家庭暴力は連鎖する話
家庭内暴力の問題はなぜなくならないのでしょうか?
➡︎DVを受けていた人は成人になった後でも暴力をふるいやすいようです。
子供の時の経験によって問題解決や不満を暴力によって発散させるようです。今回は2012年にPatti A. Timmons Fritz によって発表された論文に基づいて子供の時に見たり、経験した暴力が大人になってどの様な影響を与えるのか書いていきます。
家庭暴力は連鎖する話
警察庁によると年々DVの相談件数は増えていて平成30年では9042件と4年前の倍以上になっています→(A)
なぜ家庭内暴力が起こるのか?
・虐待による心的外傷
・社会生活からくるプレッシャー
・親の過干渉
・親の無関心
などが考えられています。
過去の虐待の経験がこうした原因を強めていることも確認されています。
子供の時の経験が虐待を引き起こす
暴力的な家庭で育った人は大人になってもパートナーや子供に暴力を振るう傾向がある事がわかっています。さらに、暴力を振るわれると耐えることに慣れてしまい将来的に暴力を振るわれる可能性を高めるようです。
こうした傾向は暴力を振るっている人が自分と同じ性別の場合に強まるようです。
著者はこうした暴力の連鎖がどういうメカニズムで起きるのか調査するため次の様な疑問を挙げています。
・パートナーの両方が家族内暴力を経験していたら暴力を振るったり、振るわれやすくなるのか?
・父親からの暴力の経験は夫を暴力的にし、妻を被害に会いやすくするのか?
・母親からの暴力の経験は夫を被害に会いやすくし、妻を暴力的にするのか?
家庭内での暴力は子供の暴力を促進する
ランダムに電話をかけ、結婚後1年以上で3から7歳の子供が1人以上いる453人にアンケートに答えてもらいました。
?パートナーから1年以内に受けた暴力についてRevised Conflict Tactics Scaleを使っています。
➡︎物を投げた、恫喝された、など軽度のものから、蹴られた、ナイフを使われたなど深刻なものまでを5段階で評価します。
?過去の家族内暴力についてFamily of Origin Aggression Scaleを使っています。
➡︎あなたの父は母に暴力を振るいましたか?あなたは父親もしくは母親から暴力を振るわれましたか?など5段階評価します。
この結果、両親の間での暴力があった人は自分の家庭でも暴力を振るいやすくなったり、受けやすくなっていました。夫婦の両方が経験しているからといってこの傾向が強まるわけではないようです。
また、両親から暴力を受けていた人は父から子への暴力は自分が暴力を振るう確率を10%高め、暴力を受ける可能性を11%高めていました。しかし、母からの暴力は成人になって暴力を振るう確率を11%下げていました。
✔️この結果から、母親からの暴力以外(両親間や父親→子供の暴力)が子供の暴力的な振る舞いを促進している事が分かりました。
子供の時の経験により家庭で暴力を振るったり、振るわれたりしやすくなっていると考えられています。
また、母親→子供の暴力が成人になった後の暴力を促進しなかった理由として子供が躾と捉えるのかも、という考察になっていました。しかし、暴力は良くないので振るわないようにしましょう。
家庭内暴力をしないためにどうすればいいのか?
➡︎感情的知性を身につけましょう。
感情的知性とは自分や相手の感情に気づき自分の行動を制御する能力のことです。この能力が高いことで感情的に動くことを抑制したり、相手がどのような気持ちか感じ取れるようになります。
家庭内暴力が悪い理由
➡︎単純に相手が身体的にも精神的にも傷つくだけでなく様々な悪影響があります。
暴力は外発的動機付けを高めます
暴力を振るうと相手は暴力を振るわれないために行動するというマインドになってしまします。こうしたマインドは元々持っている能力を制限し、ストレスを高めるため良いパフォーマンスが発揮できません。
「〜しなさい」と相手をコントロールしようとせず、「〜できる人になってほしい」の様な名詞を使うと良いとされています。
愛着型の問題も引き起こします
愛着型は人間関係の築き方に関連します。不安型だとネガティブな感情に負けてしまい、相手を信頼できず良い人間関係が築けません。回避型だと相手と関わろうとせず、相手が困っていても放置してしまいます。
こうした愛着型は子供の頃に親から十分な愛情をもらえなかったことが原因とされています。暴力を振るうとこのような愛着型になり、大人になっても相手との関係に悩みます。
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