ノリの良さ=思考停止?バンドワゴン効果とは
流行っている食べ物や音楽を聴いてしまうということはありませんか?
他人と同じ行動をしてしまうことをバンドワゴン効果といいます。
日本人は特にバンドワゴン効果に弱いということが言われています。
テレビや新聞で報道されていることを鵜呑みにしてすぐに世論が傾いてしまいます。
今回はどうしてバンドワゴン効果が働いてしまうのか、どんな人はバンドワゴン効果が効かないのか、マーケティングへの応用方法を紹介していきます。
ノリの良さ=思考停止?バンドワゴン効果とは
バンドワゴンとはパレードの行列の先頭をいく楽隊をのせた車のことです。
バンドワゴンが走り出すと後に続く人たちが出てきてその人数が多いほどさらに多くの人を引き付けるようになります。
日本が過去に経験したバブルも同じ現象ですね。土地や株の値段が上がっているからと多くの人たちがそれに追従して大きな流れができてしまいました。
普段の生活ではバブルの時ほど大きな波ではありませんが、小さな波がいくつもできています。
なぜバンドワゴン効果が生まれるのか?
理由として
・仲間外れにされたくない
・正しい決断をしたい
などの感情が挙げられています。
仲間外れにされたくない
みんなと意見が違うと自分が間違ったことをしているのではないか、と心配になったり友達との会話についていけなくて不安になったりします。
人には誰かのために役立ちたいという欲求があります。
その欲求をかなえるために集団に属し、その集団に奉仕することを好みます。
そのため、はやりの映画や音楽を見たり聴いたりして自分がその集団の一員であると認識できないと不安になってしまいます。
?アーティストのファンの例
最初はそこまで好きじゃなかったアーティストなのに周りの友達が好きになるつれて自分もだんだんと好きになってくる、なんてことありませんか?
少し前までは見向きもしなかったのにテレビに出るようになってからその音楽をよく聞くようになった、とか自分の判断がバンドワゴンの効果を受けています。
?トランプ大統領の例
トランプも最初は有力な大統領候補ではありませんでした。過激な発言の効果もありますが、徐々に指示する人たちが増えクリントン氏を抑え大統領になってしまいました。
予想よりも多くの人がトランプを支持し始めたため隠れトランプ支持者が現れるほど人気になりました。
損したくない
人は自分が損をすることに過剰に反応してしまいます。
この現象はプロスペクト理論といわれ2002年にダニエル・カーネマンがノーベル賞をもらっています。
私たちは損をしたくないという心理が働くと周りの人たちのマネをして損するリスクを減らそうとします。
また、他人と同じ行動する方が正しいというバイアスがかかることも知られています。他人と違う行動をとって間違ったときにはその時の記憶が強く頭の中に残ります。
そのため、次に同じような状況になった時に周りと同じことをした方が正しいと判断してしまいます。
?降水確率の例
降水確率が50%と聞くとほとんどの人が傘を持って出かけると思います。確率が50%なので50%の人が傘を持って出なければおかしいですよね。
50%の確率で雨が降ると言われると知らず知らずのうちに自分の中で70%ぐらいに引き上げられています。
?手術の例
私も腸の手術をするときに最初は承諾を拒否しようと考えました。
手術は難しいものではなく盲腸を摘出するのと同じぐらいの難易度だったのですが「死んでしまうのではないか」、「もし失敗したらどうなるんだろう」と不安になりました。でも、家族が支えてくれたので期待に応えるためにと手術を決心できました。
この様な心理によってバンドワゴン効果が生まれるのですが、もちろん影響を受けない人もいます。
バンドワゴン効果の影響を受けない人
自己効力感が高い人は影響を受けない
自己効力感とは自分が周りに影響を与えれるという信念の事です。
成功体験が多い人は自己効力感が高くなり他人の意見に左右されなくなることが知られています。
例えば、自己効力感が高い起業家はプロスペクト理論通りに行動しないことが知られています。自己効力感が高いため、過去の成功に捕らわれることなく次々と新たな挑戦をしていきます。
確かに自分に自信があれば仲間外れにされても、損する可能性があってもチャレンジングなことに挑めそうですよね。
希少性を重視する人は影響を受けない
個性が違えば同じものを見ても感じ方が違います。
例えば、希少性を重視する人はみんなが買うから自分は買わない、という決断をします。
こうしたみんなが持っているから欲しくないという心理になることをスノッブ効果と呼びます
希少性を重視する個性の人はスノッブ効果が表れやすく、お店で買ったものよりも手作りの物に価値を置いていたり、サプライズなどの体験を重視します。
心理学における性格診断にはビッグ5というものが使われることが多いです。
その中の神経症的性格というのは些細なことにも不安になるかを測定しており、この数値が低い人ほどスノッブ効果が表れやすいと考えられています。
マーケティングにおけるバンドワゴン効果
バンドワゴン効果を使ってマーケティングが行われています。
例えば、飲食店のテーブルの数をわざと減らすことにより行列ができやすくなりバンドワゴン効果が生まれます。
また、「人気No1」とか「○○大賞受賞」というのもバンドワゴン効果をもたらします。さらに、こうした見出しは人が選択するときの思考を簡単にしてくれるのでヒューリスティックバイアスの効果もあるとされています。
一度バンドワゴンが走り出してしまえば次々と群れが出来上がるので指数関数的に人が集まってきます。恐ろしいマーケティング手法ですね。
逆にスノッブ効果に働きかけるためには「ここでしか買えない」とか「オリジナル作品」とかのキーワードを入れるとよいでしょう。
バンドワゴンのような群衆を引き付ける力はありませんが、人気が出てくればバンドワゴンのような状態になっていくかもですね。
まとめ
今回は流行りに乗っかってしまうバンドワゴン効果について紹介しました。
有名な人がこの商品は良いとかこの企業の株は買うべきだというと本当にその商品や株が売れて言葉が現実になってしまうことがあります。
コロナウイルスが流行してトイレットペーパーが無くなるという情報が流れました。
この情報には全く根拠がないにもかかわらず多くの人がトイレットペーパーを買うようになり本当にトイレットペーパーが売り場から無くなってしまうということが起きました。
情報に根拠がないと見抜いたとしても群集心理により本当になってしまうため困った問題です。
情報があっという間に拡散するため、すぐに情報をただせる世の中にならないとですね。
バンドワゴン効果はアンダードッグ効果と一緒にしてアナウンスメント効果としても知られています。
☑️参考文献
Conformity in Groups: The Effects of Others’ Views on Expressed Attitudes and Attitude Change
The effects of information and social conformity on opinion change
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