頼み方で子供の行動が変わる話
子供に言うことを聞かせるのは難しいですよね。
➡︎動詞でなく名刺を使うことでいうことを聞きやすくなるそうです。
子供の成長を考えていても「言うことを聞け」と命令するのは逆効果になります。今回は子供を対象にどの様に伝えれば言うことを聞くようになるのか検証した論文があるので紹介します。
頼み方で子供の行動が変わる話
今回の記事はカリフォルニア大学のChristopher J. Bryanによって2014年に発表された論文に基づいています。
子供にはどんな欲求があるのか?
➡︎子供にはより良い人間になりたい、より価値のある人間になりたいという欲求があります→(R)。
こうした欲求が子供の躾に有効だと考えられていますが、具体的にどのようにすればいいかは分かっていませんでした。
そこで、著者はこうした欲求に基づいて「手伝いなさい」と相手の行動を決めてしまうよりも「手伝える人になりなさい」と相手がどんな人間になるべきか決めれる方が効果的だと仮定して実験を行っています。
その結果、「手伝える人になりなさい」と伝えた場合の方が行動の改善が見られました。
では、詳しく見ていきましょう。
頼みごとをするときは動詞よりも名詞を使う
51人の4歳から5歳の子供を対象に3つのグループに分けて実験を行いました。
- 何も言わないグループ
- 困っている人がいたら手伝いなさいと伝えるグループ
- 困っている人がいたら手伝える人になりなさいと伝えるグループ
その後、伝えた人が
・箱を運ぶのに困っている様子
・蓋を開けるのに困っている様子
・おもちゃを片付けている様子
を見せ各グループの子供がどのような反応を示すのか観察しました。
結果
?「手伝える人になりなさい」と伝えたグループ
行動が29%改善しました。
?「手伝いなさい」と伝えたグループ
何も伝えないのと同じ結果になりました。
このことから、どんな人になってほしいと名詞を使う言い方が効果的で普段言ってしまいがちな「〜しなさい」と動詞で伝えるのは効果がないことがわかります。
ただ、子供たちが人を選んで行動を変えた可能性が考えられます。
↪︎そのため、次の実験を行なっています
別の人に対しても手伝うようになるのか?
最初の実験と同じ方法で実験をしました。
ただ、「手伝いなさい」や「手伝える人になりなさい」と指示した人と別の人が困っている所を見せ、行動が改善されるのか実験しました。
結果
?「手伝える人になりなさい」と指示したグループ
前の実験と同程度の行動の改善が見られました。
?「手伝いなさい」と指示をしたグループ
何も指示していないグループと同程度の結果でした。
✔️この結果から、人を選んで行動を変えたわけではなく、子供自身に「手伝える人になりなさい」という指示が取り込まれていることが分かります。
ポイントは著者が今回の実験にアイデンティティを持ち始める年齢の子供を対象に行っていることです。善い行いと悪い行いの区別も分からないうちにはこうした伝え方を変えても効果がないとされています。
成功も失敗もないのが良い
➡︎以前の研究で「良い絵描きだね」と褒めた場合、次に自分が絵を描いて失敗したときに自分を非難してネガティブになってしまったという報告があります→(R)。
今回の「手伝える人になりなさい」という指示にはこうした成功や失敗がなくネガティブにならなかったと考えられます。
✔️この様な結果は大人でも得られることが分かっています→(R)。「投票に行きなさい」と言われるよりも「投票に行くような人になりなさい」と言われた方が投票に行く人が多かったという報告もあります。
まとめ
✔️この結果は以前書いた自己決定理論にも当てはまっています。
内在的動機づけにより行動の意思や価値が自分自身に組み込まれることで心理的ストレスやパフォーマンスが上昇すると言う理論です。
実験では「〜な人になりなさい」と名詞を入れることで言葉が子供の中に組み込まれて手伝うようになったと考えられています。
悩み;子供が言うことを聞かない
➡︎名詞を使って頼みましょう
今回のように「〜できる人になって」と頼むことで子供が判断する余地が生まれます。自分から行動できる人になるためにも自分で判断したと言う過程が重要です。
こうした頼み方の違いは大人にも効果があるようなので試して見ても面白いかもしれません。
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