ヴィーガンは健康なのか?科学的文献を調べてみた。
ベジタリアンの中でもヴィーガンと呼ばれる人たちを知っていますか?
ヴィーガンとは動物由来の食品を食べない人のことを言います。
この食生活を選んぶ理由としては健康や動物を犠牲にしていきていかないという考え方、スピリチュアルなものなど様々です。
ヴィーガンの食生活で健康的になったという人や栄養素が足りずに病院に行くことになった、など様々な感想がネットに溢れています。
今回はヴィーガンの食生活が健康的なのか紹介していきます。
ヴィーガンは健康なのか?科学的文献を調べてみた。
ヴィーガンの文献を紹介する前にそもそもヴィーガンが何なのか紹介したいと思います。
ヴィーガンとは?ベジタリアンと何が違うの?
菜食主義者としてベジタリアンという言葉が有名です。しかし、ベジタリアンの中でもいくつかの種類があります。
- ヴィーガン=植物由来食品のみを食べる
- ラクト・ベジタリアン=植物由来食品と乳製品を食べる
- ラクト・オボ・ベジタリアン=植物由来食品と乳製品、卵を食べる
- ペスコ・ベジタリアン=植物由来食品と魚、卵、乳製品を食べる
ベジタリアンの中でも乳製品や卵も食べない完全菜食主義者がヴィーガンということですね。
ちなみに、ヴィーガンの中でも動物由来の革製品などを使わない人もいる様でそうした人たちをエシカル・ヴィーガンと呼ぶそうです。
では、ヴィーガンの食生活のメリットについて科学的な文献を元に紹介していきます。
ヴィーガンのメリット
心疾患の減少
約500万人の被験者を対象にしたハーバード大学が行った研究によると野菜中心の食事にすることで心疾患のリスクが減少するようです。
穀物や豆類、野菜などを食べている割合とスイーツや動物由来の製品などを食べている割合を数値化したところ、穀物や豆類を食べている人ほど心疾患のリスクが低下していることが分かりました。
ヴィーガンの食生活の方が心疾患を防げるということですね。
2型糖尿病の減少
上記のハーバード大学のチームは2型糖尿病(生活習慣の乱れで起きる糖尿病)についても約16万人の被験者を対象に心疾患の時と同じような調査をしています。
その結果、ヴィーガンの食事をしている人ほど糖尿病のリスクが減少していることが分かりました。
また、ワシントン大学の研究ではヴィーガンの食事をする方が2型糖尿病の治療に有効ということも分かっています。
49人の被験者をヴィーガンの食事でダイエットをするグループと通常の食事でダイエットするグループに分け74週間後にどうなっているか比較しました。
その結果、通常の食事でのダイエットで体重が3kg、悪玉コレステロール(動脈硬化を引き起こすコレステロール)と呼ばれるLDLコレステロール値が6.8mg/dL減少しました。
一方、ヴィーガンの食事でダイエットしたグループは体重が4.4kg、LDLコレステロール値が20.4mg/dL減少しました。
ヴィーガンの食生活の方が糖尿病を予防にもなるし、治療にもなると言うことですね。
肥満の減少
アメリカのロマリンダ大学が行った研究では菜食主義の食事をしている学生の方が肥満になりにくいことが分かりました。
この研究ではヴィーガンではなくベジタリアンの食事を対象にしています。子供の体重と食事の関連を知らべた結果、菜食主義の食事をしている子供の方が男性で7.6kg、女性で3.3kg低いことが分かりました。
ちなみに、体重では背の高さが考慮に入っていないので体の大きさ当たりの重さで計算するBMIに換算すると2ポイントも減少していたということも分かっています。
鬱や不安を低下させる
ワシントン大学の行った研究ではヴィーガンの食事により鬱や不安を和らげ、生産性を高めることが分かっています。
292人の被験者をヴィーガンの食事をするグループとそうでないグループに分け18週間後に鬱や不安、生産性に関わるアンケートを行いました。
その結果、ヴィーガンの食事をした方が鬱や不安、生産性が改善され、幸福感や身体的健康も促進されていることが分かりました。
その他のメリット
他にも前立線癌が早期に発見できれば食事を変えることで延命できるといった論文や軟骨損傷という膝の軟骨がすり減って痛みが出る症状を和らげるという論文もあります。
こうしたヴィーガンのメリットが確認されていますが、栄養状態が悪くなると指摘する人もいます。
確かに、動物由来の物を食べないと必要な栄養素が摂取できないので栄養が不足しがちになります。
では、ヴィーガンによってどんな栄養素が不足するのか見ていきましょう。
ヴィーガンの栄養状態
タンパク質
一番イメージしやすいのはタンパク質の不足です。私たちの体は遺伝子から必要なタンパク質を作り神経や筋肉、血管などを機能させています。
一般的には肉や魚、乳製品からタンパク質のもととなるアミノ酸を摂取するのですが、ヴィーガンはそうした食材を食べないので不足すると考えられます。
しかし、植物にも大豆や枝豆などの豆類、カボチャの種などのシード類、ピーナッツなどのナッツ類などアミノ酸を多く含んでいる食材があるのでそういった食材を食べることでタンパク質不足が避けられます。
ビタミンB12
一番深刻な影響が出るのはビタミンB12です。ビタミンB12は神経や血液中の細胞を機能させるために必須の栄養素です。
ビタミンB12が含まれる食品としては動物由来の物がほとんどでヴィーガンの食べるものには含まれていません。
そのため、ヴィーガンはビタミンB12を配合した食品やサプリメントによって補っているそうです。
そこまでするか、って感じですよね(笑)。本当に動物を殺したくない人はそこまでするんでしょうね。
カルシウムとビタミンD
カルシウムは乳製品などに多く含まれ骨を丈夫にするだけでなく筋肉を機能させるためにも必要とされています。そのカルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要です。
どちらもヴィーガンの食生活では不足がちになるのですが、カルシウムはシード類やナッツ類、豆類、緑黄色野菜から、ビタミンDはキノコ類から摂取できます。
カルシウムが少ないと骨粗鬆症や痙攣のリスクが高まります。ビタミンDと一緒に補うようにしましょう。
まとめ
今回はヴィーガンの食事についてまとめました。
ヴィーガンの食事は科学的に良い効果があると認められていますが、リスクもあるようですね。
おそらく、私たちが動物由来の物を食べ過ぎて不健康になっているだけで、ヴィーガンほど徹底した食生活の見直しは必要ないと思います。
興味がある人はヴィーガンの食事を始めてもいいでしょう。
ヴィーガンを始める時には必要な栄養素は生活習慣によっても変わってくるので自分が不足しがちな栄養素を意識して取るようにしましょう。
また、動物由来でないからと言って加工品ばかり食べるのも返って健康に良くないとされています。
無理をせずにトライしましょう。