子育てに向いてないと悩んでいる人へ。4つの効果的なアドバイス。

子育てに向いてないと悩んでいる人へ。4つの効果的なアドバイス。
この記事の対象者
  • 子育てに向いてないと悩んでいる
  • どう子育てすればいいのかわからない
  • 子供が思ったように成長してくれない

思い描いていたような子供に育ってくれず「子育てに向いてないな」と悩む人も多いと思います。熱心に子育てをしてもやり方を間違っていたら成果が出ません。今回はどのように子育てを行なっていけばいいのか科学的に効果があるとされている4つのアドバイスを紹介します。

この記事を読むことで効果的に子育てができるようになります。

子育てに向いてないと悩んでいる人へ。4つの効果的なアドバイス。

子育てに向いていない人の多くは完璧主義だったり、子供よりも自分の都合を優先してしまう人が多いです。親としての責任感が強かったり、仕事や家事で忙しいとついつい子供に時間を割いていられなくなりますよね。

そのため、まずは気持ちにゆとりを持つようにするようにしましょう。子供は自分の予想よりもゆっくりと成長していきます。教えたことがなかなか出来なくても成長がゆっくりだと予想することでイライラを少なくすることができます。子供がすぐに行動できなくても怒ってはいけません。十分な時間を与え子供が納得するまでやらしてあげましょう。完璧でなくても「よく頑張ったね」と過程を褒めることで再び頑張ろうとするようになります。

また、昨日よりも少しでもできることが増えた時には大きく喜びましょう。子供も喜んでいる親を見て嬉しい気持ちになりますし、できることを増やそうと一生懸命になります。他人の子供との比較ではなく過去の子供との比較をするように注意しましょう。

その上で子供の成長を促すためのアドバイスを4つ紹介します。

子育てのためのアドバイス
  • 動詞ではなく名詞を使う
  • 誰のためか明らかにする
  • 成長できると教える
  • 興味を引き出す

動詞ではなく名詞を使う

子育てをするときに「〜しなさい」とついつい命令口調になってしまいますよね。しかし、こうした相手をコントロールしようとする言葉を使うと子供のモチベーションが低下します。また、自分で判断する余地がないため言われるまで行動できない人になります。では、どのように子育てをすればいいのでしょうか?

カリフォルニア大学のChristopher J. Bryanが2014年に発表した論文では「〜できる人になりなさい」と名詞を使うと有効という結果が出ています。

子供にはより良い人間になりたい、より価値のある人間になりたいという欲求があります(R)。この欲求に働きかけることで行動を促すことができます。また、「〜できる人」という事で「〜できる人はどんな人かな?」と考える余白が生まれるので自主性が育ちます。

名刺を使う効果

4歳から5歳の子供を対象に「困っている人を手伝いなさい」と伝えるグループと「困っている人がいたら手伝える人になりなさ」と伝えるグループに分けて実際に困っている様子を見させるという実験を行いました。
その結果、「手伝いなさい」と伝えたグループは何も言わなかった時と変わらなかったのに対し、「手伝える人になりなさい」と伝えたグループは30%の子供が自分から手伝うようになりました。また、この結果は困っている人が変わっても同じ結果になりました。
この結果から、名詞を使った方が子供の行動を改善できることがわかります。

ポイントはアイデンティティを持ち始める年齢の子供を対象に行うことです。善い行いと悪い行いの区別も分からないうちにはこうした伝え方を変えても効果がないとされています。

成功も失敗もないのが良い

また、以前の研究で「良い絵を書いたね」と褒めた場合、次に絵を描いて失敗したときに自分を非難してしまったという報告があります(R)。こうしたことが起こらないためにも成功や失敗がないことを行わせるのがお勧めです。例えば、「掃除をしようとしてくれてありがとう」、「荷物を持ってくれてありがとう」などです。

この結果は大人でも得られることが分かっています(R)。「投票に行きなさい」と言われるよりも「投票に行くような人になりなさい」と言われた方が投票に行く人が多かったという報告もあります。

誰のためか明らかにする

子供に何か行動してもらうときには誰のためになるのか伝えるようにしましょう。子供に「勉強して」と行ってもなかなか勉強してくれませんよね。それは、なぜ勉強しなければならないのか分からないからです。退屈で面倒くさいのに何故勉強するのかも分からなければ勉強する気になりませんよね。そのため、勉強が誰の役に立つのか伝えることが重要です。

こうした誰かのためを思うこと社会的モチベーションと言います。自分以外の人に対して貢献したいと思うときにこのモチベーションが高まります。

実際に過去の研究ではただ単にお金を集めるよりも貧しい子供のために寄付を集めるときの方が成績が良かった、ただ単に手洗いを促すよりも相手に風邪をうつさないためにといわれた時の方が手洗いを行うようになる、などの報告があります。

このように社会的モチベーションが高まることでパフォーマンスが高まります。

2014年にDavid S. Yeagerによって発表された論文では社会的モチベーションが高い人ほど周りの誘惑に負けずに勉強を頑張ることができた、という結果が得られています。また、この研究では社会的モチベーションを高める方法も分かっています。

社会的モチベーションを高める方法

次のような問いに対して自分で答えを考えます。
・世界をよりよくするために出来ることは何ですか?
・どうすれば世界から貧困や病気を無くせますか?
・世界をより平等で公平なものにするために何ができますか?
正解でなくてもいいので自分で答えを見つけるようにしましょう。自分で答えを見つけることが社会的モチベーションを高めます。また、社会的モチベーションは自分の興味や関心に従って行動するよりも退屈なことや苦手なことを頑張るためのエネルギーになることも分かっています。

さらにモチベーションを高めるには社会的モチベーションを高める以外にも自分の興味や関心に従って行動することが大切です。挫折してモチベーションが下がったときにも自分の興味のあることや関心のあることであればモチベーションを維持してくれる可能性が高まります。

成長できると教える

子供に人は成長できるという信念を植え付けましょう。「何でそんなこともできないの?」という叱り方をすると子供は「自分はダメな人間なんだ」と思ってしまいます。この場合は人格が否定されているので努力しても無駄、という信念になってしまいます。

一方、「努力が足りなかったね」、「サボってばかりだから失敗したね」という叱り方をすると「努力したりサボらなかったら成功できる」と感じることができます。この場合は成長して原因を改善できる、という信念になるので努力が続けられます。

「人は成長できる」という信念のことを成長型マインドと言います。2012年にDavid Scott Yeager によって発表された論文では成長型マインドによって下記の効果が得られるとされています。

成長型マインドの効果
  • 成績の向上
  • いじめの減少
  • ストレスへの耐性

成長型マインドでは人の能力が努力次第で伸ばすことができると認識しています。そのため、自分の成績が悪かったり気に入らない人がいた場合でもその人の努力次第で変わることができると感じています。一方、こうしたマインドを持っていない場合は人は変わることができないと思っているので失敗やミスに不寛容になりストレスを感じやすくなります。

成長型マインドの成績こ向上

学生たちに成長型マインドを持たせるため、勉強することで脳の神経細胞同士の繋がりが強まり賢くなる、という話をした生徒とそうでない生徒で成績を比較しました。この結果、成長型マインドの人は5段階評価で0.23ポイント成績が良くなっていました。特に数学では0.3ポイント改善してました。5段階評価でのこの改善は大きいですね。
この原因として、改善する伸びしろがあったと考察されています。数学は難易度が上がるにつれて成長型マインドでなくなる事が知られており、実際に難易度の高い数学クラスの68%が成長型マインドではありませんでした。

自分の能力が向上できると認識するだけで成績が向上する、というのは面白いですね。

成長型マインドによるいじめの減少

子供を対象に成長型マインドを植え付けたグループと問題に対処する方法を植え付けたグループに対戦ゲームを行わせました。相手も人間と思わせているのですが実際はコンピューターが人間が一方的に負けるように設定しています。この事実を知らない子供に相手に激辛ソースを食べさせるという仕返しの機会を与えました。
その結果、成長型マインドの子はもう一方のグループよりも復讐する量が40%減っていました。さらに、仕方なく復讐しなければならない状況だったため、復讐後は相手を気遣おうとするそぶりも確認されました。

仲間はずれやいじめは自分はダメなやつなんだというラベルを貼られることになるので成長型マインドが持てません。また、成長型マインドでない人は相手も変わることができないと思っているため、いじめをしますし、いじめられた時には復讐しようとします。こうした悪い循環が出ないようにするためにも成長型マインドを身につけておきたいですね。

成長型マインドとストレス

高校生を対象に人の成長に関する科学的な文献を読ませ、友達から避けられたりいじめられた時にこの知見をどのように活かすか書き出させたグループとポジティブで楽観的な行動を行わせたグループに分け、ゲームの中で排他的に扱われている状況を作り出しストレスを測定しました。
その結果、最初に人の成長に関しての文献を読んだグループはストレスを感じにくくなっておりその効果は8ヶ月間も続いていました。

成長型マインドによってストレスに耐性を持つようになることが分かりますね。特に高校に入学した時は周りに知り合いが少なく、ストレスを感じやすい状況になることが知られています。子供がこうしたストレスに対処できるようになるためにも成長型マインドを引き出しましょう。

成長型マインドの効果を高める方法

人が成長するためには
・努力
・良い戦略
・他者からの支援
が必要とされています。
人一倍努力しても戦略が悪かったり他者からの支援がないと成長しにくくなります。こうした状況では努力しても成長できない、と感じてしまう可能性が高くなるので親がサポートしてあげないといけません。

ポイントは悪い結果が出ても結果で評価するのではなく過程で評価することです。過程の問題を明らかにすることで過程を改善すれば成功できると思えるようになります。

興味を引き出す

子供が自主的に行動できるようになるために子供の興味を引き出すようにしましょう。興味に従って行動することで成功体験が蓄積され、自分を制御できるようになって行きます。

とは言っても、どのように子供の興味を引き出していけばいいのかわからない、という人もいると思います。そのため、まずは子供の興味がどのように生まれるのかに付いて紹介していきます。

2010年にSuzanne Hidiによって発表された論文では子供の興味は子供の外側から生じるものと内側から生じるものがあるとしています。

外側から生じるものとしてスポーツ選手に握手してもらった、動物との触れ合い、内側から生じるものとして好奇心や自分の中で生まれる疑問などがあります。外側から生じる興味は長く続かないのに対し、内側から生じる興味は持続しちょっとしたキッカケで再び引き出されます(R)。

また、興味はそれぞれのフェーズでの感情や知識、価値観によって変わっていきます。興味を持ち始めた段階だと知識や価値観も成熟してないので興味のレベルも高くありません。しかし、感情を大きく動かされたり、自分で好奇心を満たしていけば知識や価値観が成熟していくのでレベルの高い興味が湧いています。

Suzanne Hidi は論文の中で興味が成熟してくために4つのフェーズがあるとしています。

興味が成熟する4つのフェーズ
  • その場の興味
  • 興味の持続
  • 自分の内側から生じた興味
  • 興味の発達

外側から生じた興味が内側の興味に変わっていき、さらに興味の質も向上していくという流れですね。

その場の興味

短期間の感情と認知プロセスにより発生します。
例えば、手品のような予想外の出来事やたまたま読んだ本に興味を持つなど個人的出来事によって発生します。子供がまだ知らない情報を与えたり、情報を得るためのデバイスを与えることで興味が発生しやすくなります。

子供が何に興味があるのか分からない、という時にはとにかく多くのものを与えてどんなことに興味を持つのか探ってみましょう。

興味の持続

その場だけの興味だったものが持続している状態です。
例えば、読み始めた本を最後まで読みきる、スポーツチームに入って定期的に練習したくなる、など個人的な体験を通じて興味が維持されます。
グループの先頭に立ったり、他人と協力するなどの状況が興味を維持させてくれます。

サポートは重要ですが過度にサポートすると興味を失ってしまいます。自分で何かを達成した、という感覚を得ることで興味が持続しやすくなります。

自分の内側から生じた興味

興味のあるものを自分から探し始めている段階です。自分の興味に従うことでポジティブな感情が得られた、という経験がノウハウとして蓄積されているので以前よりも早くポジティブな経験をすることができるようになります。
例えば、自分から違うスポーツをしてみたいと言い出す、興味のある本を欲しがる、などが当てはまります。

ただ、すぐに欲求が満たされない方が賢くなることや本人が困難だと感じている時にサポートが得られないと諦めてしまうことも知られています。子供の内側から生じた興味をすぐに満たせばいいということではないので注意しましょう。

興味の発達

専門的な知識を活用し始める段階です。好奇心を満たすことにポジティブな感情を発達させた人は自分の興味のため以外にも他人の活動に活かすために知識を蓄えるようになります。
例えば、大学に行って必要な能力を身につけたり、建設的でクリエイティブなアイディアを出して問題を解決する、などが当てはまります。

専門家や同僚とと協力して理解を深めるとさらに興味を発達させることに夢中になっていきます。

興味を引き出すために何をすればいいの?

子供は自分の興味を発達させて成功体験をするともっと自分の興味を発達させようと努力します。こうした好循環を生み出すためにも親のサポートが重要になります。

子供に問いかけをしましょう。

なぜという質問をすると子供が論理的に考える癖がつくようになります。
また、タスクを与えるときも理由を一緒に伝えると興味を持つためのインセンティブにもなりタスクに集中して取り組めます(R)。

答えを与えず選択肢を与えましょう。

子供が困難なことに直面した際、答えを言うのではなく選択肢を提示するようにします。選択肢を選ばせることで自分で問題を解決したと言う感覚を持てるようになります(R)。こうした達成感が再び困難なことに直面した時の反応の仕方に影響します。親が答えを教えて成功しても子供は自分で達成したという感覚が持てないので再び困難なことに直面しても他人に頼ってしまいます。

興味を発達させるための環境を整えましょう。

子供の好奇心を満たすためにものを購入するだけでなく、似たような子供と切磋琢磨できる環境も重要です。他人の頑張っている姿や他人に負けたくないと言う感情は努力を続けるための原動力になります。

ただ、あくまでも努力の目的は自分の興味と言うことを忘れさせないようにしましょう(R)。他人との競争を重視すると負けた時に自分はダメな人間だと思ってしまい努力が続かなくなる可能性があります。環境を整える時のポイントは下記の通りです。

環境を整える時のポイント
  • 学ぶプロセスを楽しめるようにする
  • 学ぶ環境に対する心配事をなくす
  • 自分で工夫して学ばせる
  • 子供たちの間で助け合う
  • 子供達同士で刺激し合う

まとめ

今回は子育てに向いていない、と悩んでいる人へ4つのアドバイスを紹介しました。

誰もが最初から良い親になれる訳ではありません。子育てを通じて徐々に親としてのスキルを身につければ良いと思います。完璧な親になろうとせず、子供にとって何がベストなのか考えるようにしましょう。

参考文献
Academic Self-Efficacy Mediates the Effects of School Psychological Climate on Academic Achievement

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