幸せになりたい人へ。人生を幸福にするための科学的な方法を紹介します。
- 幸せになるための方法が知りたい
- 仕事から幸せを感じるための方法が知りたい
- 不幸な出来事も幸福に変えていく方法が知りたい
人生の目的は幸せになることですよね?幸せになることが人生の最大の目的であるにも関わらず、その方法についての研究は進んできませんでした。しかし、近年の研究から幸せを掴むためのメカニズムが解明されてきています。
この記事を読むことで幸せを掴むための科学的な方法がわかります。
科学的に解説!幸せを掴むための効果的な方法
そもそも幸福感を決める要因とは何でしょうか?
「仕事での成功」、「結婚している」、「子供がいる」、「家族と暮らしている」、「収入が多い」など様々な要因が考えられます。こうした要因は個人によって感じ方が違うのでもう少し大きな括りで見る必要があります。
コロラド大学では一卵性双生児の幸福感を調査した結果から
・遺伝が50%
・環境が10%
・行動が40%
の割合で幸福感に影響することが分かっています(R)。
さらに、短期の調査では幸福感は遺伝により80%が決まるということも分かっています。
幸せになれるかは半分は遺伝で決まっているようですね。
しかし、幸福感は人生全体を通して高めなければならず、長期的に見れていないという指摘があります。
例えば、宝くじの例があります。
ノースウエスタン大学で宝くじに当たった人が幸せなのか調査しています。
その結果、宝くじが当たった人は短期的には幸せになるのですが、たった1年後には他の人よりも幸福感が低下していることが分かってます(R)。
多くの人はお金があれば幸せと考えるのですが、そうではないようです。こういった間違った判断は私たちのバイアスから生まれています。
では、どうしたら幸福感を長期的に高めることができるのでしょうか?
その答えを探るために遺伝、環境、行動について詳しく紹介していきます。
遺伝と幸福感
遺伝が幸福感の約50%を決める理由として遺伝が性格に影響しているからと考えられています。
性格を科学的に分析する方法としてビッグ5が用いられることが多いです。
- 誠実さ…正直で約束を破らない、など
- 外向性…他人と関わるのが好き、など
- 同意性…他人の意見を尊重する、など
- 開放性…新しい技術も柔軟に受け入れる、など
- 神経症的性格…小さなことも不安に感じる、など
これらの要素が高いか低いかを測定して性格を判断します。
ちなみに、ビッグ5と幸福感には下記の様な関係があります。
- 外向性が高い人は幸福感が高い
- 神経症的性格の人は幸福感が低い
この理由としては外交的な人の方がポジティブな経験を求めていて、喜ばしい状況に対して感受性が高い、逆に神経症的性格の人は小さかことにも不安なのでネガティブな出来事への感受性が高いからと考察されてます。
このように性格の違いが幸福感に影響します。
ただ、性格を変える方法というのも研究が進んできています。
環境と幸福感
環境は幸福感に10%しか影響しません。
いや、先進国に生まれるか発展途上国に生まれるかで幸福感が違うでしょ、と言う意見もあると思います。しかし、ブータンの幸福感が高い様に恵まれた国に生まれたからといって幸福感が高い、と言うわけではないようです。
幸福感に影響する環境として
・自然
・地理
・文化
・年齢
・民族性
・結婚していること
・地域の人との関わり
・健康
・収入
などがあります。
こうした環境要因はなかなか変えられないという特徴を持っています。さらに、もし変わったとしても宝くじに当たった人のように慣れてしまいます。
実際にほとんどの人は健康であるにも関わらず、日常生活で健康で生活できるに感謝出来ていないのではないでしょうか?
このように人は自分の幸福感に慣れてしまうので「幸せだ」と感じる事が出来ません。
行動と幸福感
行動は幸福感の40%を決定します。
遺伝は自分で変えられないですし、環境もなかなか変えれません。そのため、幸福になるためには行動を変えるのが一番効率的だと思われます。
その中で幸福感を高める行動も分かってきています。
- 認知態度
- 利他的な行動
- 意識的な行動
こうした行動は遺伝や環境と違って簡単に変えることができます。また、常に行動を変え続けることで長期的に幸福感を高めることも出来ます。
という訳で、長期的な幸せを掴むために3つの行動について詳しく説明していきます。
認知態度
誰かに感謝したり、誰かを許したり、自分が恵まれていると認識するとポジティブになり、満足感が得られます。
カリフォルニア大学で行われた研究では意識的に感謝する時間をとることで幸福感が高まることが分かっています(R)。
また、週に3回行うよりも週に1回意識的に感謝する方が幸福感が高まることも分かっています。
利他的な行動
親切な行動をすることにより自分に自信が持てるようになり幸福感が高まります。
また、他人に感謝されることで人の基本的な欲求である「人との関わり」を満たすことができます。
ミズーリ大学の行なった研究では週に5回の親切な行動を6週間続けると幸福感が増すという結果が出ています(R)。さらに、5回の親切な事を週に分散させて行っても効果は薄く、1日のうちに5回全て行うと幸福感が上昇することもわかっています。
感謝と利他的な行動は慣れによって効果が薄れた可能性が示されています。そのため、慣れないようにたまに行うのが重要みたいですね。
意識的な行動
自分の強みを伸ばしたりポジティブな結果のために意識的に行動を変えると幸福感が高まります。
行動を変え、目標を達成した時には「自分には物事を変える力がある」と認識するようになり、さらに強い意志を持って行動を制御できるようになります。
ミズーリ大学で行われた研究では学生たちに目標の単位数を決めさせて単位を取らせた方が目標を達成した時の幸福感が高まっていた、という結果が出ています(R)。
しかし、次の学期でも目標を達成しないと幸福感は元に戻ります。
意識的な行動もタイミングよく行動しないと慣れてしまうって事ですね。
科学者の幸福感が高いことが知られています。
理由としては、新しい問題に突き当たり、それを解決するために新たな実験を行うからとされています。
意識的な行動は日々の行動を変えるので慣れによる幸福感の低下を抑制するようです。
ここまでで行動をすることで幸せが掴めるという事が分かったかと思います。
しかし、行動をしろと言われても何を基準に行動を決めたらいいのか、どうやって始めて、どうやって続ければいいのか、という疑問を持つかも知れません。
行動を選択する基準
何を基準に選ぶかは自身の性格や価値観などによって様々です。
ペンシルバニア大学で行われた研究では個性によって幸福感の感じ方が違うという事が分かっています(R)。学生を対象に下記のうちのどれかをランダムに割り当て1週間後の幸福感を測定しています。
・3つの良かった事を記録する(1週間に2日以上)
・他人に感謝する
・ポジティブな体験を積極的に行う
・得意な事を伸ばす
・建設的な助言を受け取る
その結果、性格によっって幸福感の感じ方が違う事がわかりました。
- 3つの良かった事を記録する→内向的な人向け
- 他人に感謝する→外向的な人向け
- ポジティブな体験を積極的に行う→外向的な人向け
- 得意な事を伸ばす→内向的な人向け
- 建設的な助言を受け取る→内向的な人向け
また、他人に感謝するときでも内向的な人は直接感謝を言うのではなく、メールや手紙で感謝した方が幸福感が高まるという結果が得られています。
このように、自分の性格とマッチした方法を取り入れる事で幸せを掴む可能性が高まります。
他にも性格と同じように価値観によっても幸福感の感じ方が違うと考えられています。
ヨーク大学の研究では人とのつながりを重視する人は手紙を書く事で自分自身を心地よくすることがわかっています(R)。
また、自分に対して批判的な人は感謝する練習をすることで自尊心や幸福感が高まることが知られています。
幸せになるためには自分がどんな人間かを知らなければならないようです。
行動を変化させ続ける方法
自分の好きなことを続ければいいだけです。
しかし、最初は好きでなくても続けているうちにその活動のなかに楽しさを見つけることもあります。
そのために変化を習慣化しましょう。
習慣化
一度習慣化してしまえば、行動を起こすのが簡単になります。
例えば、ランニングの習慣ができている場合は走るか他の事をするかで悩むことがなくなり、自然とランニングが行えます。
ただ、同じ事をしていると慣れてしまうので、いつもと違うルートを走る、走るスピードを変える、といった工夫が必要みたいです。
このように何か新しいことを習慣化し、その中で変化をつけていくと長期的に幸福感が高まるようです。
オススメの習慣
私がオススメする幸福感を高める方法として瞑想を紹介したいと思います。
瞑想は脳科学的にも感情的になるのを抑え理性的な行動を促す事が分かっています。また、こうした脳の構造の変化により自分を客観的に見れるようになり他者との関係を円滑にしてくれます。
とは言っても、行動を変化させるためにはある程度の努力が必要です。
そのため、幸福感を高めることでどのような効果があるのか知っておきましょう。きっと、モチベーションを高めてくれるはずです。
仕事から幸福感を感じる方法
行動を変えることで幸せになれると言うことを紹介しましたが、プライベートだけでなく仕事からも幸福感を感じれるようなならなければなりません。
一生の内で仕事に費やす時間は90000時間とされています。この時間を幸せと感じれないと人生が幸せにならないでしょう。それにもかかわらず、仕事に一生懸命の人はわずか15%しかいないようです。
仕事に一生懸命になれない理由としてストレスが挙げられます。
- 時間に制限がかかる
- 余暇の時間が減る
- 社会的繫がりが薄くなる
仕事に一生懸命になるとこうしたストレスがかかります。このようなストレスがあるにも関わらず仕事から幸せを得ることはできるのでしょうか?
その答えを知るために私たちがどのように「幸せ」と感じているのかを紹介します。
私たちはどうやって幸せと判断するのか?
私たちは「自分が幸せか」という問いに対してどのように考えるのでしょうか?心理学では2つの評価方法を用いているとされています。
- 他人との比較;お金や役職など他人との比較に基づいたものです
- 自分の価値観;自分の感じるキャリアの満足度です
例えば、今の給料に満足していたとしても同僚の収入を知った時に即座に自分との比較が行われます。同僚の方が給料が多い場合に自分が不幸のように感じ、自分の方が給料が多い場合には自分が幸せのように感じてしまいます。
南メソジスト大学のPeter A. Heslinの行なった研究では被験者に自分のキャリアの成功度合とその根拠を示させました。
その結果、68%の人が他人を参照した評価を使っていました。しかし、90%の人は自分の価値観に基づいた評価も使っていました。(R)
このことから人生の満足度を評価をするときに多くの人は1つ以上の基準を使っていると考えられます。
よく「他人と比較しないことが幸せになる方法だ。」と言いますが、多くの人は他人との比較をしてしまうようです。
他人を気にせずにいられればいいですが、難しいようですね。
仕事での成功は幸福感を高める
2015年にAndrea E. Abeleによって発表された論文によると仕事で成功している人ほど幸せになっているということが確認されています。
修士課程を卒業した1930人を対象に就職して10年後の度合いとその時の幸福度、他人を参照した評価、自分の価値観に基づいた評価を測定しています。
その結果、仕事での成功は他人と比較したときの満足感を高め、幸福度に影響することが分かりました。
また、勤務時間が長いことで家族との関わりや余暇の時間が減り、ストレスがたまるというデータも出ていますが、幸福度に大きな影響はないようです。
この結果から多少プライベートを犠牲にしてでも仕事で成功した方が幸福感が高まると考えられます。ただ、とてつもない大きなストレスや長期にわたるストレスは幸福度を下げるということも確認されているので注意しましょう。
自己決定理論とも相関がある
多くの実験で参考にされている自己決定論では人種や性別が変わっても3つの欲求があるとしています。
- 有能さを示したい
- 他人と関わりたい
- 自分で決断したい
仕事での成功を望まない場合、有能さが示せませんし、他人の役に立つ仕事をすることもできないでしょう。
そのため、仕事での成功は幸せに大きく関わると考えられます。
しかし、仕事の成功から得られるものはお金だけではなく、社内での地位や顧客の利益など様々なものがあります。
お金は他人と比較してしまうけど、人の役に立つことには全く興味ない、という人もいるでしょう。この場合、自分の価値観と他人との比較の2つでは幸せについて考えるのに不十分だと思われます。
そこで、幸せの種類について考えてみましょう。
幸せには2種類ある
幸福感には2種類あることが知られています。
- 快楽的幸福
- 繁栄的幸福
快楽的幸福
お金が欲しい、地位が欲しい、苦労したくないなどの個人の基本的な欲求を満たすことからくる幸福感です。
人間の基本的な欲求に基づいていますので自然見つける事ができるという特徴があります。簡単に見つけることができるので多くの人はこの幸福感に気を取られてしまいます。しかし、本当に幸福になるためには繁栄的幸福もなければなりません。
繁栄的幸福
自分の価値観やビジョンに向かって取り組む、個人の利益だけでなく未来の世代や社会全体のために働くなどの欲求を満たすことからくる幸福感です。
友人や家族の幸福を願うのもこれに分類されます。
簡単には見つけられず、自分の人生に意味を見出さなければならないという特徴があります。自分の本当に好きなことがわからない様になかなか見つける事ができません。この幸福感を見つけることができれば本当の意味で幸せになれると考えられます。
幸せになるためには両方が必要
この2つには理論的に大きな違いがありますが、相補的に機能しているとされています。
どちらか一方のみが高くても本当の意味での幸せにはなれません。両方が満たされて初めて幸せを感じる事ができます。
一番考えやすいのはお金です。
ノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンは2010年に収入と幸福感の関係を調査しています。
この45万人を対象にした調査の結果、お金により快楽的幸福と繁栄的幸福が一定の金額までは上昇したのですが、繁栄的幸福は徐々に上昇しなくなり日本円で約年収800万で止まってしまうことが分かりました。
この様に同じ「幸せ」でも違うメカニズムで働いているのが分かります。
お金は必要ですが、ある程度収入があるとお金よりも人とのつながりを大事にした方が効率よく幸せになれるってことですね。
ちなみに、収入が少ない場合はストレスや離婚しているなどネガティブな要因が幸福感を下げやすくなっていることも報告されています。お金は幸せを高めるだけでなく、不幸を軽減する働きもあるようです。
こうした考え方は参考になるのですが、これをしたら必ず幸せになるというものは存在しません。人よりもお金で幸せを感じる人もいれば人との繋がりで幸せを感じる人もいるでしょう。
自分で自分を分析し、どうしたら幸せになれるか考える必要があります。
しかし、人にはバイアスがあるため自分の幸せについて正確に判断できません。そこで、記録をつけるという方法が有効とされています。
感情の変化を記録する
どんな時に満足できたか、なぜその決断をしたのか記録しましょう。
例えば、顧客にプレゼンした時の達成感はどうでしたか?後輩の指導をしているときにやる気が出ましたか?上司から任されるとやる気が出ましたか?などです。
何か選択に迷った時にどうして迷ったのか、何かを選択した場合にはどうしてそっちを選択したのか整理します。また、何か勉強している場合にはどうしてその勉強をしているのか記録しておきましょう。
こうした記録をつけておくことで自分の価値観が明らかになり、どんなことに幸福感を感じるのか客観的に見直すことができます。
友人と共有するのも効果的です。
友人に聞いてもらうことで繁栄的幸福感が高まります。さらに、自分では気づけない助言をくれたり落ち込んでいる時には励ましてくれるかもしれません。
こうした記録をするのに3つの注意点があるので紹介しておきます。
- 成果ではなく、過程に注目する
- 新しいことに挑戦する
- ジョブ・クラフティングを行う
成果ではなく、過程に注目する
目標の売り上げを達成した、新たな製品を開発した、という成果ではなくその成果を出す過程でどんなことを考えたのか?どう感じたのか?に注目しましょう。
結果は自分でコントロール出来ないことが多いのでいくら努力しても成果が出ないこともあります。そのため、結果を追い求めるあまり気付いた時には「あれ、自分はこんなことがしたかったんだっけ?」と自分の幸福とは関係のないことをしている可能性があります。
何を仕事にするかよりもどのように仕事がしたいかを重視しましょう。
新しいことに挑戦する
新しいことにチェレンジすることで「あれ、自分ってこんなことに喜びを感じるんだな。」と気づくきっかけになります。言われた仕事だけしていては自分の可能性に気づけません。
自分が好きなことを仕事にするよりも興味なかった仕事を頑張ることで後から興味が湧き、成果が出やすくなるという研究もあります。
どうやら新たなことにチャレンジしないと本当の自分に気づけないようですね。
ジョブ・クラフティングを行う
自分の分析に基づいて仕事の方法や捉え方、人間関係を変えてみましょう。考え方が変わることで仕事が楽しくなるかもしれません。
例えば、ただレンガを積むだけの作業だとしても家を作っていると思ったり、家族が安らぎの時間を過ごす場所を作っていると思った方がやる気がアップしますよね。こうした捉え方を変えることをジョブクラフティングと言います。詳しくは以前の記事を参考にしてください。
幸せになるためには不幸が必要
プライベートと仕事で幸福感を感じる方法を紹介してきました。
しかし、ジョージ・メイソン大学のTodd B. KashdanとRobert Biswas-Dienerは人々が幸せを求めることで幸せから遠ざかっていると指摘しています。なぜ、そんな事が起きてしまうのでしょうか?
答えは幸福を求めるあまり不幸のメリットを得られていないからです。
実際に幸福についての研究が進んでいるのに幸福な人が少ない、と言うことが知られています。
心理学の世界では幸せになるためにどうすればいいのか?というテーマで研究が進んできました。しかし、エモリー大学のコーリー・キイスが行なった研究によると3000人のアメリカ人のうち、心理的に「幸せ」と判断された人はたった17%でした。
こうした結果から、幸せを追求するのではなく不幸を経験しないと幸せになれないのでは?という仮説が生まれました。
では、不幸な出来事にどんなメリットがあるのでしょうか?
不幸な出来事のメリット
不幸なことがあっても最終的に幸福以上に人生の幸せに役立っていると言う調査結果があります。
- 最初は勉強につまづいても、そこを乗り切った生徒はその後のテストで他の生徒よりも高い点数を取るようになる
- 犯罪の被害者になった警察官はその後の事件に対してより強い決意と意欲を持って取り組むようになる。
- 午前中は不機嫌だった社員が午後に機嫌を回復させると1日中上機嫌な社員よりも真剣に仕事に打ち込める
こうした現象が起きる理由としてロナルド・ペドローの研究チームは心理状態は全て一時的なものと言う点を強調しています。
良いことが起ころうが、悪いことが起ころうが私たちの感情はすぐに元の状態に戻るため、長期的に見た時には幸福感に何の影響もありません。
むしろ、不幸な出来事から立ち直る方法を学ぶ良い機会になります。
とは言え、失敗ばかりしていては新たなことにチャレンジする気力が失せてしまいます。人には何かに挑戦する時には「自分はできる」という感情が必要という事が分かっています。
どうやらポジティブとネガティブのバランスが重要なようです。
どのぐらいのネガティブが必要か?
Todd B. Kashdanは幸福なこと80%、不幸なこと20%と言う割合が基本になると述べています。
20%の不幸な出来事があることで将来の不幸な出来事に対処する力が身に付く様です。
しかし、多くの人は不幸な出来事を避けるべきものとして捉えてしまいます。不幸なことも役に立つのになぜ嫌われているのでしょうか?
不幸な出来事が嫌われている理由
不幸な出来事を避けるべきものとして捉えてしまう理由として下記の理由が知られています。
- 不幸な出来事は不快だと思われている
- 不幸な出来事から抜け出せないと思われている
- 不幸な出来事は自制心を失わせると思われている
- 不幸な出来事は周囲に迷惑だと思われている
それぞれについて詳しく紹介していきます。
不幸な出来事は不快だと思われている
私たちは自身の不幸な出来事への耐性を過少評価してしまいます。
心理学者のメラーズのグループは妊娠を希望している人たちが診断を聞く前に診断結果によって自分がどのような気持ちになるのかを予想してもらいました。
当然、妊娠を希望していた人は自分が妊娠していないとガッカリするし、逆に妊娠していると大喜びすると予想していました。
しかし、実際には不幸なことが起こってもあまりガッカリしませんでした。この結果から、私たちはネガティブ感情への耐性を過小評価している事がわかります。
不幸な出来事から抜け出せないと思われている
不幸な状態の代表としてうつ病が知られています。
うつ病は重度の症状の人の60%が再発し、その中の70%が再び再発し、そのうちの90%が4度目を経験すると言われています。
この数字を見るとうつ病から抜け出せない、と思いがちですが実際には1回目が100人だとすると、2回目が60人、3回目が42人、4回目が38人なので徐々にうつ病から脱していることがわかります。
このように6割以上の人はうつ病から回復しています。
不幸な出来事は自制心を失わせると思われている
不幸な出来事で自制心を失う可能性はとても低いです。
ニュースなどで感情的になって暴力を振るってしまったり、誰かを殺してしまったと言うニュースは大きく扱われる傾向にあります。
しかし、実際には冷静な状態で犯罪を犯している場合の方が圧倒的に多く、不幸な出来事によって自制心を失うことはほとんどないと考えられます。
不幸な出来事は周囲に迷惑だと思われている
確かに不幸な出来事は周囲の人たちにとって迷惑です。
同僚が怒りに任せて椅子を蹴飛ばしたりすると職場の雰囲気は一気に悪くなってしまいます。
また、周囲に迷惑をかけることで自分自身の評価も下がってしまいます。
私たちはそのことを直感的に分かっているため、嫌なことがあってもその感情を押さえ込み、なかったことにしようとします。
しかし、嫌なことというのは何かがうまくいっていないことを示してくれています。そのため、嫌な感情を抑え込むのではなく、受け入れて何をしなければならないのか考える方が有益です。
嫌な気分のメリット
- 怒り
- 罪の意識
- 不安
この3つが普段の生活の中で感じやすいネガティブな感情です。これらの感情を否定するのではなく、その感情をどのように使うかが大切です。
では、これらの感情にどのようなメリットがあるか見て行きましょう。
怒り
怒りの感情は4つの効果が知られています。
- 楽観的を高める
- 創造性を高める
- 交渉を有利にする
- 人々を団結させる
楽観性を高める
怒りを感じた人は楽観的になり易いことが知られています。
過去の研究では怒りの感情を植えつけた人は
・自分で結果をコントロールできる
・ポジティブな結果が得られる可能性が高い
・リスクには価値がある
と考える傾向が高いことが知られています。
普段の生活でも、怒りに任せた方が立場が上の人に意見を言えたり、大胆な行動ができた、という経験があるのではないでしょうか?
確かに怒りによって楽観的になっているような気がしますね。
創造性を高める
怒りを自制した方が創造的になるということが知られています。
過去の研究ではレンガの使い道を考えることで創造力を測定しています。
怒りを誘発した時に自制を働かせた人の方がレンガの使い道を多く思いつきました。一方で自制心のない人の創造力は低下しました。
この様に怒りを自制することで想像力が高まります。
交渉を有利にする
怒りを示す人は売り手から割引してもらい易いことが知られています。
過去の研究では怒りを示す人は相手に強い人という印象を与えることが知られています。そのため、売り手は強い欲求ができず3回目の交渉で20%の値引きを受け入れました。
しかし、怒りを演じると信用が失われ逆効果ということも知られています。
バラク・オバマも2010年にイギリスのエネルギー関連会社がメキシコ湾で原油流出事故を起こした時、冷静すぎると非難され、その後怒りを表明しましたが嘘だと見破られ逆効果になりました。
人々を団結させる
怒りは人々の団結させ、物事を変える力に変換できます。
黒人に対する搾取や人種差別が行われていた時、黒人たちの怒りは人々を団結させ自由と平等を勝ち取りました。
同じ相手に怒りを持っていると協力し合うようですね。
罪の意識
臨床心理学者のジェーン・タングニーは犯罪防止のためには罪の意識と道徳的感情だとしています。
- 服役囚で過去の罪に罪悪感を感じている人は深く苦しみ、再犯率が低いことが知られています。
- 罪悪感を感じ易い人は飲酒運転や窃盗、暴行などもしにくいことが知られています。
ちなみに、罪の意識と似た恥の意識は違うものです。どちらも後悔するという点で同じですが性質が大きく異なります。
罪は自分が行ったことを後悔しているのに対し、恥の意識は自分の存在を後悔しています。そのため、恥の意識があっても行動は改善されません。
過去の研究では断酒を決断した時に恥の意識が低い人は4ヶ月で7.9杯だったのに対し、恥の意識が高い人は117.9杯だったそうです。
どうやら、罪の意識を高めつつ恥の意識を抑えることが重要なようです。
不安
不安は注意力ややる気、エネルギーを低下させることが知られています。視野が狭くなり、不幸なことが頭の中で繰り返されるため行動できなくなります。
ただ、不安があるからこそ小さなリスクに気付けたり、コミニケーションを頻繁に取る様になったり、自分から情報収拾をするということが知られています。
そのため、下記の様な不安に対する意外な事実もあります。
- 状況によっては不安感の強い人が望ましい
- チームに1人は不安感の強い人が必要
- 不安がないと小さな問題が大惨事に発展する
この様に不安に対してもポジティブな面がたくさんあるので不安を心理的強みとして捉えていく必要があります。
不安があることで将来的な脅威を取り除くことができるため、不安を肯定化するインセンティブを与えてあげると良いでしょう。
ホールネスとは?
上記のように不幸な出来事にもメリットがあり、長期的な幸福感を高めてくれるという事が分かったかと思います。
私たちは幸せになるためにどうしたらいいか?と問われた時に「愛する人と一緒にいる」、「収入を増やす」、「子供との時間を増やす」などを考えがちです。
しかし、多くの人が幸せになれていない様に直感的に幸せになると思われる行動では幸せになれない様です。
そのため、Todd B. Kashdanは幸せになるためには「ホールネス」を持つことが重要と主張しています。
ホールネスとは自然に持っている全ての感情を自分の成長に活用する能力のことを言います。
好奇心や癒しだけでなく、恐怖や恥ずかしさと言った感情も全て受け入れて自分の人生に活用できると人生において成功する可能性が高くなるようです。
幸せになるためには楽観性や忍耐強さ、外向性など何か特定のものが必要という議論がされていますが、「ホールネス」を持つ事が重要みたいですね。
ここまでで、幸せになるためには幸せを求めるのではなくホールネスを求めなくてはいけないという事が分かったかと思います。
ついでに、幸せのデメリットについても紹介しておきます。
幸せを求めることのデメリット
ポジティブな感情の良い面については研究が進んできました。しかし、その中でポジティブにも下記の様な悪い効果があることがわかってきています
- 幸福感は長期的な成功を妨げる
- 幸福感を追求すると不幸になることがある
幸福感は長期的な成功を妨げる
幸福感は人を楽観的にすることが知られています。そのため、下記の様な副作用が知られています。
- 人を信頼しすぎる
- 複雑なことを考えなくなる
- 説得力が落ちる
人を信頼しすぎる
ジョセフ・フォーガスが行なった研究では幸福感の高い人は嘘をついたか、ついていないかを当てれる確率が49%だったのに対し、幸福感が低い人は62%だったという結果が出ています。
幸福感が高い事で嘘を見抜けれなくなるようです。
複雑なことを考えなくなる
参加者に15の言葉を見せ、その中に実際は含まれていない言葉について15の言葉の中に含まれていたかと問うと幸福感の高い人が「含まれていた」と答える確率は50%上昇したという結果が出ています。
幸福感が高いと楽観的になるのでこうした現象が表れるようです。
説得力が落ちる
幸福感が低い人たちに哲学的な問題や生活に関わる問題について理論を作り、相手を説得する様に指示すると幸福感が高い人よりも25%説得力が高く、20%具体性が高まるという結果が出ています。
この様に幸福感が高いと今の現状に満足してしまうため、さらに幸福になるための努力を怠る様になる様です。
幸福感を追求すると不幸になることがある
幸福を求めると幸福を求めること自体がストレスとなり逆に不幸になることが知られています。
- ジョナサン・スクーラーらの研究によると幸福になろうと思って音楽を聞いた人たちに比べ、普通に音楽を聞いた人たちの方が4.5倍幸福感が高くなっていたそうです。
- アイリス・モースらが行なった研究では「幸福によって人間関係や健康、仕事の面でうまくいくことが分かった。」という記事を読んだ人はコメディ映画を見た後に失望感を感じていました。
理由としては幸福に関する記事を読むことで過剰に期待してしまい、コメディから得られる幸福が期待より低かったからだとされています。
さらに、幸福になりたいと強く願っている人ほど孤独感が強く、憂鬱になっていることも分かっています。
上記で紹介したように怒りや罪の意識、不安といった感情にもメリットがあります。
幸せを求める人はこうしたネガティブな経験を嫌うためネガティブな出来事に弱くなってしまいます。人生の中でネガティブな出来事を避けることはできないのでやはりホールネスを鍛える事が重要みたいですね。
こうした幸福感について、文化との関係も研究が進んでいますので紹介しておきます。
アジア人はネガティブになりやすい
アジアではグループ全体のために自分を犠牲にする傾向があります。
個人のアイデンティティはあるのですが、社会のために「自分がどう感じるべきか」を考えるため、感情を表現しにくい様です。
感情を表現しないと不安な状況にも耐えることができる一方、喜びを感じた時の幸福感を犠牲にするという側面もある様です。
こうした性質は生まれた場所の文化によって後天的に作られるそうです。
ミシガン大学のエドワード・チャンが行なった研究ではアメリカ人は日本人よりも良いことに関しては2倍以上高く予測し、悪いことに関しては1.5倍低く見積もった、という結果が出ています。
アメリカ人の方が感情表現が豊かで日本人はいつも悲観的な予測ばかりして感情表現が上手くない気がしますね。
ただ、アメリカ人の方がポジティブで幸福感を感じやすいから良いという訳ではありません。もちろん、幸せによるデメリットを受けやすくなります。
防衛的悲観主義
アメリカ人の様にポジティブな予測をして幸福感を感じやすくても、悪いことが起こった場合にはその不安に対処できなくなります。
そのため、防衛的悲観主義の状態が良いとされています。
防衛的悲観主義とは「最高の結果を望みつつ、最悪の結果を予想する」ことを言います。
ジェリー・ノレムは防衛的悲観主義でいることで失敗や絶望などへの不安にも対処できるとしています。
また、防衛的悲観主義の人はダーツを投げるときにリラックスするよりも悪いな結果を予想した時の方が30%も成績が良くなることが分かっています。
つまり、防衛的悲観主義の人はネガティブな状態の方が高いパフォーマンスを発揮できるということです。
もともとネガティブなことを予測しているので不幸な結果になってもあまり不安や怒りを感じないってのが大きなメリットです。
逆に楽観主義の人はリラックスした方が成績がよくなります。ただ、ポジティブな結果を予測しているので悪い結果だった場合に落ち込んでしまいます。
幸福感を高めることの効果
幸福感を高めるためには不幸な出来事も必要ということを紹介しました。最後に幸福感を高めることでどのような効果があるのか紹介していきます。
カリフォルニア大学のソニア・リュボミアスキーは幸福感が高まる事で下記の効果があと述べています。
- 結婚する確率が高くなる
- 離婚する確率が下がる
- 友達が増える
- 社会的な支援も受けやすくなる
- 生産性が高まる
- 収入が高まる
- より活発になる
- 集中力が高まりフロー状態に入りやすくなりる
- 免疫力が高まる
- 寿命が伸びる
結婚もできて、仕事もできて、友達も増えて、寿命も長くなるってめちゃくちゃいいことばかりですよね。
さらに幸福感は個人だけでなく、家族やコミュニティーにも副産物をもたらすようです。
確かに幸せそうな人の周りにいるとこっちも幸せになれる気がします。
幸福感がチームの成績にも影響する
バーバラ・フレンドリクソンは「ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則」のなかで幸福感が高いチームはパフォーマンスも高いということを述べています。
特に重要なのが3つの指標です
- ポジティブかネガティブか
- 自己中心的か他者に言及してるか
- 質問するものか自説を擁護するものか
幸福感が高い事でこの3つの指標が高まり、生産性や創造性、顧客の満足度、社内評価が高くなると言う特徴がありました。
このようにポジティブな体験を増やして幸福感を高めると良い結果が返ってきてさらに幸福になれるようですね。
まとめ
今回は幸せを掴むためには行動を変えようという話を紹介しました。
遺伝や環境というのは変えにくいため、行動を変える事で効率よく幸せを掴む事ができます。
今回は主にプライベートでの幸せの掴み方を説明してきましたが、人生の大半の時間は仕事に費やしています。
仕事からどのように幸福感を得ればいいのかというのは別の記事でまとめてますので参考にしてください。
参考記事
・Pursuing Happiness: The Architecture of Sustainable Change
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