キャリアプランは必要ない?プランド・ハップンスタンス理論。
あなたはどのようなキャリアプランを持っていますか?起業して経営者になる、出世して役員として会社に貢献する、スポーツ選手になって活躍する。こうしたキャリアプランは本当に必要でしょうか?計画したとおりに行くことなんてほとんどないように思います。今回はこうしたキャリアプランについて書いていきます。
キャリアプランは必要ない、プランド・ハップンスタンス理論。
キャリアプランについて考えるときにプランド・ハップンスタンス理論というものが参考になります。プランド・ハップンスタンス理論とは20世紀末にスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した理論です。
これはほとんどの人生がキャリアプラン通りに行かないため、キャリアアップにつながる出来事を自分で生み出したり、見つけ出して自分の糧にしていかなければならないという理論です。
ポイントとなるのは受け身ではなく、どんな状況でも積極的に自分に良い影響を与えてくれるものを掴みに行こうという点です。これにより偶然起こった出来事を自分の糧にし必然的に良い結果をもたらします。
そのためには下記の5つの能力が重要だとされています。
- 好奇心;学ぶ機会を求めること
- 持続性;努力を続けること
- 柔軟性;その時の状況に対応すること
- 楽観性;新しい事でもうまくいくと信じて取り組むこと
- 冒険心;思うような結果が得られるか分からなくても行動に移すこと
キャリアプランがうまくいくか不安になるのは普通のことです。数多くの不確定の出来事に対して数え切れないほどの判断を下していかなければならないからです。
こうした不安に対処するため3つの議題があります。
- どうすれば好奇心を活発にできるか
- 予期しない出来事からどうすれば利益が得られるのか
- どうすれば計画されていない有益な出来事が作られるのか
「予期していない出来事」とは親を選べないことや生まれてくる国を選べないこと、会社の倒産、希望していない部署への移動など幅広い出来事が含まれます。
こうした議題に対して答えを見つけることで自分のキャリアアップの準備ができます。
プランド・ハップンスタンス理論を元にしたキャリアカウンセリング
プランド・ハップンスタンス理論はキャリアカウンセリングに使われています。3つの議題に対して推奨されているステップが挙げられています。カウンセラーでなくても自問自答することで自分のキャリアについての考え方が変わります。
ステップ1
相手の過去の出来事について知るとともに予期しない出来事に対する行動が建設的な役割を持つことを知ってもらうことが目的です。そのための3つの質問があります。
- 予期してない出来事があなたのキャリアにどのように影響しましたか?
- 各出来事があなたにどんな影響を与えるよう行動しましたか?
- この先起こる予期してない出来事に対してどう感じますか?
ステップ2
予期しない出来事に遭遇した時に自分の能力開発の機会ととらえるよう促すことが目的です。そのための4つの質問があります。
- どのぐらいあなたの好奇心が活発になりましたか?
- その出来事はあなたの好奇心に対してどのぐらい貢献しましたか?
- あなたの好奇心を高めるためにどんな行動をしましたか?
- 好奇心のキャリアへの影響についてどのように感じますか?
ステップ3
自分のキャリアアップのチャンスとなる出来事を作り出すよう指導するのが目的です。そのための4つの質問があります。
- あなたの望むチャンスは起こると思いますか?
- 望むチャンスを増やすためにあなたはどのような行動をとりますか?
- もし、その行動をとったらあなたの人生はどのように変わりますか?
- もし、その行動をとらなかった場合にあなたの人生はどのように変わりますか?
ステップ4
障害に打ち勝つよう促すことが目的です。5つの能力が足りていない場合には行動に移せません。キャリアに対して問題が圧倒的で対処できないと思ってしまいます。また、親や友人などの他人の反応を恐れ、新しいスキルを習得しようとしません。
- どうしてやりたいことをしないのですか?
- あなたはその障害がどのぐらい長く続くと思いますか?また、その根拠は何ですか?
- 他の人はどうやってその障害に打ち勝ちますか?
- あなたはどうやってその障害に打ち勝ちますか?
どんな状況でも自分が自分自身に対して一番大きなインパクトを与えられます。
しかし、障害は存在します。身体的な制限、他人の許可、コスト、信念、のカテゴリーに分けられます。5つの能力を使用して、どのように障害に打ち勝てばいいのか考えましょう。
失敗したり中断しても次の新しい機会を探しに行きましょう。人生という括りで見ずに今できることを行えば自然と道が拓けてきます。
キャリア・アンカー理論
プランド・ハップンスタンス理論と対象的にキャリア・アンカー理論と言うものがあります。これはアメリカの心理学者エドガー・シャインによって提唱された理論です。
自分の価値観や信念に基づいてキャリアを築いていくと言うものです。遠くの未来の自分の姿を思い描き、そのために必要なスキルや経験を身につけていきます。
一般的に言われているキャリアアップの考え方ですね。
目標は次の8つの価値観のタイプに基づいて形作られます。
- 自由:制限や規則に縛られず、自分決めていくことを望むタイプ
- 創造性:新しいことを生み出すことが重要だと思うタイプ
- 専門能力:専門性やスキルが高まることを優先するタイプ
- 保障・安定:生活の安定を第一とするタイプ
- 管理能力:責任ある役割を望み、分野に関係なく様々な経験を求めるタイプ
- 奉仕・貢献:人の役立つことを大事にするタイプ
- 純粋な挑戦:新しいことに挑戦し続けることを重視するタイプ
- ライフスタイル:仕事とプライベートとのバランスを重要視するタイプ
もちろん、どのタイプが優れていると言ったことはありません。自分がどのタイプの価値観を重視しているかでやりがいを感じれる仕事や部署が異なると言うことです。
例えばライフスタイルを重視するタイプなのに管理職を任されて残業ばかりでイライラすると言うことがあるかもしれません。
まとめ
個人的にはプランド・ハップンスタンス理論の方が理解しやすいです。常に自分の成長のために行動することでキャリアアップできると言うのはシンプルで分かりやすいです。また、自分の人生経験にも当てはまり、納得できます。
特に人生で挫折を経験した人には受け入れやすいのではないでしょうか?ずっと長い時間1つの目標のために生きてきてそれがダメだったとしても、別の目標を見つけた時にそれまで頑張ってきたことが役に立つと言うことはよくあることだと思います。
もし、希望してない部署に移動になった時に自分の価値観に拘るのではなく、新しい部署で精一杯努力することで新たな自分の価値観にも気づけるのではないでしょうか?
私は大事なのは努力するものの内容ではなく、どれだけ自分が一生懸命になれるかだと思っています。
「予期しない出来事」と言うのは人生の中で本当に多く、会社都合で移動になることもありますし、明日事故にあって歩けなくなることがあるかもしれません。そうすれば自分の価値観でさえも変わってしまうでしょう。
そのため、「予期しない出来事」に対し柔軟に対処することが大切だと思います。読者の皆さんも毎日を一生懸命生きてハッピーなことが増えることを願っています。下記の記事も参考にしてください。
参考文献
Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities
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