二酸化炭素濃度上昇による影響
環境問題は重要だと思ってるけど詳しくないという方は多いのではないでしょうか?1日の中でも10℃以上違うことがあるし温暖化で1℃や2℃変化しても大きな問題じゃないと思っていませんか?その認識は間違いです。温暖化による問題が起こってしまうと取り返しがつきません。今回は温暖化の本当の問題いついて書いていきます。
二酸化炭素濃度上昇による影響
この記事はウィリアム・ノードハウスによって書かれた「気候カジノ」に基づいて書いています。
温暖化に伴い懸念されていることが起こるどうかは断定できません。
しかし、懸念されている事象は様々な化学的データから起きる可能性が高いとされています。
このようなデータがあるにも関わらず起きないかもしれないから、とい言って温暖化を軽視してしまうと問題が起こったときに取り返しがつかなくなります。
そのようなギャンブルをするよりかはデータに基づいた的確な判断をしていきましょう、というのがこの本の趣旨です。
二酸化炭素による温暖化のメカニズム
太陽から感じる熱は放射エネルギーと呼ばれており約3割は宇宙に跳ね返されているとされています。
残り残りのエネルギーは大気と地表に吸収され暖められた地球はいくらかのエネルギーを宇宙に放出します。
このエネルギーは宇宙から入ってくるエネルギーよりも波長が長く、大気中の二酸化炭素やメタンガス、水蒸気によって吸収されやすいという特徴を持っています。
この効果により温暖化が引き起こされます。
気候変動の予測
将来のこうした気候の変動に対してIPCCは2種類の予測を出しています。
1つは大気中の二酸化炭素が今後70年間で倍になり、その後長期間にわたりその水準で推移するというモデルです。二酸化炭素が増えるにつれて気温の上昇が見られその平均値は1.8℃という計算結果が出ています。
もう1つは二酸化炭素が安定した後に考えられている長期的な気温の上昇モデルです。この場合の気温の上昇の平均は約3℃という計算結果が出ています。
このように大きく違う結果が出るのは気候変動が長期的で計算式も複雑になるためだとされています。
今まで多くの研究者がモデルを構築してきており、その中から得られた重要な結論として下記のようなものがあります。
- 21世紀の海面上昇の推定は巨大氷床の影響を除いて18〜60cmになる。
- 1900年から2100年の世界の平均気温の上昇幅は1.8〜4.0℃になる。
- 陸地では世界平均で見たときよりも急な温度変化が起こり、北極圏ではさらに加速される。
- ハリケーンの強大化
- 二酸化炭素の上昇により海洋の酸化が引き起こされる。
こうした懸念事項が一度起こってしまうとなかなか元に戻せないということも言われています。
例えば、化学で使う活性化エネルギーのような概念のように一度エネルギーの山を越えて反応したものはなかなか元には戻らず、戻るときにもその山を越えなければなりません。
こうした危険な臨界点を持つ事象について見ていきましょう。
危険な臨界点を持つ事象
危険な臨界点を持つ事象を挙げます。
- 巨大氷床の崩壊
- 海洋循環の大規模な変化
- 温暖化が引き起こすさらなる温暖化
- 長期にわたる温暖化の増幅
巨大氷床の崩壊
氷床の体積は温度ともに減っていきます。しかし、その減少スピードは一定ではありません。世界の平均気温の上昇が5℃程度までは緩やかなのですがそれ以上になると一気に減っていくとされています。
さらに、氷床を元に戻そうとしても平均気温が5℃上がった時点から4℃下げてもあまり変化はなく最後の1℃で急速に戻るとされています。
つまり、一度溶けた氷床を元に戻そうとすると平均気温を5℃下げないといけないということです。
このように、一度氷床が溶けてしまうと元に戻すのが困難と考えられます。
そのため、今の時点で温暖化を食い止めることがとても重要です。
海洋循環の大規模な変化
例えばメキシコ湾の暖かな表層水は北に向かって流れ北大西洋地域で熱を放射するため、その一帯が生物にとって住みやすい場所となっています。
温暖化はこうした世界規模の仕組みを破壊してしまう可能性があります。
これにより生態系が変化し動物や植物が絶滅してしまうことも考えられます。もちろん、一度絶滅してしまうと元には戻れません。
温暖化が引き起こすさらなる温暖化
例えば温暖化によって夏にクーラーを付けずにはいられなくなり、さらに二酸化炭素が排出される、というようなことです。
自然災害が起こったときも同様で再建するためにさらに二酸化炭素を排出し台風の規模が大きくなる、大規模な土砂災害が多くなる、という悪い循環が生まれます。
近年では日本は大規模な自然災害に見舞われることが多くなり、本気で温暖化について取り組まないと負の循環に陥ってしまいます。
長期にわたる温暖化の増幅
温暖化の影響はすぐに出るものばかりではありません。何年もかけて徐々に影響が出てくる場合もあります。
例えば、氷床の崩壊や植生の変化、土壌やツンドラなどです。雪が早く溶けてしまうと太陽からのエネルギーを反射できなくなり温暖化が進むということもあるそうです。
まとめ
今回の記事で書いた臨界点の考え方はとても重要です。
問題が起こってから対処しよう、ではすみません。問題が起こったときには取り返しのつかないことになっています。
二酸化炭素の削減すらできないのに温度を下げるようなことができる訳ありませんし、温度を下げれたとしても莫大な努力が必要になります。
各国は自分の立場や経済を保つことに必死で温暖化に対して一致団結して取り組むことができません。
そのため、環境の被害を受けやすい地域に住んでいる人からダメージを受けていくことになると思います。
そうならないためにも今の時点で温暖化を食い止めるという認識が必要です。
参考文献
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