ダークトライアドは遺伝する？

どうして人はダークトライアドになってしまうのでしょうか？

理由として環境要因と遺伝要因が考えられています。

ダークトライアドは自分の利益のみを追求して周りの人の精神を疲弊させます。今回は何が人をダークトライアドにするのか書いていきます。

ダークトライアドは遺伝する？

この記事は2008年にPhilip A. Vernon によって発表された論文に基づいています。

ダークトライアドとは普通は道徳的にためらうことでも自分の利益のためになら平気でできる人のことです。

ダークトライアドは性格なのか？

個人の性格がわかればダークトライアドの可能性がある程度分かるとされています（R）。HEXACOという方法ではほぼ完全にダークトライアドを見抜けるとされています。詳しくはこちらで。

性格を診断する方法としてビッグ５が知られています。詳しくはこちらで。

ビッグ5は性格診断をする上で信頼性の高い方法とされています
・誠実性…私利私欲ではなく良心に従って行動する能力
・開放性…好奇心や独創的な発想ができる能力
・同意性…他人の考えを理解し同意できる能力
・外向性…興味関心が自分以外にあり決断早く行動できる能力
・神経症的性格…小さなことで不安を感じたりストレスを感じる性格

ビッグ５は遺伝と環境によって決まるため、ダークトライアドも遺伝と環境で決まると考えられます。。

遺伝と環境が性格を決める

・生まれ付き持った性格＝遺伝
・親の育児スタイル＝育った環境
となります。

遺伝は親からの受け継いだもので、育った環境には２種類あります。

・共有環境…家にある本の数や近所づきあいなど同じ家族の中で共通に経験する環境
・非共有環境…兄だけが厳しくされて育つ環境や学校での先生が違うこと、友達が違うことなど同じ家族の中で共通に経験しない環境

著者は遺伝と環境が個人の性格を決め、ダークトライアドになるかを決めるのではないかと仮定して調査しました。

遺伝子が全く同じ一卵性双生児と遺伝子が一部異なる２卵生双生児の双子を調査しています。

結果

・ビッグ５…5つすべての要素が遺伝的要因と非共有環境と相関がありました。
・サイコパス、ナルシズム…遺伝的要因と非共有環境と相関がありました。
・マキャヴェリズム…遺伝的要因と共有環境と相関がありました。

✔️ざっくりまとめると、サイコパス、ナルシズムや個人の性格は親からの遺伝と個人が経験した環境によって決まるということです。

?ダークトライアド間での相関
・ナルシズムとサイコパスには強い相関がありました。
・マキャヴェリズムとサイコパスには強い相関がありました。
・ナルシズムとマキュバリズムに相関がありませんでした。

✔️サイコパスだとナルシストやマキャヴェリズムの可能性も高いということですね

この結果は他の論文とは違うところもあり議論の余地があるそうです。

?ダークトライアドとビッグ5の相関
・ナルシズムと外向性と開放性に強い相関があり、同意性に負の相関がありました。
・マキャヴェリズムと誠実さ同意性に負の相関があり、神経症的性格に正の相関がありました。
・サイコパスと同意性、誠実さに強い負の相関がありました。

✔️遺伝と非共有環境によりビッグ５が形成されダークトライアドになります。

?遺伝的相関が大きかったもの
・サイコパスと誠実性と同意性
・マキャヴェリズムと誠実性と同異性
・ナルシズムと開放性と外向性と同異性

?非共通環境が相関していたもの
マキャヴェリズムと神経症的性格

この結果を表にまとめると下記の様になります。

何が重要な指標なのか？

上記の結果をざっくりまとめると2つの結果が分かりました。

・サイコパスは誠実性と同意性が低い
・マキャヴェリズムとサイコパスは遺伝による影響が強い

相手の意見を受け入れる人はサイコパスの可能性が低いって事ですね。
また、親がマキャヴェリズムやサイコパスの場合、子供もその可能性が高いということですね。

まとめ

今回の研究で誠実性と同異性が低いとダークトライアドになる可能性が高いことが分かりました。しかも、誠実性と同異性は遺伝によって決まる可能性が高いようです。

遺伝で決まるからといっても親がダークトライアドだから自分のそうだとは限りません。共有環境や非共有環境もダークトライアドになるかに関係します。

また、性格は変えることができることもわかっています。

意志の力が強いと性格も変えられるそうです。