急成長するAmazonの戦略
Amazonはどうしてここまで成長できたのでしょうか?
➡︎驚異的なキャッシュフローのおかげだと考えられています。
Amazonはネット通販だけではなく、映画や音楽、AWSと言うサーバーなど様々なサービスを展開しています。
今回はどうしてAmazonがこんなにも多くのサービスを提供できるようになったのかamazon 世界最先端の戦略がわかるを参考に紹介していきます。
急成長するAmazonの戦略
Amazonのおかげで生活が便利になったと言う人も多いのではないでしょうか?これだけ世の中に貢献できるようになるためにどんな戦略を使ってきたのでしょうか?
配当を払わない
驚くべきことにAmazonは97年の上場以来、株主に対して配当を支払ったことが無いそうです。
配当とは
➡︎配当とは売り上げから経費や税金などを差し引いた後の純利益を株主に還元すると言う仕組みです。
日本でもっとも純利益が大きいのはトヨタ自動車の2兆5000億円ですが、Amazonは2017年度は30億ドルとトヨタの8分の1しかありません。
それどころか、2014年は2億4000万ドルの赤字になっています。(ちなみに、会社の規模を示す時価総額ではトヨタが2400億ドル、Amazonが7777億ドルです。)
日本でもかなりのAmazon会員がいたり、AWSを使っている企業があるのになぜそんなに純利益が少ないのでしょうか?
➡︎答えは投資に回しているからです。
Amazonの驚異的な投資
売り上げが2009年の約69億ドルから2017年の約1兆770億ドルと約25倍増加しているのに対し、投資へのお金は8900万ドルから100億ドルと約100倍増加しています。
一般的に投資へのお金はサービスの拡大のため株主がポジティブに評価するポイントですがAmazonの投資は常軌を逸しています。それでも株主からの評価は高く、20年で400倍になっています。
こうした驚異的な投資ができるのもお金を持っているからです。
次はどのようにお金を集めているのか見ていきましょう。
CCCがマイナス
Amazonの強みとしてCCCがマイナス30日と言うことがあります。
CCCとは
➡︎CCCとはキャッシュ・コンバージョン・サイクルのことで仕入れた商品を何日で現金化できるかを表したものになります。
CCCが小さいと言うことは現金を手元に置いておける時間が長いと言うことなので、CCCが小さいほど良いとされています。
?AmazonはCCCがマイナス
なぜそんなことが起こるかと言うと、物が売れる前に入金されているからです。
例えばAmazonプライム会員は商品を手に入れる前に料金を支払います。また、Amazonに自由に出品できるアマゾン・マーケットプレイスでは出品者から売り上げから手数料を差し引いた額を一時的に預かっているため手元の現金が増えます。
こうした仕組みによりAmazonのCCCはマイナス約30日となっています。
Amazonの資金調達能力
アメリカの流通コンサルタントの仮説によるとAmazonは19億ドルものお金を無利子で貸せる能力があると試算しています。
マーケットプレイスではでの流通総額を550億円として総額の約9割を2週間後に出品者に支払うと考えると550 ✖︎ 0.9 ➗365日 ✖︎ 14日 = 19億ドルとなり、日本円で毎日2000億円もの資金を得ていることになります。
なぜ、こんなことができるのかというと物流網や倉庫を持っているからです。
次は物流や倉庫にどんな仕組みがあるのか紹介していきます。
巨大な倉庫と配送力
アメリカにはフェデックスとUPSと言う日本で言うヤマト運輸や佐川急便のような会社があるのですが、Amazonはこうした企業を脅かす存在になってきています。
SWAとは
➡︎SWAとはアメリカでAmazonが始めている輸送サービスのことです。
企業から荷物を受け取り消費者に届けており、今後この事業が拡大していくようです。日本ではヤマト運輸と提携していますが利益が出にくく、損益がギリギリだそうです。
ただ、日本のサービスがいいからなのかAmazonが日本で配送業を始めると言う話はないようです。
Amazonの配送能力
Amazonが配送業に参入するために商品輸送用のトレーラーは4000台以上、貨物自動車は3800台を所有しています。さらに、アマゾンワンと言う航空機を使った輸送業務も始め、貨物用の航空機を16機持っています。
航空機はこれから40機まで増やす計画があり、そのための空港も自分たちで作ってしまおうとしているようです。
倉庫でのシステム設計も素晴らしく、「KIVA」と言うロボットを使用しいます。2012年に約8億ドルでキバ・システムと言う会社を買収し配送センターの自動化が進みました。
また、商品ごとに分類して置いておく必要がなくなり、コストも削減できました。さらに、KIVAを使用していた会社の更新をさせず、他社の追従も許さない体制を整えました。
物流の1番の課題は物流の拠点から届け先まで輸送です。最後のワンマイルが一番コストがかかるためそのための投資が行われています。
Amazonは将来的に空に倉庫を作り、ドローンが個人の家まで荷物を届けると言うビジョンを持っているそうです。笑ってしまうかもしれませんが、このアイディアの特許も取っており本気で実現しようとしています。
1番利益をあげているAWS
上記のようにネット販売もすごいのサービスなのですが、1番の利益をあげているのはAWSです。
AWSとは
➡︎AWSとはサーバーを貸し出して小さな会社でもサーバーを持たずに高品質なシステムを利用できると言う事業のことです。
企業は財務の会計システムだったり顧客のデータなどをサーバーに保存して使用しています。アメリカではNASAやCIA、日本では日立製作所やキャノン、三菱UFJ銀行、毎日新聞もAWSを利用しています。代表として挙げる名前が凄すぎますね。
ただでさえ低コストなのに60回以上も値下げを行い、さらに顧客を増やしています。そして、さらに設備投資を行なっています。
会社で独自のサーバーを持つと言うことになると専門の知識が必要ですし、煩わしいメンテナンスや立ち上げに時間が取られてしまいます。もし、システムに不具合が生じた時には信用問題となり会社が存続の危機にさらされます。
そういったことに悩まされないようにとAWSのサービスが始まりました。これにより、簡単に低コストで高品質のサーバーが使えるようになります。
AWSの利益率とシェア
AWSの売り上げはAmazon全体の10%程度なのですが、利益率がとても高いため営業利益の殆どをAWSが占めています。AWSへの投資も積極的に行われており、他社よりも高い売り上げを維持しています。
例えば、マイクロソフトのクラウドサービスが24億の売り上げなのに対し、AWSは122億となっています。また、世界全体のシェアの35%を占めています。
まとめ
今回はAmazonがどのような戦略で成長してきたのか見てきました。
利益の全てを投資すると言う強気な姿勢がこうした成長を支えていると感じました。
成功している事業ばかりに目が行きがちですが、その分失敗もたくさんしています。結局、何が正解なのかわからないのでやってみるしかないようですね。
また、Amazonは自分たちが抱えた問題を解決することで新しいサービスを生み出しています。物流やAWSなどのサービスは過去にAmazonが直面した問題に基づいて作られました。自分が欲しいと思ったサービスを自分で作り、他の人に提供すると言うのはコスパの良い投資だと思います。