【科学的に解説】ストレスを軽減して力に変えるたった1つの思考法。

ストレスに強くなるためには〜マインドセットを変えようという話
この記事はこんな悩みを解決します
  • ストレスにどう対処したらいいのか分からない
  • なぜ、ストレスに強い人がいるの?
  • ストレスに強くなりたい

ストレスにより集中できなくなったり、よく眠れなくなったり、イライラしてしまったりなどの影響が出ます。しかし、ストレスは全て悪いという訳ではなくストレスにより良い影響を受ける人もいます。なぜ、このような人がいるのでしょうか?今回はどうしたらストレスを自分の力に変えていけるのか論文を元に紹介していきます。

この記事を読むことでストレスを軽減して力に変えていく方法が分かります。

【科学的に解説】ストレスを軽減して力に変える2つの思考法。

ストレスは一般的には悪いものとされており下記のような悪影響が知られています。

ストレスによる悪影響
  • 記憶力の低下
  • 人間関係の悪化
  • 健康の悪化

記憶力の低下

私たちは普段の生活でワーキングメモリと言う短期的な記憶を使って仕事をします(R)。いちいちメモをするよりも記憶して使った方が効率的に仕事が進みますよね。

しかし、ストレスにより負担がかかるとワーキングメモリがうまく機能せず、効率的に仕事ができなくなり、ミスをしやすくなったり適切な判断ができなくなります。また、重要な仕事や予約を忘れやすくもなります(R)。

例えばどこに車を止めたか分からなくなる、カギや携帯をなくしやすい、すでに伝えたことをもう一度伝える、何を買いに来たのか分からなくなる、などです。

私たちは省エネで生活しています

私たちは朝起きて、朝食を食べて、着替えをして、仕事に行ってなどのルーティーンを考えずに行うことができます。これは人類が無駄なエネルギーを思考に使わず行動できるように進化してきたからだと言われています。

しかし、不安障害の人は何か行動するたびに「これってこの順番でいい良かったっけ」と不安になり思考に負担がかかります。

短期的な不安は問題ないのですが、慢性的に不安にさらされているとスキルが身につかず問題を解決できないため仕事のパフォーマンスが低下していきます。

人間関係の悪化

ストレスは同僚や友人、夫婦との関係を悪化させます。自分が愛情を得られるのか心配なためネガティブな方法で人間関係の問題に対処するようになります。

そのため、下記のような問題を抱えます。

  1. 他人の欲求に無関心になる
  2. 自分の感情を表現できない
  3. 他人と一緒に何かをすることが苦手になる
  4. 不寛容になり相手のミスに過剰に反応する
  5. 他人を信用できず何度もチェックする

こうした態度が仕事や家庭など様々な場面で悪影響を及ぼします(R)。子供のころに親友がいたりグループで何かに取り組んでいると他人との関わり方を学ぶためこうした問題を抱えにくいとされています(R)。

健康の悪化

不安による健康被害として
・心臓病
・頭痛
・腹痛
・吐き気
・食欲の喪失
・免疫力の低下
・呼吸器疾患
・うつ
・パニック障害
・不眠症
など書ききれないほどの悪影響があります。

ストレスが健康被害をもたらす理由

アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンの分泌や血圧、神経系のシステムが変化することで悪影響がでます。

一時的なストレスに対処するためには効果的なのですが長期になると体に害が出ます(R)。

間接的な悪影響もたくさんあります

呼吸が速くなることで酸素が過剰に供給されます。

糖分を吸収できなくなり、糖尿病のリスクも高まります。消化器の酸性の消化液が漏れ出し腹痛が起こり、酷いときには胃に穴が開きます。生理機能が正常に働かなくなり生殖能力も低下します。

ストレスには良い影響もある

上記に紹介したようにストレスは悪いものとして扱われていますが、一時的なストレスは健康に良いという報告もあります。

いくつかの研究ではストレスが認知能力や記憶力を高めたという報告もあります(R)。さらに、子供の発達の過程ではストレスを経験した方がその後の困難な状況にも対処できるようになりストレスの悪影響を受けにくくなるということも報告されています。

その他にも下記のような効果が知られています。

  • 頭の働きが良くなる
  • ホルモンによって記憶力や認知機能が向上
  • 免疫力の上昇
  • 健康状態の改善

ここで結局ストレスは良いの?悪いの?と言う疑問が出るかと思います。

ストレスは良いのか?悪いのか?
  • 短期的なストレスは良く、慢性的にストレスは悪い
  • 短期的でもストレスが強すぎると悪い
  • ストレスに対するマインドセットによっては良い影響がでる

まとめるとこんな感じですね。
ストレスをどのように受けるかは自分でコントロールできませんが、マインドセットは自分で変えることができます。

では、どのようなマインドセットだとストレスを軽減して自分の力に変えることができるのでしょうか?

ストレスを軽減するマインドとは?

ストレスを軽減するマインドとして成長型マインドが知られています。

成長型マインドとは?

ストレスを自分を成長させてくれるものとして肯定的に捉えることを言います。

そんなの遺伝や育った時の環境で決まるんじゃないの?と思うかもしれません。確かに、それらの影響もあるのですがサクセスストーリーの動画や小説を読むことでもこうしたマインドになることが知られています。

実際にいくつか参考になる文献があったので紹介しておきます。

  • ロチェスター大学が行なった研究ではストレスが人を成長させると言う科学的データを学ぶことで成長型マインドになり成績が上がると言う結果が得られています(R)。
  • シカゴ大学が行なった研究では重要なテストの前に自分の不安を書き出すことで成長型マインドになり、テストの点が上昇したと言う結果が得られています(R)。
  • ハーバード・ビジネス・スクールで行われた研究では人前で歌を歌うときに「自分はワクワクしている」と言い聞かせることでより正確に歌を歌えるようになることが分かっています(R)。

このように自分でマインドを調整することで精神的に安定になりパフォーマンスが発揮されるようですね。

実際に成長型マインドの効果として下記のものが知られています。

成長型マインドの効果
  • 生産性や健康、幸福感の上昇
  • パフォーマンスの上昇
  • ストレスを軽減し、力に変える
  • 創造性を高め柔軟な思考になる
  • 身体的、精神的、社会的にリソースを得やすくなるR

成長型マインドがストレスを軽減するマインドなのに対してストレスを感じやすい衰退型マインドというのも知られています。

衰退型マインドとは?

ストレスを避けるべきものとして否定的に捉えることを言います。

ストレスはネガティブな影響があるのですが、だからと言ってストレスを感じないように過ごしているとストレスの悪影響が出やすくなるということですね。

実際にこのマインドだと下記のような影響が出てきます。

衰退型マインドの影響
  • 何かをするときに不安になりやすくなる
  • 自分から積極的に行動できなくなる
  • ストレスに弱くなる

マインドセットによるストレスへの反応の違い

マインドセットによるストレスの影響

2013年にスタンフォード大学はストレスの多い職業の人達を対象にマインドセットの影響を調べました。
その結果、成長型マインドの人はストレスがあってもネガティブな影響を軽減し、幸福感や健康状態、生活の満足度、仕事のパフォーマンスが高いことが分かりました(R)。

また、マインドセットを変えるには3分の動画を見るだけでも効果があるという報告もされています。

ちなみに、成長型マインドを高める動画として主人公が逆行を乗り越える映像、衰退型マインドを高める動画として精神疾患の患者数や処方箋の量に関する映像を見せています。

どうやら、ストレスに肯定的だとストレスを感じても成果が出せるってことですね。

ストレスに対する反応の仕方

私たちは苦手なことや不確実なことに挑戦するときにストレスを感じます。

こうしたストレスへの反応の仕方として
チャレンジ反応
脅威反応
の2種類があります(R)。
ストレス反応の仕方は短期間で変わり、状況に応じて変化する言う特徴があります。

チャレンジ反応とは?

ストレスに対して立ち向かっていく反応の事です。
問題に対処するための知識やスキルを持っていると判断するとチャレンジ反応が起こります。

チャレンジ反応の効果
  • 認知機能の上昇
  • 心肺機能の上昇

ストレスに立ち向かおうとしているので一種の興奮状態になり自分の能力が高まります。

脅威反応とは?

ストレスに対し脅威を感じる反応の事です。
チャレンジ反応とは逆で問題に対処するための知識やスキルを持っていないと判断すると脅威反応が起こります。

脅威反応の効果
  • 体に害のあるホルモンの分泌
  • 認知機能の低下
  • 心肺機能の低下

では、こうした反応の違いとマインドセットにどのような関係があるのでしょうか?

マインドセットとストレス反応の関係

2017年にスタンフォード大学が行なった研究では成長型マインドの人の方がストレスからくるチャレンジ反応を強め、脅威反応を軽減することが分かっています(R)。

成長型マインドはチャレンジ反応を強める

学生たちを成長型マインドを高めるグループと衰退型マインドを高めるグループに分け、仮の就職面接で8分間のスピーチをします。
その後、5分間の質疑応答を行いポジティブなフィードバックまたはネガティブのフィードバックを受け取ります。
ポジティブなフィードバックの場合はチャレンジ反応が引き起こされ、ネガティブなフィードバックの場合は脅威反応が引き出されます。

この結果、チャレンジ反応が起こった場合に成長型マインドの人はポジティブな感情になり、柔軟な思考能力も向上していました。しかし、衰退型マインドの人はこれらの効果が得られませんでした。
一方、脅威反応が起こった場合に成長型のマインドの人はホルモンの分泌を調整することでネガティブな効果を受けにくくしていることが分かりました。しかし、衰退型マインドの人はホルモンの調整ができず、ネガティブな効果が顕著になっていました。

どうやら私たちは成長型マインドセットによってストレスを軽減し、成長するための力に変えていけるようです。

不安に対する認識を変えるのも有効

2014年にAlison Wood Brooksは不安をワクワクしていると認識し直すことでストレスを感じにくくなるという発見をしました。これも一種の成長型マインドセットですよね。

不安は感情が抑えにくかったり、心拍数が増加するなど興奮している状態と似たところが多いという特徴があります。そこで、自分にワクワクしていると言い聞かすことで人前での歌やスピーチが上手くなったり、数学のテストで良い点を取れるようになった、という結果が得られています。

ちなみに同じような結果が他の論文でも確認されているので下記にまとめておきます。

  • デュシェンヌの笑顔という笑顔を作るだけでポジティブな感情が出てくる現象が確認されています(R
  • パワーポーズというポーズを取るだけでポジティブになる現象が確認されています(R
  • 自分は興奮していると言い聞かせるとモチベーションやパフォーマンスが改善した、という結果が出ています(R

成長型マインドは万能薬ではない

成長型マインドはストレスを軽減する効果がありますが、そもそも脅威反応が起こってしまうとネガティブな影響が出てきます。

また、ストレスにも不安からくるものや緊張からくるもの、病気からくるものなど様々でどんなストレスにも有効かは分かっていないと言う課題もあります。

成長型マインドだからと言ってストレスを受けすぎないように注意しましょう。

まとめ

今回は成長型マインドだとストレスを軽減し、力に変えていけると言う話を紹介しました。

困難なことに挑戦することになっても「自分にはできる」と感じれればチャレンジ反応が起こり本当に出来てしまう可能性が高まります。

自分を信じた方が実力以上の能力が発揮できて良い結果が得られる可能性が高まります。

関連記事