これだけは知っておこう!ゲノム編集と遺伝子組換えの違い

これだけは知っておこう!ゲノム編集と遺伝子組換えの違い

☑️この記事の対象者

ゲノム編集食品って健康に影響はないの?

ゲノム編集って何?

遺伝子組換えとゲノム編集って違うものなの?

こんな疑問に答えます。

ゲノム編集された食品に関する知識を身に着けておこう

結論

ゲノム編集によるリスクは遺伝子組換えに比べてかなり小さい
naka
naka

2つの違いを知る前にまずはDNA、遺伝子、ゲノムの違いを正確に理解しよう

DNA、遺伝子、ゲノムとは

DNAとは

デオキシリボ核酸のことで遺伝子やゲノムの構成要素。アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類がある。

遺伝子

ゲノムの中に含まれるタンパク質の設計図になるもの。ゲノムの3%しかないといわれていて、97%がジャンク(ゴミ)DNAと呼ばれている。ただ、ジャンクという名前だが遺伝子の発現を制御しているといわれており機能がないわけではない。

ゲノム

遺伝子やジャンクDNAすべてを含んだ遺伝情報のこと。ATGCの塩基対が約31億個含まれている。

naka
naka

31億ってことはATGだけで埋めたA4用紙が172万ぺージってことつまり、500ページのA4用紙が3400個できる計算になるね。

猫

その膨大な量のゲノムの中で遺伝子がたった3%っていうのは驚きだね。

naka
naka

そうだね。3%から作られるたんぱく質が消化器官で働く酵素だったり、髪の毛になって僕たちの体を機能させてるんだ。生物って不思議だよね。

ゲノム編集と遺伝子組換え

ゲノム編集

ゲノムの特定の場所を書き換える技術のこと

特徴;遺伝子組み換えとは違いピンポイントでゲノムを書き換えることができる。狙った場所ではない所を書き換えてしまう場合もゼロではないことに注意しなければならない。

猫
どうしてピンポイントで書き換えることができるの?
naka
naka
ゲノムがA,T,G,Cの4種類で構成されてることは理解したよね。実はこの4つは対になれる相手が決まっていてAはTとGはCとしか対になれないんだ。
このことを利用してゲノム編集にはガイドRNAというものが使われているんだ。RNAについてはDNAとほぼ同じものだと思ってくれていいよ。
ガイドRNAは100塩基ぐらいの長さがあって目的の遺伝子の場所までガイドしてくれるんだ。AはTとGはCとしか対になれないから100塩基の配列だとすると4の100乗分の1というとても特異性の高い配列ということが分かるね。このガイドRNAによってピンポイントで書き換えることが可能になってるんだ。
猫
狙ったところが書き換えれるなら安心は高まるよね。でも、もし違ったところを書き換えちゃったらどうするの。
naka
naka
今は次世代シークエンサーというものがあってすべての塩基を読み取ることができるんだ。これを使って確認できるし、簡便な方法としてはPCRと言ってゲノムの特定の領域を増幅させて、長さで判断したり、増幅させた範囲だけシークエンスにかけて判断で来たりもするよ。

遺伝子組換えとは

有用な機能を持った遺伝子をゲノムに組み込むこと。

特徴;特定の遺伝子を植物や動物の細胞のゲノムに組み込むことで植物や動物が本来持っていなかった機能を獲得できる。例えば除草剤耐性の遺伝子を大豆に組み込むことで大豆が除草剤によって枯れなくなるとか。ただ、従来の遺伝子組み換えではゲノムのどこに遺伝子を入れるかコントロールできない。

猫

膨大な量のゲノムのどこに入るか分からなかったらどんな影響が出るのかも分からないよね。

naka
naka

そう、だからゲノム編集技術が注目されているんだ。でも、遺伝子組換え農作物は家畜の飼料のために大活躍してたんだよ。

食品表示

ゲノム編集食品の表示義務

特定の遺伝子を切断し機能を失わせた場合は任意。一方で特定の遺伝子を加えた場合は表示義務がある。自然界で起こる変異との差がないということから規制は厳しくない。

遺伝子組換え食品の表示義務

遺伝子組み換え農作物を使っている場合には表示義務がある。ただ、故意でなく5%以下の混入であれば遺伝子組み換え食品でないということが言える。加工後に組み替えられたDNAが検出できない加工食品(しょうゆ、大豆油)にも表示義務はない。

猫

加工後に検出できないものは義務はな言ってことは意外と流通しているのかもしれないね。

naka
naka

確認できないから「遺伝子組み換え大豆を使用していません」って任意で表示してるのかもしれないね。行政としても確認のしようがないから仕方がないという立場みたい。

ゲノム編集に力を入れる国

やっぱりアメリカと中国で研究が進んでいる。

19年8月の科学雑誌サイエンスの記事によるとゲノム編集の技術的な改善や医療での応用は依然としてアメリカが1位だが、農業での応用は中国がダントツ1位になっている。

参考文献

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