知った途端によく見聞きする様になる不思議な現象。バーダー・マインホフ現象とは?

知った途端によく見聞きする様になる不思議な現象。バーダー・マインホフ現象とは?

新しく知った曲をコンビニなどでよく聞くようになった、なんて経験はありませんか?

この現象をバーダー・マインホフ現象といいます。

特別なことが起きているわけではなくて、新しい曲を知ったことで普段は無視していた情報に気づけるようになっただけです。

今回はこうしたバーダー・マインホフ現象について紹介していきます。

知った途端によく見聞きする様になる不思議な現象。バーダー・マインホフ現象とは?

バーダー・マインホフ現象とは…自分にとって新しいものや考え方、パターンを知ったときに無意識にその新しいものや考え、パターンを探してしまうという現象の事です。

あまり知られていない便利な道具を買ったと思ったら周りの友達も使ってたり、本で新しく学んだ知識がニュースで当たり前のように使われていたり、などが当てはまります。

なぜこのようなことが起こるのか?

原因として無意識のうちに自分の知っている情報に注意が向くようになるからと言われています。

普段の生活の中で見たり、聞いたりする情報量は多すぎて処理しきれません。

道路の交通標識を毎日見てる人はいないでしょうし、人が話している声や風の音など耳に入っていても認識していないですよね。

全ての情報についていちいち考えていると脳がすぐに疲れ切ってしまいます。

そのため、私たちは自分に必要な情報だけに注意を向けてそのほかの情報を遮断しています。

新しいことを学ぶとその情報も必要なものと認識されるので、今まで遮断していた情報が入ってくるようになります。

こうした現象は頻度錯覚や確証バイアスとしても知られており、自分に都合の良い情報ばかりを集めて安心したいという心理からきているとされています。

つまり、もともとあったものに興味が湧いて気づくようになっただけということです。

ほとんどの人は「自分が知ったタイミングで他の人も知った」と錯覚してしまい、何か特別なことが起こっているように感じます。

落ち着いて考えるとそんなわけはないのですが、人は自分が特別な存在でありたいと願っているのでこうした錯覚が起きてしまいます。

この現象は科学者の間でも起きます

大きなブレイクスルーに繋がる発見をしても最初は他の研究者は興味がないため見向きもされません。

しかし、それに関わる研究を続けているとその研究について学ぶ人が出てきて徐々に他の研究とのコラボが促進されます。

そのうち、多くの人がこの研究の価値を認識するようになり、後からこの研究に興味をもった人は自分が知ったタイミングで他の人もこの研究を行うようになったかのような錯覚を持ちます。

毎日様々な情報を処理している研究者でもこのような現象が起こるので一般人ならなおさらでしょう。

バーダー・マインホフ現象の由来とは

バーダー・マインホフとは1970年代に誘拐や殺人などのテロを行った西ドイツの民兵組織が由来になっているそうです。

アメリカのコメンテーターがこの組織について知ったとき24時間のうちに2回もこの組織の名前を聞いたことがあったそうで、その時にバーダー・マインホフ現象と名付けたようです。

ちなみに、民兵組織の暴力的行為とは何も関係ありません。

マーケティングへの応用

目につくキャッチコピーや印象的なCMなどはバーダー・マインホフ現象を引き起こします。

無意識に情報が刷り込まれ、「なんかやたらとこの商品が目に付くな。」と感じるようになります。

そのうち、何度も目に付くということは人気商品である可能性や自分の欲しいものである可能性が高い、と判断してしまいその商品を買うようになってしまいます。

テレビやネットを見ていると知らず知らずのうちにこうした広告の影響を受けてしまうってことですね。

例えば、楽天カードマンのCMは印象的でクレジットカードを調べるときに一番目に付くかと思います。また、auのCMも三太郎というキャラクターを前面に出して印象的なので、どのキャリアにしようか迷ってる人が検索しやすくなります。

生活への応用

もし、株の購入を考えていていい銘柄を聞いたときにはその株価はすでに高騰していたってことがよくあると思います。バーダー・マインホフ現象を説明するいい例です。

知らないのは自分だけで他の人はとっくに気づいています。

それにもかかわらず、もっと高騰すると思って買ってしまい、その後の株価は下がる一方なんてこともよくあります。

何か有用な情報をつかんでもまずはバーダー・マインホフ現象を疑いましょう。

知らないのは自分だけかもしれないので情報は時間とセットで考えなければなりません。もしその情報が1年前のものだとしたらバーダー・マインホフ現象が起きているので、世間から注目されていてももう遅いでしょう。

情報が出てから瞬時の判断で動かなければ勝つのは難しいです。

まとめ

今回はバーダー・マインホフ現象について紹介しました。

頻度錯覚や確証バイアスが根底にあってこうした現象が起きるようです。

バーダー・マインホフ現象に関して論文は見つけられませんでしたが、頻度錯覚や確証バイアスについてはいくつか論文があるのでいづれ紹介したいと思います。

何か特別なことが起きていると勘違いせずに判断しないと間違った決断をしてしまうかもですね。

参考文献
The Baader-Meinhof Phenomenon: Didn’t I Just Hear About That?
What the Baader-Meinhof Phenomenon Is and Why You May See It Again… and Again

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