【人間関係を科学する】エリック・バーンのエゴグラムから交流分析まで紹介します
- 自分がどんな人間なのか分からない
- 他人との接し方が分からない
- 人間関係を円滑にする方法が知りたい
人間関係が上手くいかないという事はありませんか?コミュニケーションを取っていても互いに言っている事がズレていると感じる事があると思います。こうしたズレがなぜ起こるのか心理学的に分析されています。
この記事を読むことで人間関係が上手くいかない原因がわかります。
【人間関係を科学する】エリック・バーンのエゴグラムから交流分析まで紹介します
エゴグラムとはアメリカの心理学者エリック・バーン氏によって作られた交流分析という理論に基づいた性格診断テストのことです。
人間関係を円滑にするためには相手の性格を熟知している事が重要になります。そのため、まずはエゴグラムについて理解しなければなりません。
エゴグラムとは?
エゴグラムでは性格を5つに分類し、それぞれの要素の強さから性格を測定します。。 エゴグラム診断テストを参考にしてください。
その結果をもとに自分がどんな性格なのか確認することができます。ちなみに、どの分類の点数が高いからと言って優れている、劣っているというわけではありません 。
エゴグラムの5つの分類
- 厳しいお父さんのようなControlling Parent (CP)
- 優しいお母さんのようなNurturing Parent (NP)
- 冷静で論理的なAdult ego state (A)
- 自由な子供のようなFree Child (FC)
- 協調的な子供のようなAdapted Child (AC)
ざっくりとまとめるとParentとAdultとChildに分類できます。これらは過去の自分の経験を元に作られます。確かに、親から躾けられたことや子供の頃の出来事が自分の性格に影響している、と感じる事があると思います。
まずはこの3つについてどのように作られるのか紹介していきます。
Parentはどのように作られるのか?
Parentは成長期に受けた親からの影響に基づくものだとされています。
厳しいお父さんから躾を受けた経験がCP、優しいお母さんから褒められた経験がNPを作ると言う感じになっています。
成長の初期には何の疑問も持たずに大人たちから色んなことを吸収するため、こうした性格が作られるとしています。
親との関わりが子供の性格を形作るのに重要ということがわかるかと思います。
Childはどのように作られるのか?
Childは子供の時に感じた気持ちに基づくものだとされています。
楽しい、わくわくすると言う感情がFCを形成し、誰かが争っているのが嫌だなと言う感情がACを形成します。
子供は言葉を持たないために自分の感情を元にこうした性格が作られます。
Adultはどのように作られるのか?
Adultは成長した後に理性によって作られます。
子供の頃の親との関わりや子供の頃の感情とは違い、論理的に考えることで上手く言ったという経験から形成されるという特徴があります。感情的に行動しないためには理性で行動する癖をつけてAdultを成長させなければならなりません。
では、各分類の特徴とその特徴を伸ばしていくためにはどうしたらいいか観ていきます。
ここまでのまとめ
ここまでの情報が交流分析をするときにも基本となる重要な考えなので一旦まとめておきます。
- Parent ego state;親や親の役割の人から躾を受けた時の経験から形成されます。生後5年間の間で何の疑問も持たずに外からの刺激を受け入れることで形成されるという特徴を持ちます。
例)食事の時に口を閉じて噛みなさい。横断歩道は左右を確認してから渡りなさい。 - Child ego state;自分の中のから出てくる感情を脳が認識することで形成されます。生後5年間で感じた気持ちから形成されるという特徴を持ちます。
例)鬼の顔を見て泣き叫びたくなる。 誕生日のお祝いでうれしくなる。 - Adult ego state;自分の中にため込んだParentやChildのデータを評価し、有効に使うことで形成されるという特徴を持ちます。1歳ぐらいの動き回れるようになる時期から形成されます。
例)兄が沸かしたポットに触れて火傷をしたのを見て、熱いポットに触ってはいけないことを学ぶ。
では、もう少し詳しい内容について紹介していきます。
それぞれの特徴
エゴグラムがどのように通られているのかざっくりと分かったと思います。それぞれの要素がどのような特徴を持っているのか紹介します。
厳しいお父さんのようなControlling Parent (CP)
CPの特徴は”こうあるべき”という考えがしっかりと自分の中にある、というところです。CPが発達することで時間や規則に厳しく責任感を持つようになります。
しかし、自分の価値観を他人にも押し付け自分の思い通りにならないと気が済まないという面もあります。
- 時間やお金の管理を自分で行う
- 他人に自分の考えを言う
- 他人行動を制限しようとする
優しいお母さんのようなNurturing Parent (NP)
NPの特徴は面倒見がよい、というところです。目配り、気配りができ他人の些細な変化にも気づくことができます。
しかし、過保護、過干渉になり相手の成長の機会を奪ってしまうという面もあります。
- 相手の話をしっかりと聞いて共感する
- 相手を褒める
- 相手の立場になって思いやりを持って接する
冷静で論理的なAdult ego state (A)
Aの特徴は理性的で感情に流されず冷静に物事が判断できるところです。論理的に考える事ができるのでストレスがかかってもタバコやアルコールに頼らずに自制する事ができます
しかし、機械的で人間味がなく反応が乏しいため周りからは勘違いされやすく、チームワークを乱す面もあります。
- 物事を客観的にみる
- 感情的にならないように訓練する
- 論理的に考える
自由な子供のようなFree Child (FA)
FAの特徴は明るく活発なところです。FAがはったるすると思ったことをすぐに言い、ストレスを貯めにくい性格になります。
しかし、周りからは自己中心的に見られたり、気が短くて反感を買う場合があります。
- 楽しいことを思いっきりやる
- 素直に自分の感情を言葉にする
- 失敗しても良い環境で活動する
協調的な子供のようなAdapted Child (AC)
ACの特徴は協調性が高く、周りとの関係を大切にするというところです。みんなで物事を前に進めることを重視し、平和主義者の人が多いです。
しかし、遠慮しがちで自分の思ったことを口できず、ストレスを抱えてしまう面もあります。
- 周囲に目配り気配りをする
- 不満を抱えている人を気遣う
- 雑用を行う
エゴグラムを使った交流分析
エゴグラムの考え方が分かったところで交流分析を紹介していきます。
この理論は世界中で20語か国語に翻訳され500万部を売り上げている有名な本として出版されています。
読者の感想を紹介しておきます。
Many times in my life, I was placed in social situations that left me feeling so depleted afterwards and I could not exactly grasp why this was happening. When I read Games People Play, I started to understand how many people play these games that end up making me feel used and hopeless. After a year or so, I also began realizing that I play some of these games myself… This is when I really decided to change my life. I began living with a new awareness of the behaviors of not only others but my own as well!
日本語の要約は下記の通りです。
いままで人間関係に疲れることがあったけどこの本を読んでその理由が分かりました。私を含めみんなゲームをしているだけなんだと気づいたことで人生を変える決心がつきました。他人の振る舞いだけでなく自分自身の振る舞いについても意識して生活することで私の人生は変わりました。
この理論について学ぶことで人間関係の捉え方が変わったようですね。
では、どんな理論なのか説明していきます。
交流理論とは?
交流理論とはコミュニケーションをとる時の自分のParent,Adult,Childと相手のParent,Adult,Childを分析することでコミュニケーションが上手く言っているかどうかがわかる、という理論です。
ちょっと分かりづらいので例を出して説明していきます。
交流が相補的な場合はうまくいきます
例)A:私のペン見なかった?(Adult→Adult)
B:あそこの机の上にあったよ。(Adult→Adult)
どちらも理性的に発言していてコミュニケーションが相補的になっています。この場合はストレスなくコミュニケーションできます。
他にも例を出します。
例)A:また遅刻してー。今週で2回目よ。(Parent→Child)
B:すみません。寝坊して.(Child→Parent)
親が子を叱るような発言と子が親に謝るような発言でコミニケーションが相補的になっていてうまく行っています。
交流が相補的出ない場合はうまくいかない
例) A:私のペン見なかった?(Adult→Adult)
B:いつも私を疑うよね。(Child→Parent)
Aは理性的に尋ねただけなのにBは子が親に文句を言うように発言しています。これではうまくコミュニケーションが取れません。
別の例も出します。
例)A:また遅刻してー。今週で2回目よ。(Parent→Child)
B:そっちが早く来すぎなんだよ。(Parent→Child)
両方が親のように相手をコントロールしようとしていてコミュニケーションがうまくいっていません。
このように人間関係がうまくいかない理由として自我が相補的になっていない事が挙げられます。しかし、実際のコミュニケーションはもっと複雑です。
交流分析の応用
相補的な交流になっていないコミュニケーションをする理由として心の健康状態を保ちたい、と言う欲求が考えられています。
その際、コミュニケーションは情報の共有が目的ではなく、個人の心理的欲求を満たす事が目的となるため、まるでゲームをしているかのように見えてしまいます。エリックバーンはこのゲームを分析してGの方程式を作りました。
Gの方程式
Gの方程式;C+G=R→S→X→P
; わな+弱み=反応→切り替え→混乱→報酬
※C=Con(わな) G=Gimmik(弱み) R=Response(反応) S=Switch(切り替え) X=Cross-up(混乱) P=Payoff(報酬)
ややこしいですが、まずは例を読んでください。
例)部下;この契約うまくいきますかね?
上司;もちろん、うまくいくよ。
部下;どうしてそんなことわかるんですか?
この場合、
”わな”=最初の部下の言葉
”弱み”=上司の部下の頑張りに報いたいという気持ち
となります。
それに対し、上司が「うまくいくよ」と”反応”したところで部下が「ありがとうございます」と反応する代わりに「どうしてそんなことわかるんですか?」と部下の役割を”切り替え”ました。
これにより、上司は”混乱”し不快感を持ちましたが、この不快感が部下への”報酬”となりました。この”報酬”のことを交流分析ではストロークと言います。
このように二人は隠れたテーマに気づくことなく心理ゲームをしてしまいます。エリックバーンはこの方程式に合うものは全て心理ゲームだと言っています。
さらに厄介なのはゲームを仕掛けた本人がストロークを得るためにゲームを仕掛けたことに気づいていない、と言う事です。そのため、本人の心理が健康になるまでこのゲームが続きます。
では、具体的なゲームの例を見て行きましょう。
ゲーム分析の例
例)Aさんは行動を制限する夫と結婚したため、ずっと行きいたいと思っていたバイオリン教室に行くことができませんでした。献身的に夫に尽くす間、「もし、彼じゃなかったらバイオリン教室に行けるのに。」と思っていました。ママ友の中でも「もし、彼じゃなかったら」と同じ境遇のママ友と愚痴を言っていました。しかし、ある日突然夫がバイオリン教室に行くことを許してくれ、Aさんはバイオリンを弾きに行く選択肢しかなくなりました。Aさんはびくびくしながらバイオリン教室に行ましたがバイオリンを弾くことが怖くて自分に向いてないことに気づきました。
この例の中でAさんはChild ego stateで夫がParent ego stateのようなコミニケーションを取っていたことが読み取れます。
Aさんは夫がいるから仕方なくバイオリン教室に行けないという立場をとっていました。しかし、それは夫との交流により自分の恐怖から目をそらす、ママ友と愚痴を話すというストロークのためだと考えられます。
大事なのはAさんに自分の弱いところを自覚せずに済むために今の夫を選んだという認識がないことです。
このように人は”自分の利益”または”目標達成”のため自分の感情を偽り他人に心理ゲームを持ち掛けます。
人はコミュニケーションをする時にこうしたゲームを持ちかけるようです。
では、なぜこのようなゲームが本人の心理を健康にするのでしょうか?
心理ゲームを行う理由
この心理ゲームを行う理由は2つあります。
- 相手からのストロークを得ることで”脚本”と呼ばれる人生のパターンを推し進めるため
- プレイヤーにとって共通のメリットがあるから
この2つの理由について詳しく説明していきます。
”脚本”と呼ばれる人生のパターンを推し進める
脚本というのは無意識のうちに作り出された人生計画のことです。心理ゲームを通じで脚本にあった報酬を集め自分を正当化します。
極端な例をあげると次のようになります
- 自分に能力がないというストロークを相手から引き出し自殺することを正当化する。
- 特定の人を悪者にするストロークを引き出し殺人を犯すことを正当化する。
では、こうした脚本がどのようにして作られるのか見ていきましょう。
脚本の構成要素
脚本の構成要素として8つの要素が知られています。
- 結末;親が子供に対しどのように人生を終えるかを伝える要素です。
例)爺さんが心臓病で死んだからお前もそうなるだろう、うちの家系は長生きだからお前も長生きするはずだ、など。 - 禁止令;子供が脚本の結末から逃げられないようにする要素です。禁止令を使うほど子供は脚本から逃げ出せなくなります。
例)文句を言うな、言うことを聞け、黙ってろ、など。 - 拮抗禁止;禁止令に反し、ネガティブな行動を禁止する要素です。結末や、禁止令は6歳ぐらいまでの幼児早期に伝えられ、拮抗禁止はそれ以降に伝えられ、人生のスタイルを決めると言う特徴があります。
例)全力で頑張れ、自分の考えを言いなさい、お金を大事にしなさい、など。 - プログラム;脚本を実現するために何をするべきか伝える要素です。
例)勉強しなさい、運動しなさい、他人の気持ちを考えなさい、など。 - 挑発;誘惑や挑発的なメッセージのことです。
例)早く投げてみろよ、取れるもんならとってみろ、など。 - 悪魔の囁き;予測のつかない衝動。
例)急に何か悪いと思っていたことをやりたくなる。 - 内的な解放;自分の計画していた脚本が自壊する要素です。
例)交通事故にあったら、病気になったら、父が死んだら、など。 - 許可;子供が選択肢の中から自由に選択することを許可することです。許可することにより脚本から抜け出すことができるようになります。
例)自分の好きなことをしてもいいんだよ、何でも好きなものを選んでいいよ、など。
こうした脚本の構成要素により脚本のパターンが出来上がります。
脚本のパターン
脚本のパターンとして6つのパターンが知られています。
- 決して〜しない;自分が望むものは決して手に入らないと言う脚本
- いつもいつも;もしそれをしたいなら、一生それをやり続けなければならないと言う脚本
- それまではダメ;定年退職するまでなど長い時間を待たなければできないと言う脚本
- その後が怖い;やりたいことをやった後、嫌な気分になったり罪悪感を覚えると言う脚本
- 繰り返し繰り返し;賽の河原での石積みのようにほとんど出来たところで全てが台無しになりもう一度最初から行うと言う脚本
- その後は何もない;誰かのために頑張ってきたが、その誰かがいなくなってしまい何もやる気がなくなると言う脚本
私たちはいつの間にかこうした脚本にしたがって行動してしまっている様です。
例えば、野球の練習以外のことは許されない「禁止令」が強いと能力が向上しなくても練習をやめず「繰り返し繰り返し」の脚本が出来上がってしまう、と言うような感じです。
また、この脚本を成立させるために他人をゲームに巻き込んでしまい人間関係を悪化させているようです。
こうした脚本から脱するためにはどうすればいいのでしょうか?
脚本から脱出するには?
まずは禁止令によって作られた自分の価値観を弱めていきましょう。
〜したらダメ、ではなく〜しない方が良い、と言い直して自分を拘束している価値観から脱していきましょう。
自分の思い込みを捨ててフラットに考えることが大切です。新たなテクノロジーや新たな概念を学ぶことでいつの間にか”脚本”にしたがってしまっていることに気づけます。
新しいことを学ぶ姿勢がないと”脚本”から抜け出すのは難しいかもしれませんね。
ゲームをするメリット
心理ゲームを仕掛けることは悪いことばかりではありません。プレイヤーにとって共通のメリットになることもあります。
- 生きる上でのメリット;相手からの反応があることで生きる上での基本的な欲求が満たせます。
- 存在上のメリット;互いの信念を確認できます。
- 内的な心理面のメリット;個人的な願望を満たすために他人を利用できます、またはネガティブなことから自分を守ることができます。
- 外界を見る時の心理面のメリット;恐れている状況を避けることができます。
- 内的な社交上のメリット;親密な関係を持ちたいという内的な動機を満たすことができます。
- 外界での社交上のメリット;プレイヤーと直接関係のないことについて話題が提供できます。
互いにこうしたメリットを受け取ることで心理面での安定がもたらされます。
しかし、自分のストロークのためだけに相手の弱みに付け込んで来る人がいます。このタイプの人はダークトライアドとも言われ自分の利益のために平気で他人を犠牲にします。こちらが不快に思っていてもゲームをやめないばかりか、それを使って自分の意見を通したり、自分が得するようにゲームを進めてきます。
こうしたタイプの特徴は下記にまとめていますので参考にしてください。
ゲームをしてはいけない人の特徴
ダークトライアドとのゲームはこちらが消耗するだけなので避けなければなりません。こうしたやばい人が、どんなゲームを仕掛けてくるのか特徴を押さえておきましょう。
- 世話を焼いてくる人→自分の方が上だということを見せ相手を支配しようとします。「相手が仕事ができるようになるために」や「会社の仕事をうまく回すために」ではないという特徴があります。
- 間違いの指摘→相手を支配しようとします。敢えて大勢の前で間違いを指摘するという特徴があります。
- イエス、バット→相手の時間をつぶそうとします。相談して解決策を得るが解決策を受け入れたうえで新たな相談を持ち掛けるということを永遠と繰り返すという特徴があります。
ゲームを避ける事ができれば良いのですが、仕事の都合や近所づきあいで避けれない場合もあります。その場合、こちらは理性的に対応しなくてはなりません。
基本的に相手は心理的欲求を満たしたいだけです。相手の求めている答えを与えてさっさと逃げるようにしましょう。
まとめ
今回は交流分析により人間関係を分析できるという話を紹介しました。
もし、人間関係が辛い場合は相手のゲームに乗ってしまっている可能性が高いです。そのゲームで得するのは相手だけなので相手が欲しそうな言葉を与えて、なるべくその人とは関わらないようにしましょう。
参考文献
・エリック・バーンの交流分析
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