マインドフルネスとマインドレスの上手な使い方

マインドフルネスとマインドレスの上手な使い方
この記事はこんな悩みを解決します
  • マインドレスってどんな効果があるの?
  • マインドフルネスとマインドレスの違いを知りたい
  • マインドレスの状態をうまく使いたい

論理的に考えるためには問題に集中した方がいいのですが、答えのない複雑な問題に対してはマインドレスの状態で考えるのが良いとされています。

この記事を読むことでマインドフルネスとマインドレスをどのように使い分ければいいのかが分かります。

マインドフルネスとマインドレスの上手な使い方

書店に行くとマインドフルネスに関する本がたくさんあります。
一方でマインドレスはあまり聞き馴染みがない言葉だと思います。

まずはマインドフルネスについて紹介していきます。

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは「今、この瞬間に」集中することを言います。

普段の生活では私たちは「今、この瞬間」に集中できていません。本を読んでいても天気のことや食事のこと、人間関係などのことに注意がそれ、本を読むと言う動作に集中できません。

マインドフルネスの効果
  • メタ認知機能が発達し客観的に自分を見ることができる
  • 理性的に考えることができるようになる
  • 集中力の向上
  • 不安やストレスを弱める

実際にマインドフルネスの一つの手段である瞑想では理性を司る前頭前野が活発になり、感情を司る扁桃体の活動が低下することが知られています。

瞑想は初心者でも簡単に行うことができます。
坐禅のようにお寺に行かなくても自宅で簡単に出来ますし、一般的な瞑想とは少し違う歩行瞑想や食事瞑想などもあります。

最初から長時間行うと集中力が続かないので徐々に時間を伸ばして行くことをオススメしています。瞑想を不快に感じると効果が出にくくなるので自分と対話をしながら無理をしない様にしましょう。

マインドレスとは

マインドフルネスが「今、この瞬間に」集中することだったのに対し、マインドレスは集中していない状態のことを言います。

マインドレスはただボーッとすることを言うのですが、これだけだとマインドレスを正確に理解している事になりません。
マインドレスな状態にいることで潜在的に情報を処理し、とても複雑な問題に対しての答えを見つけられます。

マインドフルとマインドレスは互いに高め合う

2つの状態を行き来することで理性では解決できない複雑な問題も解決できるようになることが知られています。
マインドフルで脳の特定の領域を活性化させることにより、マインドレスな状態になった時に脳の様々な場所が活性化されクリエイティブなアイディアが生まれます。

では、マインドレスを使うことでどのような利点があるのか紹介します。

マインドレスの3つの利点

マインドレスは直感的に行動するため、ネガティブに捉えられることも多いです。

しかし、将棋の棋士がトレーニングを重ねるほど直感的に次の一手が見えてくる様になることも知られており、このマインドレスに関する考え方が変わってきています。

マインドレスには下記の3つの利点があると知られています。

マインドレスの3つの利点
  • オートパイロット
  • 衝動的に行動する
  • マインドレスに決断する

オートパイロット

私たちは見知らぬ人とのやり取りや行き交う人の顔を見るたびに様々な情報を処理する必要があります。

その情報について細かく考えるよりもマインドレスな状態になり、自動的に処理してくれる方が負担が少なくて済みます。

そのため、下記の様な複雑な問題に対してはオートパイロットが使われています。

オートパイロットが有効な例
  • 相手が信頼できる人かどうか
  • 感情の調整
  • 創造的な発想

考えていたらキリのない問題ばかりです。
しかし、実際にマインドレスな状態で判断することで正解に近い答えを出せるという研究もあります。

直感で見抜く

ハーバード大学のロバート・ロゼンタールは直感的な判断の有用さを報告しています(R)。被験者に教師が授業をしている映像を見させ「教師がどれぐらい有能か?」と言う質問をしました。
その結果、30秒しか映像を見ていない人とその後数カ月間その教師の授業を受けた人の評価はほぼ一致していました。

このように直感的な判断も複雑な判断の場合には役立つ事がある、と言うのが分かります。

衝動的に行動する

衝動に任せると行動そのものを楽しめる様になることが知られています。

マインドレスな状態の方が偏見がない

例えば人種問題の様なセンシティブな内容を議論するとき、疲れていない状態だと偏見に満ちた言動や正しいことを言おうと言う意識が働くため、議論を楽しめません。
逆に、5キロのマラソンを走らせるなどして疲れさせると、余計な意識を無くし議論を楽しめる様になったことが知られています。
さらに、第三者に偏見がないと評価されたのは疲れた参加者たちの方が多かったという結果も得られています。

つまり、マインドレスな状態でいることで議論を楽しめただけでなく、偏見も少ないと判断されたということです。

マインドレスに決断する

私たちは無意識に情報を処理する能力があるために正しい判断を下せます。
例えば心理学の専門家を対象にした実験があります。

問題について考えない方が良い?

1つのグループには患者のデータを読んで4分間考えてから患者の心的障害を判断してもらいます。もう1つのグループには患者のデータを読んで4分間パズルを解いてもらってから判断してもらいます。
この結果、パズルを解いた方が5倍も正確に判断できる様になっていました。
この原因として、無意識の情報処理が考えられています。

私たちは情報を出された後に他のタスクを行なっていても無意識下でその情報について考えている様です。
さらに、この無意識下での情報処理の方が複雑な判断をするときには優れているようです。

問題を先送りする方が良い?

ペンシルバニア大学のアダム・グラントは問題を先送りすることでより創造性の高い解決策を思いつくと主張しています。
被験者に問題を出した後、マインスイーパーをやって問題を解いたグループとすぐに問題を解いたグループでは前者のグループの方が創造性の高い解決策を思いつくと言う結果が出ています。
これはマインスイーパーが創造性を高めたのではなく、マインスイーパーやってる間にも潜在的に問題について考えているからだとしています。

実際に先送りの良い例としてキング牧師の有名な演説があります。
長い間様々な人の意見を聴きながら演説が作られました。しかし、有名なI have a dream と言うフレーズは演説の直前に取り入れられたようです。

だた、問題を先送りしすぎると創造性は下がってしまうそうです。そのため、全ての先送りが創造性を高めるのではなく、効果的な先送りがあると言うことです。

後発企業の方が失敗しない

似たような調査で先行企業が失敗する可能性は47%なのに対し後発企業が失敗する可能性はわずか8%と言う結果が出ています。

一般的には先行企業の方が市場を独り占め出来るため有利だというファーストペンギンの理論などがあります。
しかし、最初に未知の市場に飛び込むよりも先行企業の様子を見てそこに独自性を加えて市場に参入した方が成功する可能性が高いようです。

実際にGoogleもYahooの例を見てから参入しましたし、FacebookができたのもMyspaceやFriendsterがでた後でした。

マインドレスな介入

上記の様なマインドレスの利点をうまく活用するためには下記の決断方法が最良とされています。

  1. 短い時間、マインドフルに熟考する
  2. 考えるのをやめる
  3. 何か全く無関係のことを行う
  4. 決断する

今までは自己認識を高めることが最良の判断を生み出すと考えられてきましたが、実際は無意識での情報処理に助けられています。

マインドレスの効果についてはいくつかの研究で確かめられています。
過去の実験ではにこやかに話す写真を見ながら電話した人の方が85%多く売り上げたという結果や「高齢者や障害者、LGBTを差別的に見るのをやめよう」と言われた人の方がますます差別的になる、という結果が得られています。

単純な問題について考えるのであれば論理的な思考に頼った方が良いのですが、マインドレスの効果も考慮して考えて行かなければならないようです。

まとめ

今回はマインドフルネスとマインドレスの使い分けについて紹介しました。

論理的に考えれる問題ならマインドフルネスがいい様ですね。しかし、生活の中では不確実性が多い問題が多いのでそんな時はマインドレスを使って見ましょう。

風呂に入っているときやランニングしてるときに良いアイディアがひらめくことがあると思います。
おそらく、無意識のうちに問題を解決しようとしているのでしょうね。

参考文献
ネガティブな感情が成功を呼ぶ

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