仕事から幸せを見つけるための心理学的方法
- 仕事をしても幸せを感じられない
- どうしたら仕事から幸福感を得られるのか分からない
- 幸せが何かわからない
一生の内で仕事に費やす時間は90000時間とされています。それにもかかわらず、仕事に一生懸命の人はわずか15%しかいないようです。
なぜ、仕事に人生の中の多くの時間を費やすのに仕事に一生懸命になれないのでしょうか?
この記事を読むことで私たちがどのように幸せを感じているのか、仕事から幸せを感じるためにはどうすればいいのか分かります。
仕事から幸せを見つけるための心理学的方法
仕事に一生懸命になれない理由としてストレスが挙げられます。
- 時間に制限がかかる
- 余暇の時間が減る
- 社会的繫がりが薄くなる
仕事に一生懸命になるとこうしたストレスがかかります。このようなストレスがあるにも関わらず仕事から幸せを得ることはできるのでしょうか?
ここで「幸せ」という概念についてどのように考えられているかを紹介します。
私たちはどうやって幸せと判断するのか?
私たちは「自分が幸せか」という問いに対してどのように考えるのでしょうか?心理学では2つの評価方法を用いているとされています。
- 他人を参照した評価;お金や役職など他人との比較に基づいたものです
- 自分の価値観での評価;自分の感じるキャリアの満足度です
例えば、今の給料に満足していたとしても同僚の収入を知った時に即座に自分との比較が行われます。同僚の方が給料が多い場合に自分が不幸のように感じ、自分の方が給料が多い場合には自分が幸せのように感じてしまいます。
南メソジスト大学のPeter A. Heslinの行なった研究では被験者に自分のキャリアの成功度合とその根拠を示させました。
その結果、68%の人が他人を参照した評価を使っていました。しかし、90%の人は自分の価値観に基づいた評価も使っていました。(R)
このことから人生の満足度を評価をするときに多くの人は1つ以上の基準を使っていると考えられます。
よく「他人と比較しないことが幸せになる方法だ。」と言いますが、多くの人は他人との比較をしてしまうようです。
他人を気にせずにいられればいいですが、難しいようですね。
仕事での成功は他人を参照した評価を高める
2015年にAndrea E. Abeleによって発表された論文によると仕事で成功している人ほど幸せになっているということが確認されています。
修士課程を卒業した1930人を対象に就職して10年後の度合いとその時の幸福度、他人を参照した評価、自分の価値観に基づいた評価を測定しています。
その結果、仕事での成功は他人を参照した評価を高め、幸福度に影響することが分かりました。
また、勤務時間が長いことで家族との関わりや余暇の時間が減り、ストレスがたまるというデータも出ていますが、幸福度に大きな影響はないようです。
この結果から多少プライベートを犠牲にしてでも仕事で成功した方が幸福感が高まると考えられます。ただ、とてつもない大きなストレスや長期にわたるストレスは幸福度を下げるということも確認されているので注意しましょう。
自己決定理論とも相関がある
多くの実験で参考にされている自己決定論では人種や性別が変わっても3つの欲求があるとしています。
- 有能さを示したい
- 他人と関わりたい
- 自分で決断したい
仕事での成功を望まない場合、有能さが示せませんし、他人の役に立つ仕事をすることもできないでしょう。
そのため、仕事での成功は幸せに大きく関わると考えられます。
しかし、仕事の成功から得られるものはお金だけではなく、社内での地位や顧客の利益など様々なものがあります。
お金は他人と比較してしまうけど、人の役に立つことには全く興味ない、という人もいるでしょう。このことから、自分の価値観と他人を参照した評価の2つでは幸せについて考えるのに不十分だと思われます。
そこで、幸せの種類について考えてみましょう。
幸せには2種類ある
幸福感には2種類あることが知られています。
- 快楽的幸福
- 繁栄的幸福
快楽的幸福
お金が欲しい、地位が欲しい、苦労したくないなどの個人の基本的な欲求を満たすことからくる幸福感です。
人間の基本的な欲求に基づいていますので自然見つける事ができるという特徴があります。簡単に見つけることができるので多くの人はこの幸福感に気を取られてしまいます。しかし、本当に幸福になるためには繁栄的幸福もなければなりません。
繁栄的幸福
自分の価値観やビジョンに向かって取り組む、個人の利益だけでなく未来の世代や社会全体のために働くなどの欲求を満たすことからくる幸福感です。
友人や家族の幸福を願うのもこれに分類されます。
簡単には見つけられず、自分の人生に意味を見出さなければならないという特徴があります。自分の本当に好きなことがわからない様になかなか見つける事ができません。この幸福感を見つけることができれば本当の意味で幸せになれると考えられます。
幸せになるためには両方が必要
この2つには理論的に大きな違いがありますが、相補的に機能しているとされています。
どちらか一方のみが高くても本当の意味での幸せにはなれません。両方が満たされて初めて幸せを感じる事ができます。
一番考えやすいのはお金です。
ノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンは2010年に収入と幸福感の関係を調査しています。
この45万人を対象にした調査の結果、お金により快楽的幸福と繁栄的幸福が一定の金額までは上昇したのですが、繁栄的幸福は徐々に上昇しなくなり日本円で約年収800万で止まってしまうことが分かりました。
この様に同じ「幸せ」でも違うメカニズムで働いているのが分かります。
お金は必要ですが、ある程度収入があるとお金よりも人とのつながりを大事にした方が効率よく幸せになれるってことですね。
ちなみに、収入が少ない場合はストレスや離婚しているなどネガティブな要因が幸福感を下げやすくなっていることも報告されています。お金は幸せを高めるだけでなく、不幸を軽減する働きもあるようです。
こうした考え方は参考になるのですが、これをしたら必ず幸せになるというものは存在しません。人よりもお金で幸せを感じる人もいれば人との繋がりで幸せを感じる人もいるでしょう。
自分で自分を分析し、どうしたら幸せになれるか考える必要があります。
しかし、人にはバイアスがあるため自分の幸せについて正確に判断できません。そこで、記録をつけるという方法が有効とされています。
感情の変化を記録しましょう
どんな時に満足できたか、なぜその決断をしたのか記録しましょう。
例えば、顧客にプレゼンした時の達成感はどうでしたか?後輩の指導をしているときにやる気が出ましたか?上司から任されるとやる気が出ましたか?などです。
何か選択に迷った時にどうして迷ったのか、何かを選択した場合にはどうしてそっちを選択したのか整理します。また、何か勉強している場合にはどうしてその勉強をしているのか記録しておきましょう。
こうした記録をつけておくことで自分の価値観が明らかになり、どんなことに幸福感を感じるのか客観的に見直すことができます。
友人と共有するのも効果的です。
友人に聞いてもらうことで繁栄的幸福感が高まります。さらに、自分では気づけない助言をくれたり落ち込んでいる時には励ましてくれるかもしれません。
こうした記録をするのに3つの注意点があるので紹介しておきます。
- 成果ではなく、過程に注目する
- 新しいことに挑戦する
- ジョブ・クラフティングを行う
成果ではなく、過程に注目する
目標の売り上げを達成した、新たな製品を開発した、という成果ではなくその成果を出す過程でどんなことを考えたのか?どう感じたのか?に注目しましょう。
同じ様に他人に貢献したとしても、教育を通じてよりもモノづくりを通じての方が他人に貢献できたと感じるかもしれません。
結果は自分の徳性とは関係ないことも多いです。そのため、結果に注目してしまうと自分の価値観が反映されず間違った分析をしてしまいます。
新しいことに挑戦しましょう
新しいことにチェレンジすることで「あれ、自分ってこんなことに喜びを感じるんだな。」と気づくきっかけになります。言われた仕事だけしていては自分の可能性に気づけません。
自分が好きなことを仕事にするよりも興味なかった仕事を頑張ることで後から興味が湧き、成果が出やすくなるという研究もあります。
どうやら新たなことにチャレンジしないと本当の自分に気づけないようですね。
ジョブ・クラフティングを行いましょう
自分の分析に基づいて仕事の方法や捉え方、人間関係を変えてみましょう。考え方が変わることで仕事が楽しくなるかもしれません。
こうした挑戦はネガティブに捉えられがちです。
しかし、一見嫌なことに取り組むことで自分が成長し、長期的に見た時にはより幸せになれるという研究も行われています。こうした概念をWell-beingと言います。
まとめ
今回は幸せとはどうやって認識されるのか?どうすれば仕事で幸せを感じられるようになるのか紹介しました。
しかし、会社に勤めているとなかなか自分の思ったように仕事ができません。
個人的にはパラレルキャリアによって本業とは別の仕事で好きなことをすることをオススメしています。
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