家族が仕事のやる気を高める話
仕事がつまらなくてモチベーションが下がっていませんか?
➡︎家族の存在は仕事のやる気を高めてくれます。
仕事そのものが楽しいとやる気が上がり熱中できるのですが、楽しい仕事ばかりではありません。今回は家族がやる気を高めてくれて成果を出しやすくなるという研究を紹介します。
家族が仕事のやる気を高める話
この記事は2017年にJochen I. Menges によって発表された論文に基づいています。
本質的モチベーションとは?
➡︎仕事そのものの楽しさからくるモチベーションです。
本質的モチベーションが高いと生産性や思考力、集中力が上昇します。
しかし、仕事が楽しくない職場もあります。ファストフード店など同じことの繰り返しをしている職場ではモチベーションが下がりやすい様です。
この問題に対し家族がモチベーションを補完するのではないかと仮定して調査しました。
家族のためはモチベーションをあげるのか?
➡︎いくつかの研究では家族のために働くことは仕事を楽しくないものにし、仕事から気をそらしパフォーマンスを低下させるとしています。
一方で家族がパフォーマンスを高めると言う研究もあります
その理由として
・家族の存在が仕事に意味を与える
・家族のためというモチベーションと本質的モチベーションは相乗効果がある
・本質的モチベーションが低下したときに補完してくれる
・感情を良い状態に保つ
などが分かっています。
さらに、Schwartzが2012年に行った研究では58項目の中で家族が大事と答えた人が2番目に多かったという結果があります。
なぜ家族がモチベーションになるのか?
➡︎一番身近な存在だからです。
理由としては下記のものが知られています。
- 親族として他人よりも大切にしているから
- 頻繁にコミニケーションしているから
- 自分が働いた結果を間近で見れるから
- 家族を支えることに責任感を感じるから
- 大きなグループよりも小さなグループを助けることにモチベーションを感じるから
身近な人が幸せになる方が自分の有能さを感じやすく、モチベーションが高まるようです。
家族を養うことに義務感を感じるのではないか?
➡︎家族を養うためのお金がインセンティブになり、仕事に楽しさを求めなくなると予想されます。
しかし、家族をモチベーションにすることと本質的モチベーションの関係を調べた研究はありませんでした。
家族をモチベーションにするとパフォーマンスが向上する
著者はクーポン券を正しい場所に発送する仕事の人たち151人を対象に調査を行いました。
スキャンしてデータに示されたとおりに振り分けるだけなので本質的モチベーションは低いと思われます。
しかし、一部の人は仕事のスピードや正確さが上達することに楽しさを見つけ本質的モチベーションが高い状態にあります。
?家族をモチベーションにしてるかの測定
・家族に良い影響を与えたい
・家族は自分の仕事から利益を得ている
などのアンケートに答えてもらいました
?本質的モチベーションの測定
・仕事を楽しんでいる
・仕事に興味がある
などのアンケートに答えてもらいました。
パフォーマンスに関しては1日に何個のクーポンをさばいたかモニタリングシステムにより測定しました。
結果
➡︎本質的モチベーションが低いときには家族をモチベーションにすることでパフォーマンスが上昇しました。しかし、本質的モチベーションが高いと家族をモチベーションにしていてもパフォーマンスは変わらない様です。
つまり、仕事が楽しくないときは家族のために働くと成果が出せるということです。
なぜ、家族のために仕事をすると成果が出るのか?
➡︎著者は行動同定理論で説明できるとしています
行動同定理論とは行動するときにどのように行うかを考える低次元の分析となぜその行動を行うのかを考える高次元の分析があるという理論です。
本質的モチベーションは低次元、家族に対するモチベーションは高次元に分類できます。
そのため、本質的モチベーションが低くても家族に対するモチベーションで補完できたと考えられます。
?学生を対象にした調査
似たような実験で学生たちに退屈な勉強をやらせ、誰かの役に立つと知らせたグループでは熱心に勉強するようになったという結果があります→(R)。
誰かのためというモチベーションは効果があるようです。
モチベーションとストレスの関係
本質的モチベーションが低いと燃え尽き症候群になったり、精神的に疲れたりストレスがたまり、心臓病、死亡率が高まります→(R)。
家族をモチベーションにするとストレスや血圧を下げ、不快なことからの回復が速くなり、自信や自尊心を持てるようになります→(R、R)。
そこで、本質的モチベーションが低くても家族をモチベーションにするとストレスが抑えられ、パフォーマンスが向上するか調査しました。
結果
➡︎本質的モチベーションが低いときに家族をモチベーションにするとストレスが低下しました。しかし、両方が高いと逆にストレスが増えることが分かりました。
ちなみに、ストレスとパフォーマンスには関連がない様です。
まとめ
✔️この研究から本質的モチベーションが低くても家族がいればやる気が出て少ないストレスで成果が出せることがわかりました。
ただ、本質的モチベーションが高いとストレスも多くなるようです。
やはり、家族の存在は大きいですね。
?家族をモチベーションにするリスク
家族のモチベーションが高まりすぎると過剰に自分を正当化するリスクが高まる、という報告もあります→(R)。
家族を大切にするために社会の利益を無視してしまうようです。
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