一番信頼されている心理学的性格診断。ビッグ5とは
- 自分がどんな人間なのか知りたい
- 科学的な性格診断に興味がある
- ビッグ5について知りたい
科学的な性格診断を受けたことはありますか?多くは根拠のない娯楽を目的としたものだと思います。科学的に根拠のある性格診断というものも存在しています。これにより自分の強みや弱み、どういった行動パターンがあるのかなど分析ができます。
今回は心理学的性格診断がどのように作られてきたのか、どんなことを評価しているのか紹介していきます。
一番信頼されている心理学的性格診断。ビッグ5とは
ビッグ5とは心理学の分野で一番使われている性格診断方法です(R)。現在では心理学的な面だけでなく生物学的な面からも研究が進んでいます(R)。
ビッグ5というだけあって性格を5つの要素に分けて分析します。
- 外向
- 同意
- 誠実
- 開放
- 神経症的性格
それぞれについて簡単に説明しておきます。
開放性
開放性の高い人は創造力が高く新しい事にも果敢に挑戦できます。
曖昧なことを考えることも苦ではありません。
開放性が低いと変化を嫌い、新しい事へチャレンジできません。
誠実さ
誠実さが高い人は細部にまで気を配ることができ仕事にコミットする可能性が高くなります。
また、自分の振る舞いが誰かを傷つけないか心配になったり、締め切りを決められるとそのことで頭がいっぱいになったりします。
誠実さが低いとスケジュールを決めず、自分の行動を制御しないため約束が守れません。
ペンシルバニア大学で行われた研究では誠実さが高い人の方が重要でない仕事でも成果を出すことがわかっています。
一方、誠実さの低い人は重要な仕事でないとパフォーマンスが 1/5 になることも分かっています(R)。
外向性
外向性が高いと話好きで社交性が高く、周りの人を元気にします。
また、楽しむことが一番にあり頭で考えるよりも先に言葉にしてしまいます。
外向性が低いと他人との関りで疲れたり言葉にする前によく考えるようになります。
外向性による大きな違いとしては動機付けがあります。
外向性が高い場合には好きだからしようという意識が優先されるようになり、低い場合には嫌いだからしたくないという意識が優先されるようになります。
同意性
同意性の高い人は他の人への共感能力が高く、利他的な行動や社会的な振る舞いが増えます。
同意性が低いと他人の感情に気が付かず、自分の欲しいもののために他人を操作するようになります。
ダークトライアドという他人を犠牲にしてまで自分の利益を追求する人は同意性が低いことがわかっています。このタイプの人は他人に共感できず自分のことしか考えられません。
神経症的性格
神経症的性格が高いとストレスや不安を感じやすくなり、リスクが高い事へチャレンジできなくなります。
神経症的性格が低いと感情的に安定でストレスや不安を感じにくくリラックスした状態でいられます。
神経症的性格の高い人は自分が失敗するのではないか、という事で頭がいっぱいなので仕事で成果を出すよりも仕事で責任を追わないことに必死になります。
どうでしょうか?自分はこの要素のポイントが高いな?とか思いませんでしたか?ちゃんと数値で判断したい方はこちらのページを参考にしてください。
心理学の分野で性格を診断するというのは長年のテーマでした。
ビッグ5が確立するまでに様々な研究が行われいますので簡単に紹介しておきます。
性格診断の起源とは
人は同じものを見たとしても反応が異なる場合があります。
例えば、同僚が困っていた時にすぐに手を差し伸べられる人と遠くから気にかけるだけの人がいます。こうした反応の違いが起こる原因して性格の違いが考えられおり、科学的に分析しようという人たちが現れました。
Gordon Allportの性格診断
1936年Allportは個性には4000種類あり、3つのレベルに分けることができると言いました(A)。
- 核になる性格
- 中心となる性格
- 二次的な性格
核になる性格
人生を通じて一貫した性格の事です。
例えば、マザー・テレサは良心と思いやりにあふれている、キング牧師は正義と平等を重んじている、ヒトラーは邪悪で排他的、などです。
核となる性格は人生で様々なことを経験していくうちに出来上がるものですが、多くの人は考えが揺らぎ一貫した性格を維持できないと考えられています。
中心となる性格
核となる性格よりも一般的でその人の全体的な性格を表します。
例えば、賢い、優しい、勤勉などです。多くの人は4000個のうちの5~10個を中心となる性格として持っているそうです。
二次的な性格
特定の状況で表に出る性格です。
例えば普段は穏やかな性格でもプレッシャーやストレスがかかった状態で他人に厳しくなる、などが当てはまります。
ただ、種類が多すぎて実用的でないため、もっと簡潔にできないか研究が進みました。
Raymondの性格診断
RaymondはAllportの考え方を参考に4000個の性格から似たような性格をグループ分けし、あまりにも一般的でないものを排除することで性格を絞ることができると考えました(R)。
また、Cattellがこの考え方をさらに発展させ統計的な手法を用いて人の性格を16に分けれることを確認しました。
Eysenckの性格診断
その後、Eysenckは外向性、感情の安定性、精神的疾患を抱えているか、の3つを測定すれば性格を判断できると言うモデルを作りました(R)。
4000あったのが3つとかなり集約されています。しかし、次は性格を絞りすぎているという議論が出てきました。
そこで、CattellとEysenckの考え方を参考に様々な研究が行われ1987年にMcCraeがビック5を構築しました。
ビッグ5性格診断の課題
ビッグ5により性格を診断できるようになったのですが、どうやって性格が作られるのか?という問の答えは分かっていません。
参考になるのは自己概念の考え方です。
幼少期に自分がこんな人間だと認識することでそれに辻褄が合うように行動するようになる、という考え方です。
性格が判断できるようになっても目的の性格になれないのでは研究の意義が失われてしまいます。
ただ、性格を変えるための方法についてはいくつか報告があり、強い意志を持って行動を変えると性格も変わってくることがわかっています。
また、年齢も関係していることが分かっていて、歳を取るにつれて外向性や神経症的性格、開放性が低下し、同意性や誠実性が高まる傾向にあるようです。
まとめ
今回は科学的性格診断のビッグ5について紹介しました。
神経症的性格以外は高い方が良いとされています。私の尊敬できる人も誠実さや開放性、外向性、同意性が高いように思います。
そういう性格の人の近くにいればポジティブな感情を提供してくれて自分の幸福感を高めてくれることがわかっています。
また、今回紹介しなかった性格診断でエゴグラムというものがあります。エゴグラムは自分の育ってきた環境によって性格が決まっているという理論です。気づいたら親と同じ言動をしていた、ということがあると思います。
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