素早い決定ができるOODAループ
- 現場で判断できる集団を作りたい
- 変化に対応できる組織づくりの方法を知りたい
- OODAループって何?
職場で指示待ち人間ばかりになってる、なんてことはありませんか?もしかしたら現場での判断ができない組織づくりをしてしまっているかも知れません。
この記事を読むことで現場で素早く判断できる組織づくりの方法がわかります。
素早い決定ができるOODAループ
変化の激しい現代の中でOODAループが有効とされています。
- Observe(見る)
- Orient(分かる)
- Decide(決める)
- Act(動く)
- Loop(見直す)
簡単に言えば現場で状況を判断して決断してすぐに行動し、判断が適切だったか見直すという流れです。
これにより現場での意思決定を尊重し素早い決定ができます。
例えば、飲食店で夫婦がお子様ランチを頼んだとします。店の決まりでは10歳以上はお子様ランチを頼めないのですが、亡くなった子供のためにお子様ランチを注文したい、という話を聞きました。
この時にOODAループの場合はスタッフが自分の判断でお子様ランチの注文を許可できます。
この様にOODAループは現場で判断しなければならない時に有効です。
では、どんな組織でOODAループが有効なのでしょうか?
- 社内全体が他社の模倣や前例の踏襲しか考えていない。
- 計画の立案、書類作成、報告などに時間がかかり肝心の仕事に取り組めない
- 完璧主義のためどんな仕事にも時間がかかる
- 社内向けの資料に忙殺される
- 保身に走り、指示を待つだけの社員が多い
皆さんの組織でもこうした事例が当てはまるのではないでしょうか?
なぜ、この様な組織でOODAループが有効なのでしょうか?
- 現場の声を反映できる
- 変化に対応しやすい
OODAループは現場の声を反映できる
OODAループは元々アメリカが戦時中に現場での意思決定を素早くするために考案したものです。
相手が攻撃してくるかもしれないのに上からの指示を待っている暇はないですよね。
そのため、現場でどの様に判断するか指針だけ決め、あとは現場に委ねます。
これにより現場での予想外の出来事にも素早く対応することができるようになったとしています。
OODAループは変化に対応しやすい
OODAループは現場での判断を重視するため変化に対応できます。
戦後の日本は製造業で決まった仕事を繰り返していれば成長できました。
しかし、今は変化が激しく数年後には何が起こるのか分からないためより素早い意思決定が必要です。
それにもかかわらず古い考えのままでは時代に取り残されてしまいます。
では、OODAループを機能させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
OODAループを機能させる方法
現場での判断を重視するOODAループですが、自由に判断できるという訳ではありません。
一定の指針がないと組織としての機能が損なわれます。
VSAMを共有する
OODAループを回すためにはVSAMを共有しなければなりません。
- Vision(ビジョン)…五年後の自分や会社の理想の姿や社会や顧客のイメージ
- Strategy(戦略)…3〜4年かけてVisionを達成するための戦略
- Activity Direction(行動方針)…1〜2年かけて取り組む行動方針
- Mental model and feeling(メンタルモデルと感情)…心の中の固定観念や心の動き。VSAからの影響を受けて行動に変換される。
VSAMを共有することで判断における共通の指針ができるので社員全員がリーダーシップを発揮できる組織に変わることができます。
Visonが特に重要
社員が自分で考えて現場で判断するためにはVisionを共有しなければなりません。
会社が誰に対してサービスを提供するのか、顧客にどんな体験をしてもらうことを目指しているのか共有しましょう。
極端なことを言えばVisionがあれば計画などいりません。
実際にシリコンバレーのスタートアップは計画なしでOODAループを回しています。
VSAMに共感している場合は内発的動機付けが強められます
内発的動機付けとは自分の内側から出てくる同期のことです。
〜で人の役に立ちたい、〜に興味がある、など自分の内側の欲求に基づいて行動することを言います。この場合、ストレスが少なく努力ができパフォーマンスが高くなります。
数値目標や報酬は外から来る同期のため外発的動機付けと言われます。
外発的動機付けの場合は逆にストレスが高まりパフォーマンスが落ちてしまう危険があるため注意しましょう。
VSAMの作り方
VSAMを定めるにはOOHTが役立ちます。
- Observe(見る)
- Orient(分かる)
- Hypothesis(仮説を立てる)
- Test(検証する)
OODAループのような形で仮説を検証する方法です。
例えば海外の珍しいフルーツを食べている人の感想などを集め、海外のフルーツの需要があるはずだと仮説を立てます。
小規模で販売し売れ行きがよれば日本でも世界中の食べ物を楽しめる社会にするというビジョンを立てます。
そのビジョンを基に珍しいフルーツを使ったレシピを発信していくという戦略や顧客が求めているフルーツを手に入れられる様に最大限努力するなどの行動指針を組み立て、本格的に事業を始めていきます。
このようにOOHTにより自分たちの強みや市場の傾向を調べ、勝負できるビジョンに落とし込んでいきます。
VSAMを見直す
VSAMはVUCAという方法で見直すことができます。
VUCAは最初にSを加えて使われることが多いです。
- Stable;安定した状況で前例の踏襲と現状維持で対応
- Volatile;不安定な状況でMental model and feelingの見直しが必要
- Uncertain;不確実な状況でActivity and Directionの見直しが必要
- Complex;複雑な状況でStrategyの見直しが必要
- Ambiguous;曖昧な状況でVision見直しが必要
自分たちがSVUCAのうちどの状況か、将来どの状況に直面するかを考えることでVSAMを見直します。
Stableの状態の場合は前例の踏襲と現状維持で良いので問題はありません。そのほかのVUCAの状況の時にどのようなリスクがあるのか紹介します。
Volatile
状況が分かっていて行動の結果も予測できる状況のことを言います。
よくある例が一般的なクレームです。基本的にはマニュアル通りの対応で十分という状況です。
ただ、本当にマニュアル通りで良いのか考えないと重大事態になる可能性があります。
Uncertain
状況が分かっているが行動の結果が予測不能な状況のことを言います。
よくある例がクレームに対してどう行動したらいいか分からない状況です。
戦略があったとしても予期していなかった問題の場合、行動方針(VSAMのA)が明確になっていないことが多く、行動方針の見直しを行い全体に周知しなければなりません。
Complex
状況は分からないが行動の結果が予測可能な状況のことを言います。
よくある例が初めて発生した商品の不具合です。
これまでに直面したことのない事態ですが事前に想定した方法で対応できる状況です。まだ戦略(VSAMのS)が確立しておらずビジョンに沿った新たな戦略の構築が必要となります。
Ambiguous
状況が分からず行動の結果も予測不能な状況のことを言います。
よくある例がこれまで直面したことのない事態でどう対応していいか全く分からない状況です。
この場合は大前提となるビジョン(VSAMのV)が機能していないためどう行動すべきか分かりません。VSAMを再定義して組織全体で共有する必要があります。
このようにVUCAにより状況を判断しVSAMを改善します
そのうち直感的にOODAループを回すことができるようになります。
無駄な仕事を分ける方法
どのように仕事を回していけばいいか分かっても無駄な仕事で時間を潰していては生産性が向上しません。
そういった状態を改善するためにPMQIRとCBという考え方を使います。
- PMQIRとは無駄な業務のカテゴリーの頭文字です。
- CBとは価値を生む業務の頭文字です。
- Preparation…作業を行うための準備や資料作成の準備
- Move…人の移動時間
- Queue…作業をしていない待ち時間
- Inspection…検査、承認、確認作業
- Redundant…作業の重複ややり直し作業
- Customer Value added…顧客付加価値のことで顧客が費用を負担してでも作業してほしいと思っていること
- Business Value added…業務付加価値のことで法律や社会責任上必要な作業
生産性を見える化するため全ての業務をPMQIRとCBに分け、CBが全体の業務の何%かを出します。
これにより必要な業務にどれだけ時間を割いてるか分かります
日本の生産性が低い原因としてこのCBが占める割合が低いことが挙げられています。
当然、無駄な業務をしなくてはならない環境は社員の生産性を下げています。
まとめ
今回はOODAループをどの様に行えば良いか紹介しました。
いろんなアルファベットが出てきましたが、根幹にある考え方を覚えてもらったら良いかと思います。
OODAループで改善できる業務は多くあると思うので試して見てください。
- タグ:
- noindex