12のモチベーション理論。やる気を高める原理原則を紹介します
- モチベーションの理論が学びたい
- 楽しく仕事ができるようになりたい
- 管理職として部下を成長させたい
モチベーションをコントロールすることは仕事や趣味など様々な場面で役立ちます。自分がどんな時にモチベーションが低下し、どんな時にモチベーションが高まるか知っておくと対策が立てやすくなります。
この記事を読むことでモチベーションのコントロールの方法が分かります。
12のモチベーション理論。やる気を高める原理原則を紹介します
モチベーションが高まらないと仕事で成果が出ないだけでなく、ストレスが溜まり精神的な疾患のリスクが高まります。
楽しく仕事ができるように心理学で解明されている12のモチベーション理論を学んでおきましょう。
- 期待理論
- 強化理論
- 平等理論
- 覚醒理論
- 目標設定理論
- 二要因理論
- 欲求理論
- XY理論
- 帰属の3次元理論
- 5段階欲求理論
- アージリス理論
- ホーソン効果
それそれについて詳しく説明します。
期待理論
自分の行動や努力の結果を期待することによるモチベーションです。
実際に受け取る報酬ではなく、期待される報酬がモチベーションになることに注意しましょう。
期待していた報酬が自分の手元から逃げて行ったり、努力しても結果が得られない場合はモチベーションが低下します。
- 努力の結果パフォーマンスが向上する
- パフォーマンスが向上した結果、望んだ報酬が手に入る
この2つの条件を満たす時にモチベーションが高まります。
ただ、その人の特性によってこの理論が成り立たない場合も確認されています。
例えば、報酬を得ることよりもミスをしないことにモチベーションを感じる場合です。コロンビア大学で行われた研究ではこの特性を持った人の場合は結果の価値が高くてもモチベーションは高まらず、結果が低い価値の時にしかこの理論が当てはまりませんでした(R)。
強化理論
行動の結果を理解する事でモチベーションが高まるという理論です。
期待理論と似ているのですが、自分の努力、行動の結果を振り返る十分な時間がないとモチベーションが上がらないという点がポイントです。
- ポジティブな出来事による強化;勉強を頑張って仕事で成果が上がったらもっと勉強しようとするなど成功体験を繰り返すパターン
- ネガティブな出来事による強化;仕事の質が低くて上司から怒られた場合に仕事の質を高めようとするなど失敗経験を少なくするパターン
成功体験を多くし、失敗体験を少なくすることでモチベーションが高まっていくってことですね。
平等理論
報酬ではなく平等に扱われていることからくるモチベーションです。
自分が他の人と比べて平等に扱われていることに加え、他人が自分や他の人と平等に扱われていないとモチベーションが低下してしまいます。
- 組織の中での過去と現在の自分の体験
- 組織の外での過去と現在の自分の体験
- 組織の中での過去の他人と現在の自分の体験
- 組織の外での過去の他人と現在の自分の体験
この基準に照らし合わせるものとしてインプットとアウトプットがあります。
- 努力量
- コミットメント
- 経験
- 自己犠牲
- 忠誠心
- 柔軟性
- 金銭的報酬
- 福利厚生の充実
- 達成した仕事への感謝
- 新しいスキルや経験を得る機会
過去に努力して仕事にコミットした時に金銭的報酬が得られたのに今は何もアプトプットがない場合は公平性を感じられない、ということですね。
職場での公平性が保たれているかは下記の項目をチェックして見てください。
- インプットとアウトプットが一致している
- 望んだアウトプットを達成する能力がある
- 基本的に良い成果を出したら報酬を受け取れる
- 報酬システムが個人や組織の中で一貫している
- 報酬システムが過去と現在で不合理に変化していない
覚醒理論
感情の浮き沈みがないことからくるモチベーションです。
感情に激しい波があるとストレスになり、抑鬱状態になったりモチベーションが低下します。
感情の波を一定に抑えることで安定した結果を出せるようになります。
注意したいのはやる気がありすぎてもパフォーマンスが落ちるということです。一時的にやる気が高まっても燃え尽き症候群のような疾患のリスクが高まります。
- メンタルを刺激する経験や行動によってモチベーションが調整できる
- 適切なレベルのやる気は人それぞれだが、高すぎても低すぎてもパフォーマンスが低下する
- 人は意識的にも無意識的にも適切な状態を探している
自分を適切な状態に維持する方法があると高いパフォーマンスを維持できます。
目標設定理論
適切な目標設定はモチベーションを高めます。
基本的には高い目標であればあるほどモチベーションが高まり、自分には無理だと感じるまでは維持できます。
目標の設定にはSMARTと呼ばれるフレームワークが有効です。
- Specific;明確な目標か?
- Measurable;測定可能か?
- Achievable;達成可能か?
- Relevant;自分の望みやビジョンと関係あるか?
- Time-bound;いつまでに達成できるのか?
これに加え、目標となぜその目標を達成したいのかを明らかにしておくとモチベーションが高まりやすくなります。
もちろん、目標を設定するだけでなく、目標達成の自信やコミットメント、周りからのサポートが必要とされています。
ただ、目標がなかなか達成できなかった時にはストレスになったり、健康やお金を犠牲にして目標を達成しようとしてしまいます。そのため、何が一番大切かを考えて柔軟に対応していきましょう。
二要因理論
ビジネスの場面でよく使われる理論でモチベーションを高める要因と低下させる要因を特定しています。
モチベーションを高める要因がモチベーションを低下させる事がなく、その逆も然りという点がポイントです。
- 達成
- 承認
- 責任
- 進捗
- 成長
- 給料
- 地位
- 安全性
- 職場の人間関係
モチベーションを弱める要因が満たされたとしてもモチベーションは上がらないようです。確かに、給料や地位はモチベーションを弱める力は強いですが、モチベーションを高める力はあまり無いように思います。
また、モチベーションを弱める要因は直接的にモチベーションに影響するのではなく、間接的に影響していると説明されています。
欲求理論
3つの欲求の1つ以上を満たすことからくるモチベーションです。
- 達成…努力して難しい課題を達成したいという欲求です
- 権力…階級的な構造を好み、高い社会的地位を得たいという欲求です
- 協力…個人的な付き合いやコミュニティーに入りたいという欲求です
どの欲求が強いかは人それぞれですので、自分がどの欲求が強いか自己分析を行う必要があります。
どの欲求が強いかを知ることで自分のモチベーションを高めやすくなります。
XY理論
この理論ではX理論とY理論という2つの対照的な理論を使ってモチベーションを説明しています。
X理論は権力主義的な理論です。多くの人は権力で仕事を制限されることを嫌います。そのため、部下の仕事をコントロールしようとしたり、部下に意思決定権を与えない上司は部下のモチベーションを低下させています。
Y理論はX理論とは対照的な理論です。個人で主導権を持って仕事を進めたり、他の人と協力して仕事を進めることを推奨します。専門性の高い仕事や仕事の多様性などにより報酬が決められます。自分で自身のマネジメントをするため責任とスキルアップが促進されクリエイティブな発想で仕事ができるようになります。
近年ではX理論よりもY理論で仕事を行う職場が多く、モチベーションが高まりやすい事がわかっています。
また、スタンフォード大学のウイリアム・オウチ氏によってZ理論が加えられています。
Z理論は社員の忠誠心を高めることに焦点を与えています。チームでの意思決定や互いの助言、共通の意識を強めることで協力や信頼、社員の幸福感が高まりチームの団結力が増すという理論です。
これらをうまく使うとモチベーションを高めることができます。
帰属の3次元理論
結果の解釈の仕方でモチベーションが変わるという理論です。
解釈の仕方には3つの次元があるとされています。
- 安定性…結果が安定するとモチベーションが高まります。一生懸命努力して結果が良かった場合は再び良い結果を得るために努力します。しかし、努力しても同じような結果が得られないとモチベーションが低下します。
- 結果の原因の在りか…結果に影響を与える要因が自分にあるとモチベーションが高まります。努力が結果に影響しないのであればモチベーションが高まりません。
- 自分の裁量…自分が結果をコントロールできるとモチベーションが高まります。自分がどんなに努力しても結果にほとんど影響しないのであればモチベーションは高まりません。
これら3つの次元が満たされるとモチベーションが高まりやすくなります。基本的には自分の行動が結果に結びつくとモチベーションが上がるようです。
5段階要求理論
ピラミッドのような5つのレベルの欲求があるという理論です。
基本的には低レベルの欲求が満たされないと高レベルの欲求が満たされ無いとされています。
ただ、低レベルの欲求が満たされなくても高レベルの欲求が満たされるという研究も出てきており、完全にこの通りとはならないようです。
5つの欲求は大きく存在、関係、成長の3つに分けることができます。
従業員の生活が乱れていたり、職場での人間関係がうまくいっていないと成長が望めないということですね。
個人がどのレベルの欲求を満たしているのか分からないと適切なレベルの課題を与えられず、モチベーションも高まりません。
アージリス理論
子供が成長するように個人のレベルや成長のスピードによってモチベーションが高まるという理論です。
成長を促すためには7つの項目があるとされています。
- 受動的から積極的へ
- 依存から非依存へ
- 責任の範囲の拡大
- 浅い興味から深い興味へ
- 短期から長期への視点の変化
- 従属から優勢へ
- 自意識に気づく
こうした項目で成長できるとモチベーションが高まります。
ホーソン効果
モチベーションの理論ではありませんが人は観察されている事で行動を変える性質があります。
ホーソンが行なった研究で人は他人に見られている事で生産性を向上させる、という結果が得られています。そのため、このような名前が付けられています。
まとめ
今回はモチベーションについての12の理論について紹介しました。
この理論は人や場所によって働きが変わってきます。どの理論に基づくとモチベーションが高まるのか自分で検討して見ましょう。
こうしたモチベーションの理論はいろんな職場でかなり有用です。