心理学に基づく自主性を育む子育て
自主性のない子供に育ってしまい困っていませんか?
➡︎子供の興味をサポートしてやると自主性が育まれるようです。
何をするか自分で決めることで高い集中力とパフォーマンスが得られ、ストレスは低くなります。今回はこの自己決定理論を用いた子育てが自主性を育むという論文について書いていきます。
心理学に基づく自主性を育む子育て
この記事は2015年にJuan L. Núñez によって発表されたレビューに基づいて書いていきます。
自己決定理論が子供の人格形成にどのように役立つのか?
➡︎少ないストレスで高いパフォーマンスを発揮し満足のいく人生を歩むのに役立ちます。
自己決定理論では動機付けの要因として内発的動機付けと外発的動機付けを挙げています。
内発的動機づけとは
自分の内側から生じる欲求に基づいて行動することです。
この場合、行動の価値や行動の意思を自分自身の中に組み込むことができるため、自分の興味から行動できる人格が構成できます→(R)。
外発的動機づけとは
報酬や罰、恥をかきたくないという外部からの欲求に基づいて行動することです。
この場合、自分で行動を選択できなくなり、自分の感性に基づいた行動ができなくなります。理由は無理やり行動を制御されていたり、罰などによりプレッシャーがあるからです。
外発的動機付けはどんな影響を与えるのか?
➡︎他者からの圧力や報酬、罰がないと行動できなくなってしまいます。
外発的動機付けにより人格が構成されてしまうと幸福感が下がり、人生の満足度が低下することがわかっています。
↪︎そうならないためには自主性を尊重する教育が重要とされています。
自主性を尊重した教育
子供に自主性を待たせるためには子供に自分の自主性が尊重されていると認識されなければなりません。
どうしたら自主性が尊重されていると認識されるのか?
➡︎そのためには5つの要素を満たす必要があるとされています。
- 理由を明確にする…行動の理由を相手が分かるように言葉で伝える
- ネガティブな感情を肯定する…他の人と意見が合わないことを普通のことだと説明する
- 相手をコントロールしようとする言葉を使わない…〜しなさい、〜するべき、という言葉を使わないようにする
- 選択肢を与える…情報と一緒に選択肢を与えてその選択を尊重する
- モチベーションを高める…興味や好奇心、楽しさ、満足度などを高めることで自ら行動するよう促す
☑️この5つの要素を満たす時に
・肯定的な反応を示すこと
・時間を制限しない
・寛容さを示すこと
が大切だとしています。
自主性を育むサポート
自主性を育むサポートは組織的なサポート、手順的なサポート、認知的なサポートの3つのカテゴリーに分けられます→(R)。
組織的なサポート
特定の組織に入れるようにすることです。例えば学校の部活動ではなく地域のクラブチームに入れるようにサポートすることです。これにより組織の中で心地よく活動できるようになります。
手順的なサポート
何をどの様にするか選べるようにすることです。例えばスポーツで結果を出したいときにどのようなトレーニングをするか選べるようにすることです。これにより目標達成のために情報を集めるようになります。
認知的なサポート
自由な発想を促すことです。例えばネット環境を整えることで様々な情報に触れやすくすることです。これにより学習に投資するようになります。
子供の意見を尊重すると自律できなくなるのでは?
➡︎自主性と自立性は同時に育めます。
確かに子供の意見を尊重しているとやりたいことだけやるようになってしまうと考えがちです。しかし、著者はこうした疑問に自主性を育む環境構築に失敗しているからだと答えます。
ガイドラインが必要
必要な情報や明確な目標を与えることで自律性と自主性が育めます→(R)。
↪︎注意しないといけないのは、ガイドラインは相手をコントロールするものではなく、自主性を高めるように設計されるべきとしています。
例えば、授業では算数の時間という枠を決めてその中で勉強をします。もし、先生の授業を聴いていなくても自分で教科書を読んで勉強しているのであれば叱るべきではありません。
実際に自主性を尊重する教師の教室では子供の学習能力や想像力、出席率が向上することが分かっています。
まとめ
✔️この論文からルールを決めてその中で自主性を尊重する子育てをすると子供の人生を豊かになるということが分かりました。
自己決定理論は自分の過去の経験とも一致していて説得力があります。親に掃除しろと言われてやるよりも自分で気づいて掃除した方が充実した時間が過ごせます。
悩み;子供が自分から行動しない
➡︎外発的動機付けが浸透しているかも知れません。
?自己決定理論から下記のポイントが考えられます。
・子供が何に興味があるのか観察してサポートしましょう。
・答えを与えるのではなく子供自身が答えを見つけるのを見守りましょう。
・押し付けるのではなくあくまでも自分から行動を起こさせましょう。
頼むときにもポイントがある
➡︎〜するように頼むのではなく、〜できる人になって、と頼みましょう
〜して、という頼み方だとその行為が役立ったと認識し状況が変わると行動できません。〜できる人になって、と頼むと人格が形成されて状況に応じて動けるようになります。
褒めるときにもポイントがある
➡︎子供を褒めるときに結果を褒めるのではなく過程を褒めましょう
結果を褒めると結果だけに注目してしまい、努力できなくなります。結果までの過程を褒めると過程に注目し努力を続けられます。
参考文献
Autonomy Support in the Classroom
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