モチベーションリソースとは?仕事のやる気を高めるためのポイントを紹介します。
- モチベーションのリソースを確保できるようにしたい
- なぜモチベーションが上がらないのか知りたい
- 何がモチベーションになるのかわからない
仕事のモチベーションが高まらないと精神的に不安定になり安定した結果が出せません。そのため、モチベーションリソースを確保することが重要になります。
この記事を読むことでモチベーションリソースを確保する方法がわかります。
モチベーションリソースの種類
私たちが仕事をするモチベーションはどこから来るのでしょうか?
モチベーションリソースが十分にあることで意欲的に仕事ができるようになり、成果が出やすくなります。
モチベーションリソースとして4つの型があるとされています。
- 物質型;家や車、仕事に有用なツールなどの物から来るリソースです。
- 環境型;福利厚生や社会ステータス、社内や家族との人間関係など自分の置かれた環境からくるリソースです。
- 能力型;自分のスキルや意思決定権、個人に蓄積された人脈や知識など自分の能力から来るリソースです。
- エネルギー型;休息の時間や前向きで楽観的な個性、自尊心など自分の内側のエネルギーから来るリソースです。
多くの人は環境型からモチベーションを得ていることが多いとされています。
同僚と支え合っていたり、上司からのサポートがあることで意欲的に仕事に取り組めます。
どのような環境だとモチベーションが高まりやすいかは下記の記事を参考にしてください。
リソースの保持理論とは?
上記のようなモチベーションリソースを高めていくためにはどうすれば良いのでしょうか?
そのためにリソースの保持理論が参考になるので紹介します。
リソースの保持理論とはリソースを増やしたり、保持したり、無くさないようにすることでモチベーションが高まるという理論です。
進化的にも生存競争に勝つためにリソースを増やす必要があり、個人の強みや社会的繋がりを獲得したから生き残ることができたとされています。
リソースの保持理論の4つの原則
リソースの保持理論では4つの原則が挙げられています。
- リソースを獲得するときよりも失う時の方がインパクトが大きい
- リーソースを失わないためにリソースを投資しなければならない
- リソースを失う可能性が高い時にはリソースを得る効果が高くなる
- リソースが失われる時、保守的になったりイライラしたり攻撃的になる
リソースを獲得するときよりも失う時の方がインパクトが大きい
人は損失に強く反応することが知られています。これはノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンはプロスペクト理論で説明されています。
そのため、リソースを失う方がインパクトが大きいのでストレスも多くなり、それが原因でさらにリソースを失いやすくなります。また、リソースを得る方がインパクトが小さいのでリソースが増えるスピードはゆっくりになります。
リソースが失いやすく獲得しにくいというのは気をつけなければならない重要なポイントです。
リーソースを失わないためにリソースを投資しなければならない
リソースの直接的な投資方法としてお掃除ロボットで時間を節約する、ストレスを緩和するためにマッサージを受ける、などがあります。また、間接的な投資方法として自分のスキルアップのためにスクールに通う、自信をつけるために新たなことに挑戦する、などがあります。
スキルアップや自信は損失を相殺するためのリソースとなるので積極的に投資した方が良いとされています。
リソースを失う可能性が高い時にはリソースを得る効果が高くなる
リソースを失う可能性が高い時にリソースを得るとストレスが激減します。
これは、リソースの保持理論のパラドックスとして紹介されています。
リソースが多い方がさらなるリソースが獲得しやすく、リソースが少ない時にはさらにリソースを失いやすくなります。
しかし、辛い時の些細なサポートが大きな励みになるようにリソースを失う可能性が高い時にはリソースを得た時のインパクトが高くなります。
リソースが失われる時、保守的になったりイライラしたり攻撃的になる
リソースが失われる時に保守的になることで助けが来るのを待ったり、ストレスの原因が過ぎ去るのを待つことができます。
また、イライラしたり攻撃的になることでストレスの原因を変化させ、ストレスに対処する方法を見つける可能性を高めます。
仕事で自分から行動しない、誰かを攻撃する、という場合にはこの原則が当てはまる可能性が高いです。
モチベーションは伝染する?
リソースの保持理論では自分のモチベーションが他人へも影響することが述べられています。リソースがある人はその人自体が他人のモチベーションのリソースになるようです。
この理由として2つの要因が考えられています。
- 共感能力
- モチベーターになる
共感能力
他人の幸せそうな様子を見て自分も幸せな気分になるように人には他人に共感する能力があります。神経科学の分野でも他人の行動を見た時にミラーニューロンが働き相手に共感することが分かっています。
そのため、近くにモチベーションが高い人がいるとその人を見て周りのモチベーションも高くなっていきます。
モチベーターになる
リソースが十分にあると自己効力感という「自分にできる」という感覚が発達しやすくなることが分かっています。
そのため、他人が困難なことにチャレンジしようとしていても前向きな言葉をかけることが出来るため周りの人の心的なリソースになることが出来ます。
どのぐらいのリソースが必要か?
モチベーションリソースの原理が分かったところで、どのぐらいのリソースが必要なのでしょうか?
この問題を考えるのに仕事の要求−リソースモデルが参考になります。
仕事の要求−リソースモデル
仕事の要求−リソースモデルとは仕事の要求よりも仕事のリソースが少ないとストレスをため込みやすくなるという理論です。
ストレスを溜め込むことで抑うつや不安障害などの精神的な疾患や燃え尽き症候群になるリスクが高まります。
仕事の要求とは
身体的、感情的にストレスになるものです。
例えば時間のプレッシャーや役割が曖昧なこと、ストレスのかかる職場環境、希薄な人間関係、過度な仕事の負担、複雑(退屈)すぎるプロジェクト、感情的に疲れる仕事、スキルアップできない環境、決まりごとが多い組織などがあります。
仕事のリソースとは
ストレスを減らしゴールを達成するためのものです。
最初に紹介したような密な人間関係や自己決定権、出世の機会、コーチング、スキルアップできる環境などがあります。
こうしたリソースを高めることで仕事の要求が高くても対処できるようになります。
仕事のモチベーションが上がらない時の対処法
まずは何がネガティブな影響を与えてるのか明らかにしましょう。
- 仕事が適切な人に振られていますか?
- 何がボトルネックでストレスになっていますか?
- 職場の環境はどうですか?
- サポートはありますか?
- 目的を共有できていますか?
こうした要因に正しく対応できていない場合には仕事が困難なものに感じモチベーションが高まりません。
また、仕事のリソースを高めることもモチベーションの上昇に繋がります。
- モチベーターやコーチの存在
- スキルアップの機会
- 建設的なフィードバック
- 自主性
- 明確な目標
- 十分な時間
こうした要因が提供されていない場合は仕事でストレスを抱えやすい状態です。仕事の進め方を考え直しましょう。
リソースの保持理論で「リソースを失う可能性が高い時にはリソースを得る効果が高くなる」という原則を紹介しました。そのため、現状が悪い状態でも少しのリソースでモチベーションを高めれるかもしれません。
まとめ
今回はモチベーションリソースから仕事のやる気を引き出す方法を紹介しました。
リソースは失いやすく増やしにくいという特徴があるので長期で考えなければならないようです。
参考文献
・Conservation of Resources in the Organizational Context: The Reality of Resources and Their Consequences
・Job demands-resources model
・From job demands and resources to work engagement, burnout, life satisfaction, depressive symptoms, and occupational health
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