と簡単に商品を買う理由が作れますよね。
ビジネスに応用するとしたら市場にどんな商品があるか把握しておく事が大切です。
うまくおとりに使って自分の商品を売るのが有効そうですね。
人の不合理な行動を合理的に利用できる人がマーケティング力が高いというのでしょうね。
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