不安による3つの悪影響とその対処法

不安による影響とその対処法

不安によりどんな悪影響が発生するのでしょうか?

健康への被害はもちろん記憶力や人間関係にも影響します。

今回は不安によってどんな悪影響があるのか?また、どうしたら不安を少なくすることができるのか科学的に知られている情報を基に紹介します。

不安による3つの悪影響とその対処法

不安障害には過度な不安によって引き起こされるGADと人間関係によって引き起こされるADAA、トラウマの経験や見たことにより引き起こされるPTSD、強迫観念によって引き起こされるOCDがあります。

今回はこれらを区別せずに不安と一括りにして説明していきます。

不安による悪影響には下記のものが知られています。

  • 記憶力の低下
  • 人間関係の悪化
  • 健康の悪化

それぞれについて詳しく説明していきます。

記憶力の低下

普段の生活ではワーキングメモリと言う短期的な記憶を使って効率的に仕事をします(R)。

しかし、ストレスにより思考に負担がかかるとワーキングメモリがうまく機能せず、効率的に仕事ができなくなり、ミスをしやすくなったり適切な判断ができなくなります。重要な仕事や予約を忘れやすくもなります(R)。

例えばどこに車を止めたか分からなくなる、カギや携帯をなくしやすい、すでに伝えたことをもう一度伝える、何を買いに来たのか分からなくなる、などです。

人は省エネで生活している

普段の生活では朝起きて、朝食を食べて、着替えをして、仕事に行ってなどのルーティーンを考えずに行うことができます。これは人類が無駄なエネルギーを思考に使わず行動できるように進化してきたからだと言われています。

しかし、不安障害の人は何か行動するたびに「これってこの順番でいい良かったっけ」と不安になり思考に負担がかかります。

短期的な不安は問題ないのですが、慢性的に不安にさらされているとスキルが身につかず問題を解決できないため仕事や学校でのパフォーマンスが低下していきます。

人間関係の悪化

不安により同僚や友人、夫婦との関係が悪化します。自分が愛情を得られるのか心配なためネガティブな方法で人間関係の問題に対処するようになります。


そのため、下記のような問題を抱えます。
・他人の欲求に無関心になる
・自分の感情を表現できない
・他人と一緒に何かをすることが苦手になる
・不寛容になり相手のミスに過剰に反応する
・他人を信用できず何度もチェックする

また、不安障害の人が対人関係で見せる態度として
・相手を信頼しない
・冷徹
・非断定的
・人を悪用する

などが知られています。
こうした態度が仕事や家庭など様々な場面で悪影響を及ぼします(R)。

子供のころに親友がいたりグループで何かに取り組んでいると他人との関わり方を学ぶため不安障害になりにくいとされています(R)。

健康の悪化

不安による健康被害として
・心臓病
・頭痛
・腹痛
・吐き気
・食欲の喪失
・免疫力の低下
・呼吸器疾患
・うつ
・パニック障害
・不眠症
など書ききれないほどの悪影響があります。

不安が健康被害をもたらす理由

アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンの分泌や血圧、神経系のシステムが変化することで悪影響がでます。

一時的なストレスに対処するためには効果的なのですが長期になると体に害が出ます(R)。

間接的な悪影響もたくさんあります

呼吸が速くなることで酸素が過剰に供給されます。

糖分を吸収できなくなり、糖尿病のリスクも高まります。消化器の酸性の消化液が漏れ出し腹痛が起こり、酷いときには胃に穴が開きます。生理機能が正常に働かなくなり生殖能力も低下します。

ストレスによる良い効果

一時的なストレスは健康に良いという報告もあります。

認知能力や記憶力を高め生産性を上げたという報告もあります(R)。さらに、子供の発達の過程ではストレスを経験した方がその後の困難な状況にも対処できるようになりストレスの悪影響を受けにくくなるということも報告されています。

とはいっても、ストレスを減らさないと様々な悪影響がでますのでストレスを減らす科学的な方法を紹介します。

科学的なストレスへの対処法

瞑想

過去の記事にも書きましたが瞑想により「今、この瞬間」に集中することができ過去や未来の不安から解放されます。

また、自分に対して優しくなれるセルフコンパッションも高まるとされているため自分へのプレッシャーや緊張からの不安を受け流すことができるようになります。

過去に瞑想のやり方についてまとめていますので、好きなものを選んで試してもらったらと思います。

森林浴

森林浴は不安を抑え免疫力を向上させ幸福感を高めることが知られています。イギリスのノリッジ大学のグループが行ったメタ分析でもその効果は確認されています(R)。
また、フィトンチッドという樹木が発散する成分が健康を促進するということも知られています。

都会に住んでいて森林が近くにないという方は公園に行くだけでも効果があるそうです。

ガムをかむ

一般的にマルチタスクは良くないとされていますがガムをかむことでストレスを感じにくくなるそうです。

実際にスウィンバーン大学の行った実験ではガムをかむことでコルチゾールの量が低下し注意力やパフォーマンスが高まったというデータが出ています(R)。

他にもネガティブな気分を改善し穏やかな気持ちにさせるなどの効果もあるようですが、その理由は分かっていません。ガムによって脳の血流が良くなるという説もあるようです。

ジャーナリング

不安は目に見えず対処するのが難しいという特徴があります。そのため、不安を書き出し見える化すると対処しやすくなるとされています。
推奨されているのは不安なことを真ん中に書き、左にネガティブな自分の気持ち右側にポジティブな自分の気持ちを書くとよいそうです。オークランド大学の研究によると1日に20分間不安なことを書き出すと3日で不安から立ち直るのが75%も改善したという結果があります(R)。

他にも2か月間ジャーナリングをすることで鬱や不安、ストレスを感じにくくなったという結果も出ています。

十分な睡眠をとる

不安障害の人は脳の偏桃体と言われる部分や島皮質と言われる部分が活性化していることが知られています。バークレー大学の研究によると睡眠不足になることで偏桃体や島皮質が活性化しやすくなるそうです(R)。

もし、十分な睡眠が得られていないようなら仕事や学校を休むことを優先にすべきです。

笑う

笑うことは誰でも簡単にできる効果的な方法です。笑うことで肺や心臓が刺激され体に酸素が行き渡るようになります。また、エンドルフィンといわれるホルモンが作られ神経の伝達や免疫機能を改善してくれます。

最初は笑うことでストレスを感じた時のような症状が現れますが、徐々に神経系が穏やかになりリラックスした状態にしてくれます。

メールをチェックしない

メールをチェックしてしまうとそれが癖になり、常にメールの事が頭から離れなくなりストレスが溜まります。コロンビア大学の行った研究によるとメールをチェックする回数を1日3回までとするとストレスが抑えれるようです(R)。

仕事や友人との関係を疎かにするということではなく、日常生活に集中することが大事なようです。

まとめ

不安によりどんな悪影響があるのか、どうしたら不安に対処できるか書いてきました。

不安と一言で言っても原因は様々です。そのため、症状の出方や対処法も様々だと考えられます。どうしたら不安に対処できるか自分で試しながら解決するしか無いようです。

個人的には瞑想をオススメしています。理由は簡単で続けやすいからです。それに、瞑想はただ不安に強くなるだけではなく、集中力を高めたり、免疫力を高めたりという効果もあります。

グーグルやアップルなどの大企業でも取り入れられていて科学的効果も確認されているようです。

関連記事